ep1-02 ポコロッロ
【ポコロッロ邸】
ダーツが飛ぶ。
「い゛あ!!」
女の子の痛烈な悲鳴。
射手は上ノ民・ポコロッロ。
裸で縛り上げられて宙にぶら下げられた女性。
針の筵となった無惨な姿は見るに耐えない。
「申し訳ございません!」
黒服が頭を深々と下げる。
そこに束ねたダーツ握りしめて頭へ突き刺すポコロッロ。
白目を剥いて倒れる黒服の男性。
「謝って欲しいとか頼んでないの~♥ 連れてきて?あの子とアイツとあのおじさんを〜」
焦りながら黒服たちが応える。
「承知致しました!」
ダーツの的にしていた女性に語りかけながら、投げ続ける。
「ねぇ~ポコね、ずぅーとダーツやってみたかったんだぁ〜❤️」
投げる。
「あ゛!」
「でもね〜パパが危ないところは行っちゃダメだよ〜って許してくれなかったの〜!!」
投げる。
「う゛!!」
「でも、コツわかってきちゃった〜❤️中心を狙うととびきり反応がいいってこと〜!!たしか得点も高いんだよね!」
「い゛…いや゛ぁああああ゛ああ!!!」
「さいこーとくてん、目指しちゃうぞぉ〜!❤️」
女性の叫び声が聞こえなくなったのはそれからしばらく経って
原型をとどめないほどのダーツの針山を見下ろして満面の笑みでポコロッロはこう呟いた。
「ハリネズミみたいで~かっわいいじゃん❤️」
【渋谷区神宮前周辺】
「探したよっ!どこ行ってたの!」
プンスカしている赤毛の女の子が式の前で仁王立ちしている。
「え…それは俺の台詞…」
ボソボソと不満を漏らす式。
「ぶつぶつ言わないのっ!あ!クレープだ!」
いちごがたっぷりのった美味しそうなクレープに一瞬で全意識を持ってかれる赤毛の女の子。
名前を社 恵といった。
「お前が食べたいって言うから」
「ありがと!…ねぇ、この人たち式さんの友達?」
黒服に取り囲まれる式と恵。
「身元は既に割れている。式 一、研究所の元職員だな。逃げ切れないぞ、大人しくついてこい!」
「今はおやつの時間だ。」
恵の片腕を引っ張り、引きこもうとする黒服。
反動でクレープが落ちてしまう。
「あ!クレープが…」
涙目になる恵。
その恵みを掴む手を掴む式。
「子どもの楽しみを奪うな。」
その瞬間、骨が砕ける…そんなような音がした。
手は本来曲がらない方向を向いている。
悶える黒服。
恵を抱えて、その場を去る式。
担がれる恵が寂しそうにつぶやく。
「クレープ…」
「また買ってくる」
担がれてすさまじい速さで駆け抜け黒服たちを置き去りにする。
「またあの人たち来るのかな…」
怯えた様子恵を見て、式は告げる。
「心配しなくていい…次もいちごスペシャルか?」
式の横顔をみてにっと恵が笑う。
「…うん!」
ついに残虐な本性を現したポコロッロ。
彼女の魔の手から式たちは逃げ切れるのか?
次回もお楽しみに~(⌒∇⌒)