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VRMMO

最近デスゲーム系の漫画をよくみるので、ソフトデスゲームを考えてみました。

見ず知らずの女をレイプ犯から助けた俺は、

レイプ犯から傷害罪で訴えられた。執行猶予がついたおかげで

刑務所にはいかずに済んだが、前科者になった俺は、

苦労して獲得した内定を取り消しされ、レイプ犯から

請求された損害賠償でけっこうな額の借金をこさえていた。


バイトもなかなか決まらない中、日課の電子の海の波に乗っている時、

大規模社会実験の参加者募集の広告を目にする。

まぁ、要はよくあるVRMMOの募集広告なのだが、


今までのVRMMOとの違いは、とある大金持ちがスポンサーになって、

どのようにゲーム内のローカルルールや社会性が形成されていくかの

観察が主目的らしい。


過去最高の参加者を集めるために、ゲーム代が無料どころか

ゲーム内マネーをリアルマネーに換金してくれるのが売りだ。

新手の詐欺みたいな話だが、世界の半分の資産を有するといわれる

大金持ちが、記者会見で明言してるのだから詐欺ではないだろう。

一応、上限も設定されている。もっとも、その上限は兆の上の桁で

あれ、なんて読む桁だっけかって感じの額だった。


レートは当初変動で、最終的には固定になり、リアル時間の8時間、

ゲーム内でがんばって金策すれば約7000円になるように設定するそうだ。

ゲームバランスもこれが基準になる。


未定であるが、だいたい、リアル時間の8時間は、ゲーム内の1年間に

相当するように設定するとのこと、VRMMO経験者の俺は、正直いって1年間

働いて、たったの7000円かよって思ったが、VRMMO未経験者達は

8時間遊んで7000円もらえると認識している。また、マスコミもそう煽った。

サービス展開は世界各国が対象だ。


まぁ、体感1年で7000円という超薄給であっても、他にやることもない

前科者の俺は、迷わず応募した。執行猶予中であっても応募可能だった点がでかい。


日が経つにつれ、サービス開始前に決定事項が順次公開されだす。

リアルマネーが絡むことから、クローズドベータもオープンベータも無し、

テストプレイ無しの一発本番サービス開始、仮に、サービス展開が不可能となる重大な不具合が発生し、

その不具合を利用してゲーム内マネーを稼いでも巻き戻しは無し、不具合は修正するが

不具合利用者の丸儲けとなるという強気のサービス展開でいくそうだ。


まぁ、旧世紀のMMOと違い、VRMMOはログイン中は攻略サイトを見ることができないので、

ゲーム内マネーの無限増殖が大勢のプレイヤーに瞬時に広まるということはない。

そして、今回のVRMMOは、ログインできる回数は一人たったの1回というとんでもない規制があるので、

攻略サイトを見ることはできない。


このログイン回数が一人たったの1回という発表を受け、長時間ログインを可能にする

専用カプセルを所有していない貧困層から大きな反発が生じる。

これに対し、運営は各国に専用の施設を建設し、格安で専用カプセルを利用できる体制を

構築することを約束し、この反発を収束させる。

運営は、プレイヤーが一人でもいれば、リアル時間で20年間サービスを提供することを約束した。

つまり、ログアウトしなければ、20年間カプセル内で生活できるということである。

ちなみにVRMMOの最長ログイン記録は120年間であるから、20年間というのは短いと表現できるかも

しれない。


なぜ、たったの1回しかログインできないのかというと、ゲーム内マネーをいかほど稼いだら

ログアウトしだすかという行動も観測したいからだそうだ。


サービス開始が近づくにつれ、種族や職業なども紹介されだす。

VRMMO経験者には、うれしい知らせが発表された。ユーザー発案によるオリジナル設定職や種族の実装だ。

他のユーザーとのゲームバランスを壊す可能性もあるが、ゲームのスパイスとして実装するとのこと。


オリジナル設定職には当然ながら、一般キャラよりも大きなデメリットもある。

プレイヤーキャラクター間の単純な強弱比較に採用されるキャラクターレベルの成長が遅い。

初期開始位置が一般キャラと異なる、一部アイテムや施設の利用に制限があるの3点である。

キャラクターレベルに関してカウンターストップ、つまり上限を実装するかは未定、

世界地図の事前公開も無しという点でこの2つのデメリットがどのくらい大きいのか予測は困難となる。


デメリットに関しては、一律ではなく、ユーザーオリジナル設定によって受けるメリットに

合わせて、デメリットの程度を反映させていくとのことだった。


ユーザーから送られた設定はどんな設定であっても、詳細に全部読み、全採用にならない場合でも、

部分採用する場合もあるから思いつく限り書きまくって送ってくれとのことだった。

事前予想のネット掲示板では「んなことはない」という意見も多かったが、

俺は、天文学的数字ではあっても、賞金総額に上限を設けたり、専用カプセルを低額でレンタルする

運営姿勢を評価して、運営を信じることにした。だから、設定を書かなきゃよかったという後悔よりも、

書いときゃよかったという後悔のほうがダメージがでかいと考え、


採否は開発運営しだいと割り切って、勝手に採用水準を設定せず、ちょっとした小技から

荒唐無稽奇想天外な案まで、思いつく限りの設定を書きまくって送った。


大枠のシステム紹介はされだすが、細かい設定は非公開やぼかした表現で公開される。

道具屋や、武器屋というNPCは存在しない、ユーザーが店舗を借りて商売を行う

などの情報も流れ出す。プレイヤー間で戦闘できるのかという情報に関しては

可能であるが、詳細は非公開と発表された。


理由として、対人スキルと対モンスター用のスキルがあり、事前情報がない状態で、

キャラ作成時にどちらを優先させるか傾向が見たいからとのことだった。

プレイヤー間の戦闘が禁止される安全地帯が存在するのか?

