保育園増加の弊害
東京都西区では、保育園の数を増やすために、公園を保育園へと作り替える計画が進められていた。
怒ったのは、公園周辺の住民たちだった。
彼らは家だけでなく土地も所有しており、保育園ができれば子どもの騒音で環境が悪化し、地価が下がるのは必至と考えていた。
ある公園のそばの住民が、建設反対を訴え裁判を起こした。
家の塀には「保育園建設反対」と大きな張り紙が貼られ、そのため工事は一時差し止めとなった。
一年ほどその状態が続いたのち、和解が成立したのか、張り紙は外され、工事は再開された。
やがて、公園の半分を残し、中央に保育園が建てられた。
裏手には新しい遊び場もできた。
もともとその公園は広すぎて、人の姿を見かけることも少なかった。
ところが、完成後まもなく、公園のトイレで奇妙な事件が起きた。
個室の便器に石が流され、壊されたのである。
裁判のこじれを恨む者の仕業と噂された。
ほどなくトイレの周辺には防犯カメラが設置されたが、今度は近くの図書館で、同様の被害が起きた。
図書館では以前、返却ボックスが壊されたことがある。
反ユダヤ主義的な落書きも見つかり、犯人は特定されないまま終わった。
今回も当初は器物損壊かと思われたが、調べると単なる詰まりであった。
吸引装置で中を吸い取ると、黄ばんだ破れた紙片が出てきた。
それをつなぎ合わせると、かつて女子職員が壁に貼った張り紙の一部が浮かび上がった。
「トイレットペーパーを持ち帰らないでください」




