登山に挑戦してみたり。
やほ、皆。私だよ。
今日は……うん。また別に何をすることもなく終わるんだけど。せっかくだから、彼とお出かけでもしようかな。
山とか、憧れるんだよね。澄んだ空気とかよく言うから、割と気になる。
……そうだね、山にしよう。今回は。
それじゃあ、また。
―♥―
「はっ……はっ……」
「大丈夫?少し休むか?」
「大丈夫っ……」
あれ、山ってこんなに辛いんだ。高○山おそるべし。おかげで過呼吸気味だよ、まったく。
「少し休みな。それじゃ登れねーよ」
「わ……っと」
肩を掴まれ、後ろから膝カックンをされてペタンと座り込んでしまう私。……彼の心配性が発動した。
「ほれ、水。せっかく持ってきたんだ、飲めよ」
「……ありがと」
こんな時だけ男らしい。……いつも男らしければかっこいいのに。
「ねえ。ちゅーしてよ」
「嫌だね、こんな公衆の面前でなんかまっぴらだ」
ほら。こんなふうに恥ずかしがってしてくれな―――
「お前のキス顔は俺だけの特権だ」
「……っ」
い、いかんいかん。何ときめいてるんだ私。どうせいつもの冗談に決まってる。
「おい、顔赤いぞ?」
「あ、赤くないっ」
持っていたバッグを相手の顔に押し付けつつ深呼吸。はは、何を今更……って……
「空気……おいしい……」
「今更だなぁ。少しくらい余裕持って歩け、馬鹿」
返す言葉もなく意気消沈。隣に彼が座り、その場で一息ついた。……周りからはお似合いなカップルね、とか聞こえるけど私は知らない。お似合いなんかじゃない、私卑屈だし。
「……ん。怒ってる?」
「別に。怒ってない」
「そっか……ほっぺにチューしようか?」
「……すればいいんじゃない?」
「いつもなら「ダーリン、ちゅーぅー♪」とか言うくせに♪」
「う、うるさ、んっ……」
……うるさいって、言わせてくれなかった。ずるいよ、今ちゅーするとか。……反則だ。
「はは、満足かな?」
「……馬鹿」
ぎゅっと、彼の手を握って、立ち上がる。不思議と疲れていなかった。
「いこ。もうちょっとで頂上」
「……さいですか。また随分とご機嫌ですね?」
クスクス笑いながら彼も立ち上がる。はは、誰がそうさせたんでしょうね。
頂上には……みんなは連れて行かない。自分で見に行ってね。
ここからは私と彼だけで。それじゃあ。またね。
次は結構期間空きそうな今日この頃。