街中で戦闘した場合に、衛兵NPCが登場するのかしないのかの情報公開はされず、

事前予想が盛り上がる。


そのような中、サービス開始前にプレイヤー間のグループであるギルドの作成も可能となったため

両方のスキルを満遍なく取得するよりも、ギルド内で役決めを行って

スキル取得すべきとの予想が大勢を占めることとなる。


そして、ギルド人数に上限は設けないということから、サービス展開中のVRMMOから

参入する廃人ゲーマー層が、既存のギルドの垣根を越え、新ギルドを結成しだす。おれも誘われたが

以前、入っていたそれぞでのゲームのギルドが合流せず、どちらかというと

敵対しだしたので、どちらにも入りづらくなった。オリジナルキャラは開始位置が不明で

すぐには合流できず迷惑をかけるから、開始後に合流できた時に加入すると

無難に断ったつもりだったが、ネトゲ難民乙と両方からあまり好意的ではない返事を

もらうことになる。


実際、運営からもオリジナルキャラはギルドメンバーとの合流に時間がかかると

注意喚起され、メンバーと早めに合流し、先行メリットの享受を期待する層は

オリジナルキャラの作成を諦める。


サービス開始直前まではギルド間の諍いを煽っていたネットの攻略予想も、

直前になると、ユーザー大勝利の法則発見などというスレットが立ち始め、

賞金総額限度額までユーザーは一致団結しようという論調になる。

なぜなら、仮に地球の総人口が全員参加したとしても、

1人当たりの賞金獲得額は1千万円だからであった。


リアルの1年でゲーム内では1095年である。一致団結し1095年もあれば、

賞金の総取りも無理ではないとなり、総人口の1割も参加しないだろうから、

1年で1億稼げるなと皮算用が始まる。

これを受け、事前参加ギルドはPKの禁止などを定めた不可侵相互援助条約を締結するに至った。


サービス開始時の流れが発表される。


ログインサーバーの不可軽減のために、リアルで1日前、ゲーム内で3年前から

ログインとキャラクターの作成が可能となり、作成完了順にゲームフィールドにインできるようになる。

ゲーム内1日あたりのフィールド降下人数には制限があると発表される。


キャラ作成完了を決定すると体感時間は、ゲーム内時間となるため、

あまりに早く完了をクリックすると、長い時間ゲームフィールドに

降りれない状態になるという注意事項が記載される。


また、キャラ作成はログイン後に開始なので、作成相談のために

ログアウトを行わないようにと大きな注意書きがされる。


作成完了から、ゲームフィールドに降りれるまでの間は

特殊な訓練フィールドで訓練ができ、スキルレベルを上げることはできる。


ただし、あまりに単調なフィールドなので、初心者はすぐに根を上げ、

ゲームフィールドに降りる前に、ログアウトしかねないから、お勧めしないとのことだった。


ギルドメンバー同士は、できるだけ同じ初期開始位置に降りられるように融通される。

同じ時間も希望する場合には、繰り下がりで調整されるので、

希望する場合は、チャックをいれること。

まぁ、先行メリットを捨ててまで、同じ時間に開始するギルドが少ないだろう。

訓練フィールド内でギルドメンバーを初め他のプレイヤーと合流はできない。


キャラの外観に拘る層からは、作成時間が一日では足りないとか、

秒単位でスタダを決めたいが、訓練フィールドには行きたくない層からは、作成完了から

ゲーム開始までの待機時間が長すぎるなど、苦情が殺到し、

ネットは炎上するが、この状況でどういう行動を取るのか

それが実験の目的の一つであると説明され、致し方ないと

沈静化し、攻略掲示板は、訓練フィールドの設備予想や、

いかに、孤独と戦うかなどの話題が占めだす。


とくに規約には、成人年齢からの利用定められており、

ゲーム参加によって、生じた精神障害に関する損害賠償には応じない旨が記載されている

ことから、訓練フィールドでの孤独はかなりのしんどさになるのではと

予想された。


そして、いよいよサービス開始である。


さて、俺のオリジナル設定はどのくらい採用されたかなと

うきうきしながら、キャラ作成画面に移動する。

まず、種族選択画面からだ。人間、エルフ、ドワーフといった、定番の種族から

ドラゴニュートといった、竜人の種族も初期から選択可能なようだ。

ドラゴニュートのステータスは人間のステータスの5倍近い。


すごいと思いつつ、オリジナル種族の項目を見る。

種族名にオリジナル種族「仙人」とある。

種族名で仙人という表現には違和感があったが、これが俺のオリジナル種族だ。


初期ステータスは人間の02倍しかない。もっとも、初期固有スキルを

多数所有している。特に最初から寿命が不老というのが良い。

人間は50年しかないし、ドラゴニュートはわずか10年しかない。

ステータスのペナルティが0.2倍なのに、寿命は無限倍であるから

この点はコストパフォーマンスがかなり良いといえる。


それにしても、ドラゴニュートの寿命はわずか10年か。

短いな。短すぎる気もする。キャラクターに寿命があるという話は

事前にはなかった。1095年活動する気だったやつらはショックだろう。

キャラ作成の前に寿命に関するマニュアルを読むことにする。


寿命の欄には、関連する注意事項も記載があり、

いろいろと新たな事実を知ることになる。

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