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人面創

右脇腹に出来たアザに痛みはない。


夢に現れ今度は話し掛けて来るガマガエル


相変わらず

町で嫌われ者の鼻摘み者

隆は今日も肩で風を切る。

違和感を感じた右の脇腹には痣が浮き出ていた。


その痣は親指の先ほどの

大きさで


取るに足りない事だと

無視を決め込み浴室を出た。

真新しい下着を着け

パジャマをはおり

いまだに五月蝿い蛙の鳴き声に悩まされながらも

ベットに横になった。


程なく浅い眠りに就いたのだろう。

またも田圃の畦道でひしゃげた面をした

ガマガエルが


その歪んだ微笑みを浮かべ俺に話し掛けてくる夢を見た。『お前は…悪逆非道な行いを繰り返して来た…』


『それがどうした!!

蛙の分際で俺に説教するんじゃねえ!!』


蛙ごときが説教をしても俺は聞く耳なんぞ持ってねぇ。


『あの畦道でワシを踏み潰さずにおれば…

仏はお前の悪行を、お許しになったのに…』



『だから…それがどうした仏の情けなど受けなくても俺は何も困らねぇ!!』


『聞く耳すら持たないというのか?

これが…二度目のチャンスだっのに…



本当に心を入れ替え正しい行いをしないと


お前は生きながらに地獄へ落ちるだろうよ。』


ガマガエルは不敵に笑う


俺は夢の中のガマガエルを今一度踏み潰してやった。

目玉は飛び出し

腸をぶちまけて奴は

二度目の死を迎えた。



俺は…

そこで…目が覚めた…


もう…空が明るくなっている

ベッドから起き上がり洗面所へ向かい自分の面を見た。



夢見が悪かったせいなのか?

はたまた田圃の蛙の鳴き声が煩かったせいなのか?

少し顔が腫れぼったい。


顔を洗い歯を磨いてから両手で自分の面をパンッと叩いて気合いを入れた。


パジャマから洋服に着替え今日はどうやって

町の奴等から金を巻き上げようか?


と思案していた。



俺の頭の中にはもうあのガマガエルの忠告など

微塵も残ってなかった。












今日は昼飯時に食堂に入り定食を頼んだ。


あらかた食べ終わると…


『おい!!

この店は虫の入った飯を出すのか?』と難癖をつけた

『金で話をつけてやる』

と言う俺に

店の主人は金を出し渋った。

金を出さないのなら…

店の親父を引き摺り回し

ボコってやった。


俺は町の嫌われ者で鼻つまみ者だ…


今日は気分がいい

金にはならなかった事は癪に障るが俺は肩をいからせ風を切る様に歩いて帰った。

家でひとっ風呂でも浴びようと浴室で服を脱いだ。


ふと…頭をよぎる

昨日の痣…


右脇腹に目を落とすとそれは…


大きくなっていた。


仏の顔も三度まで


忠告に全く耳を貸さない隆の右脇腹の創は大きくなって行く。


次回も乞うご期待

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