表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/146

第五五話 漸く

 弥勒は、長い取り調べを終え店を再開した周布の許を訪ねる。

 弥勒らは警察の取り調べを受けた。筆談でのやり取りは、なにげに久しぶりだった。普段は神通力を使って意志をそのまま互いに読み取っているなど、警察は思いもしないだろう。

 弥勒らは数時間の取り調べで済んだが、巳代と周布すふはそうもいかなかった。二人の行動に正当性があるのか調べる為に、念入りに調べる必要があったのだ。

 特に周布すふは、長くかかった。人を殺めたからだ。

 周布すふはその行動自体に、後悔はなかった。寧ろ最適解だと自負していた。だがその妙に堂々とした態度が怪しまれた。

 日本では被害者の人権がないとよくいうが、これもその一例かと、周布すふは思った。

 取り調べのあいだ、自由に出歩くことは出来なかった。数日後、漸く自由の身となって娑婆の空気を吸った周布すふは、ラーメン屋へ戻った。

「営業再開とはいえ、客は来るのだろうか。来ないなら来ないで、自由な時間が過ごせて楽だがな」

 周布すふが豚骨スープを混ぜていると、店の戸が開いた。扉の方を見る前から、そこに誰がいるのか分かった。「勘がいいな、弥勒君」

「毎日来てたんですよ。そしたらようやく、明かりがいていたので、嬉しくて」

「高揚感が漏れ出ているが、私になにを期待しているのかね。まるで、旅の道を覆う暗闇を晴らす不動の灯火の様に感じている様だが」

「試すのはよしてください。周布すふさん、あなたは僕に剣や神通力について、教えてくれるのでしょう? そういう未来なんです」

 周布すふは、笑みがこぼれた。周布すふは長らく、孤独の中に居た。だがそれも終わりだ。この皇弥勒と、この数年にも渡る長い夜が、漸く明けるのだ。

「流石は旧皇族……天照アマテラスの子孫というべきか」

「日本人は皆、天照の子孫ですよ。僕にとっても、神通力の教師は……漸く巡り合えた存在です……!」


 弥勒は、客が居ない店内で、周布すふお手製のラーメンを食べた。ラーメンはワクワクする気持ちを象徴する味として、弥勒はラーメンが好きになった。

周布すふさんは以前、惟神学園は神通力を探求する場所ではなくなってしまったと語っていましたね。僕も、心当たりはあります。実際問題、神通力についてはよく分かっていないということを伝えるのみで、どのような歴史や能力があるのか、分かっていることも教えてはくれません。ましてや、神通力と近い感覚感応についても、全く授業では扱われませんでした」

「簡単な話だが、数万の人間にそんな超能力について学ばせて、可能性に気づかれたら困るだろう。所謂、裏の支配者層って奴らにはな」

「支配者層って誰のことを指しているんですか?」

「藤原氏ってやつさ。古今の日本の中枢には、常に藤原がいる。今の彼らは表立って活躍していることが逆に隠れ蓑になっているが、その存在の真価は、神通力にある」

 なにやら新しい見解を聞かせて貰えそうだと、弥勒は思った。集中し話を聞く弥勒に対し周布すふは、笑いながら「先ずは食べなさい」といって、厨房の奥へと入っていった。

藤原氏……日本神話に登場する神である天児屋命あめのこやねのみこと祖神おやがみとする日本屈指の名家。


天照大御神あまてらすおおみかみ……太陽神にして日本の最高神。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