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初めて書いてみた小説がランキング1位を取っていたんだが  作者: 北田啓悟
第三章 VSなろう大賞 ブレイク・ジ・エターナル
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8 それでも僕らは諦めない

 文芸部の後輩男子とその彼女から激励の言葉をかけられて、彼らが帰ったのを見計らった後、自分の部屋に戻った。

 過ごしなれた自分の部屋。必要最低限の家具だけを取り揃え、机には起動しっぱなしのパソコンが開いている。彼らが来る直前まで小説を執筆していたのだ。


「わたしだってわかっているよ……書かなければならないことくらい」


 他に誰もいない部屋で、わたしはそう呟いた。

 作者として、天宮冬子として、『それでも僕らは諦めない』を完成させなければならない。そんなこと誰かに言われるまでもなくわかっている。


「ふぅ……」


 椅子に腰掛けてパソコンの前に座った。


「作品を最も愛している読者は、作者のはず……か」


 加々崎の彼女、確か、星海といった。星海のいった言葉をわたしは反芻した。

 戯言だと思う。作者だからといってどんな時でも作品を愛しているわけではない。自作は、夢は、時として困難な壁として作家の前に立ちはだかるものだ。そんな時、弱いわたしはすぐに逃げ出したくなってしまう。

 夢なんか叶えられなくてもいい。この苦しみから解放されれば――と。


「まっこと綺麗事ではない。夢を追うことは殺し合いだ。誰かが夢を掴んだ裏で、誰がか殺されているものだ」


 このわたしが殺されてしまっても、何もおかしいことはない。

 殺し合いに背を向けて逃げ出しても、何もおかしいことはない。

 ドン、とわたしは椅子を叩いた。


「――言い訳だな。どれもこれもていのいい言い訳、わたしはただ単に諦めたいだけだ」


 だって仕方ないだろう。限界を感じたのだ、青春モノでなろうと戦うことに。

 諦めたくもなる。どうして好きで始めたことが、こんなにも受け入れられないのか。小説投稿サイトと謳いながらその本質はファンタジー投稿サイトではないか。

 結局どこに行ったって流行りもの以外は望まれていないというのが現実だ。

 書きたいものと読みたいものは違う。わたしはそれへの理解を放棄していた。


「……『それでも僕らは諦めない』が終わったら、ファンタジーを書こう。何でもいい。テンプレ通りの異世界チーレムを書いて、無難な小説を作ろう。そうすればこんな苦労を背負い込むこともない」


