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地獄に仏?

全てに見放された隆に

救いの手が差しのべられる。

どの様にして

仁左衛門を退治するのか?

仁左衛門の奴…

自分の口から流す膿の臭いで蝿を呼び寄せ


それを喰ってやがる…


まるで蛙が餌を食む様に

長い舌で絡め取る様にだ


俺は心底恐怖を覚えた。


早く何とかしなきゃならねぇ 焦りだけが先走る。


ありとあらゆる所に相談したが今までの行いのせいか…

誰も力になってくれない絶望の底でうちひしがれる俺に意外な所から声が架かった。


それは近所の寺の住職からだった。


住職は

喩え…仏の加護が無くなったとしても困っておるものを目の前にして、手を子招いている訳にはいかんでの』

全く地獄に仏だ…


『とは…言ってもお前には仏罰が下り仏の加護を受けらねぬ

そこで…ワシは古い文献を探してみた。

すると…有ったのじゃ

人面瘡を退治した記録が…』


『本当なのか?住職!!』


『但しお前も苦しむぞ。』

『何でも良い!!こんな奴に腹の中から腐らされるよりましだ。』


『隆、覚悟は出来ておると思って良いな?』


『四の五の言わずにとっとと始めてくれ。』

すると…住職はおもむろにキセルを取り出し刻み煙草を詰め火を着けた。


『フゥーっ』

と煙を仁左衛門に吹き掛けた。


『グェッ! グワッ!何て事しやがる』


『やはり人面瘡には煙草が有効じゃな?

文献では煙草のヤニを人面瘡の口に入れると

人面瘡は消え取りつかれておった若者は全快し善人に生まれ変わったそうじゃ。』


善人にはならねぇとは思うが此処は一つ大人しく言う事を聞いておこう。



『それでは…隆…始めても良いかな?』


『住職…宜しく頼む…』


住職は木べらに煙草のヤニを塗りつけ仁左衛門の口の中に突っ込んだ。


『グェェェェッ!!』俺は嘔吐した。俺は蝿を吐き出していた。

意識を失う寸前に

ニヤリと笑う奴の顔を見た気がした。












半年後…

寺の境内を掃除する隆がいた。

『隆…今日もご苦労じゃの』

『せめて…仏の側で仏に仕えたいだけの事ですよ。

折角取り止めたこの命…

大事にしたいだけですよ。住職』


『それは良い事じゃ…』

住職は本堂に姿を消した。

隆は掃除を終えると

畦道を歩き家路に帰って行った。


次回エピローグです。

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