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神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


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第八三話 時間が解決すること

 巳代は神通力を失った弥勒を救うべく、周布の許を訪ねるが、周布は事情を聞いても特になにもすることはなく……

 僅か二分間の戦闘直後、駆けつけた山崎校長補佐によって足利は身柄を拘束された。

 また同時に駆けつけた熊本校長によって、救急車が呼ばれた。だが小さな町の救急車が全て主導しても、その場にいた六十余名の生徒を一度で運び切ることは出来ず、数台の救急車がなん度も往復したことで、校内は一時騒然となった。

 巳代は、弥勒が神通力を失って意思疎通が図れなくなったことを、熊本校長へ伝えた。

「弥勒を病院へ連れて行っても、元々聴覚は失われていると診断されるだけです。普段は神通力で会話をしているなんて、相手にもされないでしょう。俺達が精神病を疑われかねません」

「我々で原因を探求するしかなかろう。七六年の生涯で、こんな症状に出会したことはない。だが……昔、耳にしたことがある」

「なにを耳にしたのですか? 役に立つならなんでも教えてください……!」

「神通力は、八百万と人の魂が繋がった際に発生する力だ。その力が魂に負荷を掛けすぎた時、神と自分の魂を通すことが出来なくなる……という説があると」

「つまり、数多の神と繋がる、あるいは強いレベルで神と繋がれば、魂がエンストして一時的にエンジンがかからなくなる……ってことですね。しかし見たことはないというのはつまり」

「これ程まで強力な神通力を、見たことはない……!」


 巳代は弥勒らを連れ、直ぐさま太宰府へと帰っていった。そして周布と連絡を取り、弥勒の症状について答えを教えてもらおうとした。

 巳代は太宰府に到着すると、直ぐに周布のラーメン屋へと、弥勒を連れていった。

「学園が教える知識の範疇では、この症状の答えを知ることは出来ないと、熊本校長の反応で理解しました。周布さん、弥勒を助けてください」

「そう血走った目で訴えてきても、現状は変わらんぞ」

「周布さんでもどうにもならないのですか……! だとしたら誰を頼れば……!」

「誰も頼る必要は無い。時間が解決してくれる。時間だけがな」

「時間……ですか?」

「あぁそうだ。腹が減っただろう。ラーメンでも食べて、一息つきなさい」

 そういうと周布は二人前の豚骨ラーメンを用意し、二人に振舞った。

「時間とは尊いものだ。現世においては、全てのものや事象が、等しく時間の影響を受ける。治るべき傷は塞がり、癒えていく。なにもしなくてもなんとかなるというのは、気休めではなく、時として正しい療法でもある」

 その言葉を聞いた巳代は安心した。周布は要約した内容を文にしたため、弥勒へ読ませた。弥勒もまた巳代の様に安心し、ラーメンをすすり出した。

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