4
それから俺は五時間ほどぶっ通しで小説を書きまくった。
「十時……」
時計をみると、もう22時である。
さすがに頭が空っぽになった。
俺は一段落して、書き終えた小説たちを保存する――今日だけで五話は書いた。ふつうどれくらいのペースで小説が書かれるものなのかはよくわからないが、俺にしてはめちゃくちゃ頑張った方だった。
そして、
「ついに、か……」
俺は、ついに小説を投稿する。
小説を投稿するためにはアカウントを取る必要があるのだが、思いのほか簡単に取れた。
俺は初めて書いた小説を投稿するために、『投稿』というボタンを押した。
投稿画面に飛ぶ。
そこにはいろいろな項目があった。投稿するためにはこれらの情報を入力していく必要があるらしい。
俺はそれらを順々に埋めていく。
「ええっと」
これであっているのかと不安になりながらチェックをつけていく――
小説の種別は、連載小説。
年齢制限は、なし。
二次創作では、ない。
「んで、あらすじ? あらすじかぁ」
そういえば俺の読んでいたお気に入りの小説も、あらすじがよかったから読もうと思ったんだよな。
そうか。あらすじも考えなくちゃいけないのか。
どんなあらすじにしよう――まあ適当な感じでいいだろ。よく商業の小説の裏面に書かれているような、あんな感じを真似ればいいか。
俺はあらすじを入力した。
「んで……」
小説タイトルを決めて。
サブタイトルを決めて。
ジャンルにはファンタジーを。
キーワードには異世界・チート・ハーレムあたりを。
まえがきには初投稿という注釈を。
「よし」
必要な項目をすべて埋めた。
俺の小説――題して『男子高校生が異世界に行ってみたらこうなった』が出来上がった。
そして、『投稿[実行]』というボタンを押す。
画面に映る――投稿完了のページ。
投稿完了しました。
反映に時間がかかることがあります。
赤色の二文が表示されていた。
初めて見るその投稿完了ページに、俺はただ感動した。
「おぉぉぉぉ……っ! これで俺もなろう作家かぁ……っ!」
全身が震える。
俺は新たな一歩を踏み出したのだ。
俺は、しばらく投稿完了ページを眺めていた。とくに意味はないのだけど、もうすこしだけこの余韻に浸っていたい気分だった。