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暇つぶしにどうぞ  作者: そろそろ
戦記編
1/12

殿って熱くね?

異世界で派遣生活と同じ設定です。

私のいる丘からみえる地面は、かがり火で埋め尽くされている。

大地の光は全部敵だ。


日中の戦闘で、まっさきに逃げたのは、対人専門の派遣会社だった。

チート能力で通常能力の人間と戦う嫌な会社だ。

この世界はウースというんだけど、ウース世界中で嫌われていると断言できる。

登録しているのはある半島の南部の人たちが多い。

いつ裏切るんだってみんなが噂していた。

裏切らなかっただけで、値千金の仕事ぶりといわれている。


うちの派遣会社は、今回のような集団戦の時、

県人会や趣味の集まりのチームが目立つ。

この人たちの士気は非常に高い。


中でもとりわけ士気の高いチームといえば、丸に十字ののぼり旗のチームだ。

リーダーは鹿児島出身の島津君。人数も多く30名近くいる。

みんなで、チェストーと気合をいれている。関が原の再現だぁとかも聞こえてくる。


このチームとライバル関係にあるのが、誠の文字のチームと

福島出身者の多い白黒縞のでかい猫の絵が描いてあるチームだ。

猫さんチームは山口出身者の多い奇の字のチームとも仲が悪い。

戊辰の恨みがどうのこうのらしい。

そういえば、私の福島出身のお爺さんに、

お爺さんのお爺さんはどんな人だったって聞いたら

田原坂がどうたらこうたらいっていた。

みんなも聞いてみるといいたかだか150年前の話だ。

誠、白黒猫、奇の字の3チームも気合が入っている。


2番目に気合が入っているのは、

丸が6個ののぼり旗のチームだ。

リーダーは、仙台出身の真田君だ。前にちらっと話をしているのを聞いたら

片倉家がどのこうのって話してて、歴史好きの子が喜んでいた。

彼のチームの正式メンバーは10人で、年に1回入れ替え戦がある。

夏の陣の挽回、今度こそ本陣に切り込み、大将首をとか聞こえてくる。

彼の所持している刀はゲーム好きの欧米人の垂涎の的だ。

このチームは水戸黄門の印籠のマークのチームと中が悪い。


印籠チームには、滋賀県、山梨、長野県の出身者が多い赤い鎧を着たチーム、

茨城、愛知、和歌山県人会など、ぞくぞく合流している。

今回も総大将はいないな、鳥羽伏見の時からいないさとか聞こえてくる。

そういえば、いつも中心にいる七郎麿君がいない。


共通するのは全員切り込む気満々ってことだ、

数の少ない欧米人もその気に当てられ興奮している。

かく言う私もその一人だ。

私は、帰国子女で学校になじめず、高校にいかなかった。

帰国子女は関係ないか。

で、高校にいかず、派遣登録して今ここにいる。


私達の雇い主である国軍は、ほとんどいない。

いるのは王太子近衛隊だけだ。

日中の敗戦時、この部隊とうちらが殿ってやつを務めた。軍全体の最後尾だ。

うちらは開戦時に最先頭で、終わるときは最後尾だった。


近衛隊には、いまでもちゃん王太子さんがいる。

王子様だぁって期待して見にいったらいかついおっさんだった。

王太子様の息子さんも来ていたらしいが、

残るというのを、ぶん殴って、気絶させ担いでいったって話だ。

ワイルドである。


うちらが300人ほど、近衛隊は2000名がわずか50人に減っている。

逃亡者は0。負傷者は息子さんと一緒に強制送還した。

重傷者の数は750名ほど。442部隊も真っ青の働きだったそうだ、

ちなみ私のおじさんはハワイで予備役をしていて現442に所属している。


近衛隊の仕事に匹敵するのは岩屋城守備隊くらいだろうって

誰かがいってたっけ。

今のところうちらに死者はいない。

さすがに重傷者はいたので同じく強制送還した。


明朝、敵の大将旗が見えた時点で、突っ込むことになっている。

足手まといだから近衛隊は逃げてぇって話だったが

王太子様が頑なに拒否しているらしい。

身分的にはあたしらも王太子さまの国の平民で

平民を残して逃げては初代の英雄王に会わせる顔がないらしい。


かなり平民思いの人らしく、うちの会社の社長が良い王になるだろうと期待していた。

王太子が王になるのを反対してる貴族たちは半島の人たちの次くらいに逃げてったなぁ。

明朝切り込む時にはうちらの中心にいてもらうことになっている。


夜明けまで後2時間、歩哨の当番はすでに終わったけど、興奮して寝れない。


私の一番大好きな撤退戦は、「落涙止まらず、慰謝の念をも述ぶるに能わず」で勇名な、駐蒙軍の撤退戦です。

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