エピローグ
真の恐怖のお話しのエピローグです。
楽しんで読んでください
梅雨もたけなわの中
まるで一息ついた様な
晴れ間の一日が何事も無く過ぎて行った。
毎日の日課である
寺の境内の掃除を済ませ
住職に挨拶に行くと
『隆…茶を飲んで行かぬか?』と誘われた。
折角だから一服よばれていこうかと住職の元へと行った。
急須に茶葉を入れ
火鉢に掛けられた南部鉄瓶の湯を注ぎ入れ
じっくりと葉が開ききるまでの間が待ち遠しい。
香ばしい香りを漂わせ
湯飲みに注がれた上等のお茶を住職に勧められ一口啜った。
『住職…美味しいお茶ですね』
『お主が人が変わった様に仏の加護を受け入れて
改心したご褒美じゃよ』
『全く地獄に仏とはあの事で…際限の無い輪廻の苦しみから救いだして頂き
新たな人生こそは
全うにそして仏の御心にすがって生きて行こうと
思ったまでです。』
『そうか…それは感心な事じゃ…
茶菓子でも食べてゆっくりしていくといい。』
『有難う御座います。
それではお言葉に甘えて』
暫く住職の有難いお話を伺いすっかり長居してしまった。
もう陽が傾きかけている
住職に断りを告げ家に帰る事にした。
田圃の畦道を歩いて家路に向かう。
西日が傾き影が長くなるその中に
西日を背にする様に
畦道の真ん中に一匹のガマガエルがコチラをにらんでいる。
立ち止まり…
そのガマガエルをそっと端に避けてやり家に向かおうとした。
『おい!!仁左衛門!!』
ガマガエルが俺を呼び止める。
俺は振り返り…
久し振りだな…
隆…
『仁左衛門!!俺の体を返せ!!』
『やなこった…
折角人間に戻れたんだ。たとえお前の体だとしても
心を入れ替えて
人間らしく生きていくんだ
そして…もう…ガマガエルなんかには転生しないんだ。
隆…おまえは罪業が消えるまで何百年も地獄とガマガエルへの転生を繰り返すことだな…
罪業が消えればまた人間に転生出来るさ。
まあ頑張んな…』
軽く右手をあげて
隆の姿をした仁左衛門は
畦道を歩いて帰っていった。
いかがでしたか?
最後の最後でのどんでん返し
楽しんで頂けたら
誠に嬉しくおもいます。




