魔王だけどなんか王女近衛騎士にされた
俺の名前は千代目魔王クロマ・シロマ、ちなみに転生者です。
えっ? 千代目って長いって? いきなり転生者だって? 頭大丈夫かだって?。
分かるぜその気持ち。
学校の帰り道いきなり後頭部に激痛を感じたと思ったら赤子になってたんだよ。
これがいわゆる転生ってやつかって、生まれて五分で分かったぜ。
思わず発狂したぜ。
オギャーーと叫びながらな!。おかげ母親の母乳の味を思い出したぜ。あれは凄い、愛情という名の味も含まれてるんだぜ。
そして自分が魔王の息子だと知り色んな事があって現在。
両親はただ今隠居生活中、いちゃいちゃしやがって羨ましい。
今年で十四になる四つ離れた妹は、俺の溺愛のせいでヤンデレ化。しかもかなりヤバイ方向の。監禁なんて序の口、先週は危うく洗脳されかけた、あれは冗談抜きでまじでヤバイ。
俺直属の魔王軍最強の四天王も幼い頃一緒に遊んでいて色んな事があったせいか全員ヤンデレ化した。
何故だ?
どうして俺の周りにはヤンデレしかいない。俺のせいか?。俺がお人好しの世話焼きだからか?。
それともこの世界で手に入れた前世では無かった完璧なフェイスのせいか?。それだと、四天王の一人のあのイケメン野郎がヤンデレる理由がわからない。
まあ、それはともかくだ。
そんな事は問題ではない。問題はこれだ。
目の前の鏡に映る黒髪黒目の絶世の美女だ。
ハッハッーオレだー。
なぜこうなったー。
俺の驚異的な魔王頭脳をフルで活用した結果、間違いなくあのヤンデレ共から逃げる為に使った転移魔法によるものだろう。
しかもただの転移魔法ではない。あの時は必死の余り気がつかなかったが、転移魔法の究極形である異世界転移魔法だ。
俺の身体はハッキリと言って特殊だ。何と身体が魔力で構成されているのだ。つまり簡単に言うと魔力の塊で、変幻自在に身体を変化させられるんだぜ。
こいつのおかげで女風呂を何億回覗いた事か、未だにバレていない。現在も覗きの新記録更新中だぜ。バレてもやめないぜ。
さて、現実逃避も終わりだ。
俺の身体は魔力の塊、つまり実体を持たない。故に、異世界転移により何らかの原因でこの身体の中に入ったのだろう。憑依と置き換えてもいい。
黒髪黒目なのも俺の魔力の影響だろう。
しかし、何回見ても最高だぜ。
前世の俺なら告白して即フラれてるとこだぜ。現在なら自信はあるが、こんな事になっては無理だろう。ハッハッー俺の馬鹿野郎。
部屋の中を見回すとこの身体の持ち主の物だろう白銀の鎧に立派な剣と盾があった。
剣を取って鞘から出してみると眩い輝きを放つ刀身が出る。
ショボ!!。何この安もん。ミスリル製の剣何て弱すぎだろ。魔王軍のしたっぱ兵すらアダマンタイト合金製の剣が当たり前なのに。
取りあえず窓から見える風景から推測するにここは人間の国なのだろう。そして、この安も……剣と盾、鎧の紋章を見るにこの身体の持ち主は騎士だろう。
俺は変態という名の魔王兼紳士だからこの身体を弄りはしない。故にこの安もんの……あっ言っちゃった、まあいいや、鎧に着替える姿を鏡を通してガン見してたりは断じて無い。一秒間に百回ぐらい高速チラ見をしてるが、いいだろ別に俺魔王だしチラ見だし。
着替え終わったのでとりあえず部屋から出る。どうやらここは寮だったようで部屋が沢山ある。
そして前方に見えるはでっかい城。
おいおい大丈夫か俺? いきなり敵の拠点のしかも中枢に来て。俺悪魔だぜ。悪魔以外全員敵だぜ。
でも俺は平和主義者。戦争やら侵略とかはしない。それよりも綺麗なお姉さん達とイチャイチャしてる方がいい!。
「おはようルカ。今日もいい天気だね」
何だ? この声から察するに……女の子!。
振り替えるとそこには十八ぐらいの茶髪の可愛い女の子がいた。
やべー、俺のハートにストライクだ。自分でも何言ってんのかわかんねー。
俺と同じ鎧と言う事は同じ部隊か?。
「今日も王女様を守る為に頑張ろうね」
眩しい笑顔で言う女の子、俺は君を守ってやりた……えっ? 王女様?。
「最近王の後継者争いで王宮内は凄く危険で敵だらけだから、私達第七王女直属近衛騎士団は王位継承最下位の王女様を守る為に何時も以上に頑張ろうね。もちろんあの地獄の訓練にも負けないようにね」
まるで自分の将来の夢でも話すかのように言う女の子に俺は頭痛を覚える。
マジかよおい。何て厄介な状況にいる奴に憑依してしまったんだ。王位継承者争い何てやばすぎるぜ。血で血を洗うようなもんだぜ。
俺の心の内など知らない女の子は俺の手を掴むと駆け出す。
「さあ、早く行こルカ。急がないとまた団長や副団長、メイド長にしごかれるよ」
「えっ! ちょっ!」
そして俺はこの元気はつらつな女の子に手を引かれて城へ駆け出す。
凄い展開になって来たぞ! つうか俺魔王だぞ。いいのかなぁー?。
まあでも、女だけで構成されてる騎士団ならいいかも。
そして後にこれは、王国初となる女の王とその王を守る最強の騎士団の誕生の第一歩。
これから世界に轟く、伝説の始まりに過ぎない。
(あいつら俺の事追って来ないよな? 大丈夫だよな?)