 そうだ。わたしもみんなと同じように流行りの異世界チーレムを書けばそれでいいだけの話だ。

 それで簡単に人気を得られるではないか。読まれないことへの苦悩が消えるではないか。

 なのに――心はどうしてこうも空虚なのか。


「誰でも書けるものなんて書いたら、わたしが書く意味なんてなくなるではないか……」


 わたしはそれが怖いのだ。

 青春モノを書く――それはもうわたしにとってアイデンティティーにすらなっている。

 今さらファンタジーを書いたって、書く事への充実感が生まれるとは思えない。他の作者が書けばいいではないかと放り投げるのがオチだ。


「結局、八方塞がり。青春モノを書いても人気は得られず、ファンタジーを書こうにも充実感が得られない」


 だったら書くのをやめてしまえ。

 そう結論が出たのだ。


「あのふたりの手前、学校に行くとはいったが――『それでも僕らは諦めない』はやはり書かないだろうな」


 わたしはパソコンの電源を消した。

 ベッドに寝転んで天井を見つめる。

 ふわぁとあくびをした。


「ああ、幸せになりたい……」


 涙を流しながら、わたしは眠りについた。


 *


 夢とわかる夢、明晰夢をわたしは見た。

 場所はどこかわからない。元より夢で見ている景色だ、どこを見てもどことなく不自然である。だがどこか懐かしい。

 ――そうだ、ここは小学校だ。わたしが小学生のころ通っていた学校、その教室だ。誰もいない昼の教室である。


「ねーねー、あなたの夢ってなーに?」


 いや、一人だけいた。とても小さい少女がわたしに話しかけていた。小学五年生くらいといったところだろうか。

 わたしは彼女を見下している。夢だが、わたしは現実の体でいるようだ。……彼女は誰なのだろう。見覚えがないが。


「夢? そんなものないよ。わたしはふつうに生きていくのだ」


 喋る気などなかったのだが、夢だから抑止力が効かないのだろう、わたしは少女に言葉を返していた。


「えー? 夢がないとつまんないよー」


「夢があると辛くなるよ。君のような小さい子供にはまだわからないだろうが」


「小さくないもんっ!」


 顔の近くで両手を握って、少女は頬を膨らませた。

 クス、とわたしは思わず笑ってしまう。それから彼女を諭すようにいう。


「いいか。夢を叶えるためには努力がいるものだ。それも、人生を捧げなければならないほどとてつもなく大変な努力をだ」


「へー。大変なんだね」


「大変なんだねって……他人事みたいに言うなよ。君のことだろう?」


「あっ、そうだった! あうー、大変な努力をしないといけないのー……」


 しょぼんと少女は俯いた。言い過ぎだとは思わない。本当のことはきちんと伝えるべきだ。夢を競うことがどれだけ大変なことかと認識をつけておいて、覚悟をハッキリ決めさせておかないと、途中で挫折してしまう。

