第九九話 次なる目的地へ
弥勒は次なる目的地を定める。
「僕の役目は変わったんだ。最早、日本の文化を尊ぶだけでは済まされない。それ程の大きな役目を担っているんだ……父さんの為、皇家の為、日本の為に……!」
年末年始の幸せな思い出を振り返り、センチメンタルになりかけていた弥勒。しかし、めげてはいけないからと、自らの言葉で己を奮い立たせた。
そんな健気な弥勒の気持ちに応える様に、久々に、父の正仁から連絡が入った。襲撃以降は盗聴やデータの抜き取りを警戒し、連絡を取っていなかった。だからこそ突然の僥倖に、弥勒は急に笑顔になった。家族はやはり、どれだけ離れていても、どれだけ直接的な関わりがなくとも、特別な存在なのだと感じた。
弥勒は父正仁との会話の中で、あることを知った。それは、父正仁の腹心で惟神学園学長の内藤正輝が伝えたことで、九州各地の分校で謎の勢力争いが同時に発生しているという内容であった。
九州の各分校の人々は、うすうす気付いていたのだ。陰謀論として囁かれ続けてきた九州独立というトンデモ話が、既存の巨大政党への不信感や、足利の様に危険思想が流行っていることから、ジワジワと、そして確実に現実のものになっているという実感があったのだ。
だからこそあの墓地で稲葉は、あんなにも意味深なことをいっていたのである。
内藤学長は、九州の各校校長からの情報をすり合わせた。そして、九州で発生している生徒主導の勢力争いは、九州独立後の新体制側につく革新派か、従来通り日本側につく保守派が、自分達の分校の身の振り方を決める為の戦いであり、それが大友一派による一連の騒動に連動したものであると分析した。
「父さん、大友の目的は日本政府の転覆ではなく、九州を独立させて新生日本国とすることだ。奴らは既に、日本を見限っているんだよ。そして大友は今大分に居るけど……帝を僭称する皇族の血を引く存在がいて、その人物が三種の神器を持っているから、八百万がそれを帝と認識してしまっているんだ。まずはそのニセモノを倒さなければ、大友を倒しても、その意思を継ぐ誰かや、藤原氏が独立運動を続けるだけだ」
「お前が今まで逐一報告してくれたから、現状はよく理解している。我々だけでは突き止められなかったことを、お前はよく突き止めてくれた。感謝しているぞ、弥勒」
弥勒は尋ねた。
「因みに聞きたいたいんだけど、最も勢力いが過激なところはどこなの?」
「熊本県熊本市にある、肥後分校だ」
「そうなんだね……僕は行くよ、熊本へ。そこでニセモノを捕まえ、独立運動の鍵を壊してやる!」




