星に願いを
ある夜のことです。
その日、どうにも寝つきの悪かった私はベランダへ出て、星を眺めていました。
普段、星を眺める習慣なんてありません。
だからでしょうか。久々に見る夜空はどこか新鮮に映ります。
都会の空からは星が見えづらいのだとよく言うけれど、私の目には沢山の星々が輝いて見えました。
それから暫くの間。
私は静かに星を見続けました。
やがて肌寒くなり、そろそろ屋内に入ろうと立ち上がった時、視界の端をそれが横切ったのです。
「流れ星だ......」
夜空に一瞬の軌跡を描く光芒は、消えては現れ、また消えては現れます。
「そうだ、願い事」
流れ星に願い事をすると、その願いは叶う。
いつか聞いた嘘みたいな話。
きっと迷信なのだろうけど、ロマンがあっていい話だとも思います。
そうして。
私は、流れ星に願い事をしました。
「どうか、明日学校に隕石が降って休校になりますように」
その願いが叶ったかどうかは、また別の話です。
「明日、学校に隕石でも降ってきて休みにならないかな」
子供の頃、よくそう考えました。
きっと明日に何か嫌なことがあったのでしょう。
実際に降ってきたら大変なことになりますが、願うだけなら何でもありですね。