 肝心なのは、大きな壁を前にしても折れない心だ。

 少女は顔を上げて、キッとした表情でいった。


「でも、わたし頑張るっ! 絶対に夢を叶えたいの! 努力だっていっぱいする!」


「本当にできるのか? 夢によっては努力の量も様々だが、場合によっては死ぬ気でやらないと到達できない夢もあるのだぞ」


「いいの! だってその夢を叶えずに生きていくなんて、どうせ死んでるようなものだもんっ!」


 これは驚いた。

 こんな小さい女の子が、こんな言葉を言うなんて。


「どうせ死んでいるようなもの――か。そうだな。夢を叶えられずに惰性で生きている人間は、死んでいるも同然だな」


 わたしは少女に目線を合わせるよう膝を曲げた。少女の頭を撫でつつ、言葉を伝える。


「わたしは死んだ人間だ。君は、こうなってはいけないよ」


「え? あなたは死んだ人間なの?」


「そう。わたしは死んだ人間だ」


「うっ……うぅ……ひっぐ……えぐ……」


「っ! あ、う……! 何? どうして泣くのだ……!? お、おい!」


 少女がいきなり泣き出して、わたしはパニックに陥った。参ったな。子供の扱いは慣れていない。こんな時どうやって慰めたらいいのかわたしにはわからない。

 せめて理由だけは聞くべきだろう。


「どうして、泣くのだ? 君が悲しむことはないだろう……?」


「死んじゃやだぁぁ……し、死んじゃ……。ひぐゅ、そんなの、悲しいよぉぉ……! あう、うぅぅぅ……っ! ひぎゅ、うぅぅぅ……っ!」


「…………そうだな。悲しいな」


 当たり前か。目の前に挫折した人間がいるのだ。これから夢を叶えようという人間に不安を与えてしまったのだろう。

 どうしたら少女は泣き止む? ――わかっている。そんなことは決まっている。だが、わたしにそんなことはできない。


「ごめん、ごめんな……わたしはもう、書けないんだよ……諦めたんだ……だから、ごめん……ごめん……っ!」


「あ、う……っ! やだぁ……諦めないでよぉぉ……! 諦めちゃ、やだぁぁぁあぁ……っ!」


 書き出せば泣き止んでくれる。だけどわたしは諦めたから――ふたりして泣いてしまった。

 お互い、身を寄せ合って、抱きしめ合って、悲しみの涙に溺れた。

 無念の挫折を悔み、無力な自分を呪い、無残な最後に抗いきれず……泣くことしかできない。泣くことだけがわたしに残された自由だった。

 グッ、と少女はわたしを強く抱きしめた。わたしは彼女の顔を見る。


「わ、わたしは……諦め、ない、からぁぁ……!! 絶対にっ、夢を……う、ううっ、叶える、からぁぁ……!!」


 わたしは心が震えるのを感じた。こんな小さな女の子が、夢に押しつぶされた人間を前にして、それでも決意を曲げなかったのだ。

 この子は、わたしなんかよりよっぽど尊い人間だ。この子なら本当に夢を叶えてくれる。そう思わせてくれる。

 わたしは少女を応援した。


「ああ……諦めるな……! 諦めちゃいけないぞ……! 諦め、たら……ぐ、う……人間は、死ぬんだ……! 君は……君だけは、死なないでくれぇ……っ!」


 情けないな。こんなかよわい少女に、すがるように抱きついている。心が挫けているのはわたしの方だ。

 せめてこの子だけには夢が叶ってほしい。どんな困難がやってきても、希望を信じて打ち破ってほしい。そしていつしか輝ける日々を手にしてほしい。

 だからわたしは、彼女に、応援の言葉をかけた。精一杯、わたしにできることだった。


「君なら、できる…………! 君なら、きっと叶えられる……! わたしは信じている……っ! 絶対に、絶対に……大丈夫っ、だから……!!」


「う、うぅぅ……はぅぅ……っ! ――ずずっ! う、うんっ! わたし、絶対になる……! 夢を叶えて、絶対に、絶対に……!!」


 少女は言った。

 己の夢を言葉にした。


「絶対に、小説家になる!!」


 見覚えのない少女――否、忘れていたその彼女は、子供のころのわたしだった。


 *


「……うう」


 頭が朦朧としている。視界がたゆたっている。夢を見ている間泣いていたのだろうか、目の端に涙の線ができていた。

 思い出したよ。

 子供の頃から――小説家になることが、ずっと夢だったな。

 忘れていたよ。


「そうか……小学生のころからもう書いていたんだっけか。そんな前から書いてたんだ……」


 額に腕を当てて、しばらくボーッとする。

 そして勢いよく体を起こして、ベッドから出た。わたしは走るように押入れへ行って、中を漁った。


「どこかにあるはずだ……残しているはずなんだ……」


 昔はパソコンを持っていなかったから、ノートに手書きで書いていたはずだ。覚えている。学校でも家でもどこでも書いていたんだ。必ず残しているはずだ。

 押入れの中のものを出していって、奥の奥へと掘り進む。そうしてダンボール箱の中に入った数冊のノートが顔を出した。


「あった、これだ……!」


 表紙に『転校生は吸血鬼!?』と作品名が書かれた古ぼけたノート。折れや傷が見られるものの、だからこそわたしはワクワクしながらそのノートを開いた。どんなものを書いたかなんてもう忘れてしまったから。


「…………懐かしいな。ふふっ」


 冒頭から笑ってしまった。これは確か、その頃読んでいた少女漫画の始まり方とほとんど同じだ。拙い語彙に、ご都合主義な展開運び。どこもかしこもあどけなさで満ちている。

 わたしは夢中になって、手書きの自作小説を読み進んだ――ひどいな。これはひどい。小学生が書いたものとはいえもっとマシなものが書けないものかと頭を悩ませたくなる。ギャグもパロディばかりで寒い。説明台詞が多すぎる。

 そんなひどいものでも、読む手を止めることはできなかった。読み進めていくうちに記憶がどんどん蘇る――そうだ、そう。告白のシーンだ。吸血鬼の転校生が、主人公の血を吸いたいと告白をする。その時のセリフが……


