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始まり、始まり。

私が彼を嫌いだと、そう言ったのは、高校二年の夏頃だった。

当時の私は、それはもう高慢ちきで。周りから煙たがられるような、そんな存在でもあった。

そんな私に、彼は話しかけてきたのだ。……鬱陶しかった。

さも当然のように彼は、私の胸を、足を、腕を、腰を、髪を……思いつくところ全てに触れてきた。またしても、鬱陶しかった。

貞操観念なんて、持ったところで襲ってくる奴なんていない、そうタカをくくって歩いた夜道。そこにも、彼はいた。心配だと言って、ついてきた。……今度は犬みたいに思えた。

クリスマス、年越し。ひとり暮らしの私には関係なかった。でもやっぱり彼はいた。一緒に過ごしたいとせがんできたのだ。……やっぱり犬だと思った。

何かの催し物や祭日は、彼がいっつも傍にいた。……忠犬だな、なんて。

そんな彼は、今でも私の傍にいる。どうにも離れてくれないようで、結局、押し切られて付き合い始めた高三の冬。……その頃には、別に嫌でもなくなっていた。

彼はその後も、私の傍にいた。夜、港に行った時に、プロポーズをされた。……すごく、嬉しかった。

彼と私の、物語。とっても幸せで、とっても不幸せで、それでも一緒にいてくれる彼と、いつまでたっても素直になれない私の、たった一つの物語。

もしよければ、見ていくといいかな。何の変哲もない日常だけど、きっと何かを見いだせるはずだから。

それじゃあ、また、最後に。


-♥-


「……ねえ」

布団から顔を出して動かない彼に、私は話しかける。もちろん、顔を踏みつけながら。

「なんだよ」なんて、おとなしく踏まれながら返してきた彼に、私は。

「いいかげんパンツみるのやめてってば」

「今日は俺の好みだ、襲って欲しいのかなってさ?」

「……言わなくてもわかるでしょ。」

こんな会話、二年前にはあり得なかった。

そうそう。私は、生まれつき子供が出来にくい体質で。この身に彼との子が宿ることはないだろうと、医者に断言されてしまった。……いなくても、彼がいるからいいけど。……?なんで名前で呼ばないかって?理由なんてない、二文字で呼びやすいだけ。

「いつもみたいにダーリンって甘え」「!!!」

バコンッ。

「な、何もフライパンで殴らなくても……げふ……」

「うるさい。逝け」

げしげしと踏みつけつつも料理再開。別にひどくない、これが日常だし。……疑ったらどうなるかはわかるよね、皆。

「ね!今からするのはダメ?」

「……だ、ダメ……夜まで待ちなさい。それに、料理中だよ」

足をどけ、煩悩を消そうと一心不乱に玉ねぎを炒める。

……だめ、消えない。ダメだ、今日の私どうかしてる。今日はここまで。それじゃあ。

思い立ったが吉日!なんて言うじゃないですか。思い立ちついでに書いてみました。感想いただけると幸いです!

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