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スーパー・サイコ・エロキッカー

作者: 一飼 安美

 西暦××××年、人類に発生した突然変異は生命の新たな可能性を提示した。神経組織に生まれた大幅な余剰領域は、旧時代の人類が持たなかった異質な領域を生み出し、人間の神経組織だけがその領域にアクセスできる。引き出されたエリアが持つ異次元の可能性は、人体を介して外部へと拡張し、外界に効果を及ぼす。絵空事でしかなかったはずのESPの存在が、最新の研究で明らかになろうとしていた。そして、神経の余剰領域にアクセスする方法は、すでに人体に備わっている。脊髄の始端と終端から強烈に働きかければ、訓練を積まなくとも容易に発動が可能。いつ新人類が誕生してもおかしくはない。それを人為的に誘発することも、理論さえできれば容易なはず。そして、中枢神経を始端としたときの余剰領域の向こうにある、終端とは。


「……股間です」


 本気か?と一応聞いてみたが、頭がこっちにあってあっちに股間があるんだから仕方ないじゃないですか!とまあ予想通りの答えが返ってきた。要するに脳細胞、主には生命原初の神経細胞である眼球の力を股間に届けて、強く念じる。サイコキネシスくらいなら十分発動するというのだ。人類のオス、つまり男性にとって性的欲求は日常のもの、すでに何かの偶然で発現した人物が自覚を持たずに生活している可能性も大いにある、と小難しく語るので、専門外なら理解できない者が多いから平易な言葉で何が起きるか表すように、と注意すると「発現者が無自覚に念力を使ってラッキースケベが必然として起きる」と身も蓋もない言い方になった。この辺は煙に巻いた方がいいだろうか。今のところ強烈に発動する可能性は男性に限られ、生殖腺が体外に露出していることが一因と見られますが……と助手は研究成果に夢中だが、私からも言いたいことがあった。


「短いんじゃないか?」


 これから行くのは仮にもフォーマルな学会、スカート丈が膝より上というのは目につく。君は自分の容姿が人目を引くことをもう少し自覚すべきだ、と注意したが今日はもう仕方がない。次から気を付けるように、と言っているそばから、風。突然の突風でフレアスカートが盛大にめくれ上がった。スカートを押さえた助手は、見ました?と真っ赤になっていたので白いレースとピンク色のリボンを頭の中のゴミ箱フォルダに放り込んで、いいや、と落ち着かせた。あとで復元しないと。私からはちらりと見えただけだが向こう側からははっきり見えたようで、公園にいた小学生が小躍りして喜んでいた。やれやれ。気持ちはわかるが、パンツ一つであんなに喜べるのだから初心というのはある種うらやましいものだ。ひと際大きく飛び上がって喜んでいた子供を見て、そんなに見たかったのだろうかと彼の心中に思いを巡らせた。


思いついたけどあまりにもひどい設定なのでこれですます。この助手はどんな格好で学会に行くんだ?フレアスカートってそういう風に着るか?って都合よく書いてるから後で調べる。



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