「『お前の純潔(純血)オレがもらってやるよ』……くわぁぁぁーーーー!! 恥ずかしいぃぃぃぃーーーーっ!!」


 純潔と純血をかけたことに当時は大はしゃぎしていたのだろう。よくもまあこんなアホみたいなセリフを吐かせたものだ。しかもルビに漢字って何。

 わたしは足をバタバタさせて悶絶した。完全に黒歴史だこれ。


「はははは! あー! いやー……うん、面白いなぁ」


 残念ながら告白のシーンを最後に『転校生は吸血鬼!?』は終わってしまっていた。本当はここから同級生の男の子と取り合いになる展開になる予定だったのだが、小学生のわたしはここで力尽きてしまったのだった。


「で、これは……中学生のころに書いたものか。どれどれ、どれくらい進歩したのかな?」


 わたしはもう一冊のノートを手にした。タイトルは『あなたなんていなくなればいい』。暗い。なんて暗いタイトルだ。中学のころのわたし、何があった。


「うわぁ……冒頭から重すぎるぞこれは……」


 主人公の自分語りからストーリーが始まっている。しかもその内容が、学校なんてただの洗脳施設だとか、友達を増やすと頭が悪くなるだとか、この世は欲望にまみれて生きる価値なんてないだとか……そういうことを延々と語っている。

 やっとストーリーが始まったかと思えば、そんな厭世主義の主人公を珍しがって興味を持ってくれる同級生が出てきて、またぞろグチグチと暗いことばかりを話しているだけだった。持ち合わせの知識をフル活用して世の中を批判しており、同級生の子は親身になって話を聞いている。いい子すぎるだろ、この男の子。仏か。

 うーん。話し相手が欲しかったんだろうな。あの頃は荒んでいたからな。まぁ語彙や展開運びはよくなっている。独りよがり感はかなり強くなったが。

 そして残念なことに、この小説もラストを飾れず途中で終わってしまっていた。ここから面白くなりそうなのに、もったいない。


「なんだ、昔のわたしもけっこう頑張っているではないか」


 ほかの作品を読んでみても、順を追って成長してきているのが手に取るようにわかる。

 わたしは自作を読むことに没頭して、ついにはスマホから、小説家になろうに初めて投稿した作品まで読み始めた。

 この頃になるともうほとんど垢抜けている。語彙の選択は的確だし、読者を意識した展開運びも舌を巻くほどだ。

 何より、わたしがきちんと最後まで書ききった初めての長編作品だった。


「ああ……やはり最後まで書いてあると……いいなぁ」


 ちゃんと最後まで頑張ったんだなと思える。不格好だけれど、その努力は確実に次につながっているよ。

 初めて投稿した作品から、バリバリ発表した作品群。それらは失敗を経験に変えて、成功へと繋がっているよ。

 そしてそれは現在のわたしにまで繋がっている。

 わたしは目を閉じた。


「未来のわたし――もしあなたが自分の作品を読み返して、途切れているラストを目の当たりにしたらどんな気持ちになりますか?」


 そんなの決まっているだろ、『最後までちゃんと書こうよ』だ。


「ですよね」


 わたしは目を開ける。

 こんなところで終わるなんてもったいなさすぎる。今の物語を書けるのは、今のわたしだけだ。ここで諦めたら、『それでも僕らは諦めない』は永遠に未完のままだ。


「そうだ……わたしはこの作品を――『それでも僕らは諦めない』を、心から書きたいと思っていたんだ」


 証明のためではない。他の作家の希望になるとか、なろう大賞に受賞したいとか、そういうのもすべて後付けの理由だ。本当の理由はそこにない。

 いつしか自分のためが、誰かのためにすり替わっていた。自分の夢なのに、他人を喜ばせるための材料になっていた。だから自分の気持ちが徐々に殺されていった。

 違うんだ。本当の理由はそうではなかった。

 わたしがこの作品を書きたかった本当の理由、それは――わたし自身が、最高に面白いと思ったから。

 どんなに辛い逆境でも、諦めない人間を描きたい。そう思ったから。

 わたしはなりたかった。

 なろうで青春モノを書き続けられるような人間に。

 読者がいない二年間の冬を乗り越えられるような人間に。

 そして子供のころからの夢を叶えられるような人間に。


「そうだ。とてつもなく大変な努力を前に、多くの人間は挫折してしまう。もっともな言い訳を口にして、自己の無力を正当化する。いつしか夢を追っていたことさえ忘れて、まっとうな人間としてふつうに生きていく。夢を叶えるということは、本当に本当に難しいことだから」


