割り込み投稿をためしつつ、こんなアットホームな戦記物もいつか書きたいなと
皇太子1歳の誕生日パーティーの席上で、呼んでもいない大預言者が、
頼んでもいない予言を突如言い出す。
「この子は必ず父親を殺すでしょう」と
場は一気に静まり、誰が中に入れたのだと責任者を探し出す。
数々の戦場を駆け回った后もさすがに顔は青い。
予言に驚き気を失った乳母を支えている。
お前が気を失ってどうすると内心思い。乳母の巨乳をここぞとばかりに見る。
后と目があった。胸をみているのがばれたかもしれない。俺を睨みつけている。しょうがない。異世界から来た俺がこのような輩を撃退する知恵を出すとしよう。
と、「あいや、待たれい」
猛将で名高きエックミュール公が預言者を問いただす。
「このようなめでたき席であえてかような発言をするはなにゆえか」
「突如、天啓が降り、思わず言葉を発したしだい。お許し願いたい」
「ほう、天啓とな、お主の予言は神の言葉か」
「いかにも、外れたこともなかりしければ、神の言葉以外に何がおありか」
「ではお主の将来についても神とやらに聞いてみるがよい」
さすがは、短気で名高きエックミュール公。既に、手は剣の柄を握っている。どうするかばればれである。
明日の予定を述べようものなら即座に首を刎ね、覚悟を決めてここまでの命といえばぶん殴って、今日一日は死なないように縛っておくだろう。
「残念ながら、自身に関して神に問うは禁忌とされております。
予言が気に入らなければ、どうぞこの首刎ねられるがよい」
言葉に詰まるエックミュール公。がんばれと内心で応援するが、
こういわれては切りにくいようだ。しょうがない俺が答えるか。
「予言は、子が親をというが、何も帝位を簒奪する予言とは限るまい。
俺の故郷では、多くの者が齢100を優に越えるほど
長生きするが、あまりの高齢になると、体のどこかが痛みだし、
自ら死を希望するほどの苦痛を受ける病にかかる。
そのような場合、子が親に安楽死という処置を行う。薬を使い
まぁ、痛みのない死での旅に送る。
この子との関係も、これに似た状況やもしぬぞ。
となれば、皇帝のちょちょう命を予言しているともなろう」
長命で噛んでしまった。ベルノ公が笑っている。笑い上戸である。
「左様、左様、陛下が怪我でもし、高齢のため最早回復かなわぬという時でも
我ら臣下の身では、玉体に手をかけることあたわぬ。そのような時を予言したので
あろう」
イストリア公が相槌を打ってくれる。この女、俺に気があるなと一瞬思って、にやけた顔を向けると、以心伝心したのか気など微塵もないという冷たい目を向けてくる。
この目をご褒美と思う趣味はもっていない。
ここで、預言者が何かを言い返そうとするが、
いつのまにか預言者の背後に回ったベルク公が口をふさぎ、そのままどこかに連れて行く。さすがイケメン騎兵。
まぁ、うちらの元帥は、暗殺とか嫌いなやつが多いので、預言者が殺されることはないだろう。
じょじょに場の雰囲気が明るくなってくる。イストリア公の周りに人が集まり、よくぞ預言者を論破してくださいましたとかいわれている。
俺も少しは論破したろうと、そのイストリアの輪に入ろうとすると、
後ろから膝かっくんをされ、ころびそうになる。
「安楽死とかわけわかんない。こんなときでも胸とかみてるからわけわかんないこというのよ」
いつのまに俺の後ろにまわったのか、さっきまで青い顔をしていた后が真っ赤な顔をして頬を膨らませている。さすが俺の嫁、かわいいやつである。
オチで皇帝自身ともっていきたかった