海に行こうと思ったんだけどさ。
高一、春。彼は現れた。
一週間経っても友達の出来ない私。そんなの気にしていなかったけど、彼は友達になりたいと声をかけてきた。
特筆して嫌ではなかったが、それまで友達がいなかった私から見たら、ただ、鬱陶しいだけだった。
でも、彼は諦めずに、何度も、何度も。私に絡みついてきた。……言い方が変だけど、あくまで友人として、友人という存在として、ね。そんな彼がずっと鬱陶しかった。
でも、今回はその彼と海へ行こうとしたお話なんだよね。残念だけど。
なので、時は遡り高一の夏。
―♥―
「ねえ、海行かない?」
……邪な感情が見え見えな彼の目を見て「嫌。」と一言。
「あっはっは、やっぱりだめかあ。せっかく水着姿が拝めると思ったのに」
苦笑いを交えながら、彼は私を見つめる。……鬱陶しいなあ、舐めるように見ないでくれるかな。
「出会って数ヶ月の男子に半裸を見せるほど私はノーガードじゃないの。そんな、ライトノベルじゃあるまいし。」
「ライトノベル読んでるんだ。メモメモっと……」
「……ふん」
どこまでも能天気な彼をほうっておき、私は足早に教室を出る。彼から逃げたくて、逃げたくて。
「ま、待ってよ、どこいくんだ?」
「……トイレだけど?」
「ああ、そうか、なら、一緒にはいけないな……」
……しゅんとするな。犬か、お前は。
「わかった、待ってるよ。またあとで」
……だから、犬かお前は。なによ待ってるとか。○チ公か。
まあ、さっさと済ませてくるかな……。
うぅん、待ってるって言ったのはいいけどさ。
「……うーん……zzz」
人の机に突っ伏して寝るとか、この子大丈夫かな。
「……起きなさいよ」
べしっと強めに叩けば、割とすぐ起きた。
「んぁ……ごめん、寝てたか……」
……うわ、よだれ。最悪だ。
「で、何の話だっけ……」
話の筋まで忘れる程に熟睡しやがったのかこの○チ公は。
「ああ、そうだ、海……あとで連絡するから、また今度ね」
そう言ってそそくさと教室を出ていく彼。ちなみに、メアドは既に強制交換された模様。
そんなわけで。私はどうやら海に行かなければならないらしい。仕方ない、ひとまずショッピングモールで水着を買わなきゃね。
後日、水着を買ったあとにドタキャンされたのは内緒。今となってはいい思い出だ。
それじゃ、今日はこのへんで。皆またね。
イッツ雑。ぷらちなむ雑に仕上がったけど気にせず投稿していくスタイル。