 だからこそ。

 わたしはなりたかったんだ。

 こんな言葉を言える自分になりたかったから――


「それでもわたしは諦めない」


 諦めに抗える人間に、わたしはなりたかった。『それでも僕らは諦めない』って言える人間になりたかった。

 小説家になりたかったんだ。


 *


 それからわたしはパソコンをつけ、作品作りに没頭した。

 一時間二時間とひたすら小説を書き続けた。


「一週間も休んでいたのか……フフ、すこし休みすぎだな」


 休養が取れて疲れが吹き飛んだのだろうか、執筆の調子は絶好調を極めている。

 頭では何も考えてない。書いた文字がそのままストーリーになっていく。小説を書いているという感覚はなく、まるでアニメを見ているかのように自動的に話が形成されている。

 書いているわたし自身が、先の展開がどうなるのか気になって読み進んでいる。


「し……から…………僕、たち……。そう…………諦め……ない…………あな…………だから…………」


 加々崎といっしょに即興小説対決をした時と同じ状態だ。

 完全なる集中状態。

 打鍵する指の動きは光速を超える。


「ん……んぐ……ごく……ごくん……ぷはぁあぁっ! よし、ラストスパート!」


 コーラを飲んで糖分を補給する。

 三時間四時間、五時間、六時間……体感で一週間以上もの濃密な時間を、執筆することだけに費やす。

 サクセス、クライマックス、カタルシス――書きたかった展開をすべて書き終える。

 そしてついに――


「僕ら……は……絶望…………負けない、力を…………そう…………己……信じる心……………………」


 最後の句点、物語への終止符を打った。


「できた……できたぁぁ……!!」


 体を一気に脱力させ、全身で椅子にもたれかかった。

 脳の容量は飽和状態となり、全力以上で書きすぎたせいで頭がクラクラである。

 だが、いい。

 疲れなんてどうでもいい。

 わたしは完成した『それでも僕らは諦めない』の最終展開を、最初から最後まで通して読んだ。


「…………ふふ、はは。完成した作品を一番に読める。これだけは作者の特権だな」


 涙が出そうになるくらい面白かった。

 今までやってきてよかった、今頑張ってよかった、心からそう思える最高の出来だった。

 ありがとう。ありがとう。

 誰に対しての言葉なのかはわたしにもわからない。

 だが、とにかく――ありがとう。


「ああ、幸せだ……」


 そうしてわたしは完成した『それでも僕らは諦めない』を、小説家になろうへ投稿した。

 願わくば、この面白さが読者にも伝わらんことを。


 *


 小説の投稿を終えたあと、ふと気になって加々崎の書いている『男子高校生が異世界に行ってみたらこうなった』の様子を確認しにいった。

 するとあろうことか、加々崎の方も一週間前から執筆が止まっていたではないか。

 あいつめ、わたしを心配しておいて自分のことも疎かにしていたのか。余計なお世話をする前に、まず自分のことを何とかしろという話だ。


「フッ」


 本当に仕方のない後輩だな。

 あいつが家に来た時は気が重たかったが、今は、明日学校に行くのがものすごく楽しみだ。

 待っていろよ、加々崎。お前のほうこそちゃんと学校に来るんだぞ。

 そして必ずやってこい。


「これは説教が必要だな――文芸部の部長として」


 文芸部で、また会おう。

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