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神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


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第四七話 クールビューティ

 五条の案内で、福岡市の繁華街で遊ぶ弥勒ら。警固公園で、五条の親友である美女、鷲頭が遅れて合流する。

 五条家でのお茶会の翌日、弥勒と巳代、渋川の三人は、五条とその親友だという女性の五人で、福岡市の繁華街で遊ぶことになった。五条が大友修造のスパイではないと、弥勒ら三人の見解は一致していた。だからこそ三人は、五条の親友や繁華街で起こる出来事を観察することに注力する──つもりだったが、初めての自由な都会は完全に弥勒と渋川の理性を破壊した。

 弥勒は東京に住んでいたが、ただ住んでいただけで、その魅力には大して触れられなかった。

 渋川に至っては、十八年間生きてきて、これ程までな巨大なビル群を見たことは無かった。無意識に常時空を見上げていることに、「恥ずかしいからやめろ」と巳代にいわれるまで、気が付かなかった。

 ゲームセンター、ボーリング、ショッピング。その全てが、弥勒と渋川にとって目新しい経験だった。

「もうすぐ友達が合流できるみたいやけん、そろそろ集合場所の警固公園に行こっか」

 五条に案内されるがまま、三人はビルから出て、だだっ広い公園へ向かった。そこは天神駅の真横にある、タバコ臭い公園だった。

 近くのラジオブースにはケバケバしい化粧をしたバンドマンらしき男達がいて、ガラス越しに大勢の若い女性がブースを囲んでいた。彼らがどんな音楽を奏でているのか、弥勒には分からない。

 弥勒は「自分にも聴力があれば、もっと世の中を楽しめるのか」と思った。すると前を歩く巳代から「どうしたんだ弥勒」といわれ、続けて渋川からも「珍しいねそんなことをいうなんて」といわれた。

 聴力がないことに不満を感じてなどいなかったはずなのに、どうして急に、そんなことを考えてしまったのだろうと、弥勒は自分自身に驚いた。そして気付いた。享楽きょうらくの刺激というものは、いとも容易く人の心を変えてしまうのだと、悟った。また弥勒は自省しそうになった。自分は九州へ遊びに来たのではないのだ。その気概がなければ、すぐに遊び呆けてなにも成せないまま終わってしまうでは無いか。

 そう考える弥勒を、巳代は凝視していた。その目は、自省を辞める様に訴えていた。

 そんなことをしていると、三人より先を歩いていた五条が「杏奈! こっちこっち!」と誰かを呼んでいた。どうやら親友が到着したらしかった。五条がその手を引いて弥勒らの許まで引っ張って来ると、笑顔で「この子が親友の鷲頭杏奈わしずあんなちゃん!」と紹介した。

 鷲頭わしずは巳代の様に、性格がキツそうな顔をしていた。いかにもプライドが高そうな、嫌な雰囲気だった。服装も黒を基調としたクールな着こなしで、クールビューティな大人の女性という表現が似合う人だと、弥勒は思った。そして傍から見れば、決して女子高生には見えないだろうとも思った。

 五条が「杏奈と渋川ちゃんどっちが背高いんかいなって思ってたけど、渋川ちゃんの方が少しだけ高いっちゃんね!」と明るくいった。そのあと間髪入れずに、少しだけ声量を落として「でもおっぱいは杏奈の方が大っきいね」といった。

 地獄の様な空気になった。渋川は凍りついていて、鷲頭わしずでさえも気まづそうな顔をしていた。

 弥勒は、無意識に二人の胸部を見比べてしまった。それから巳代を見ると、巳代は五条を凝視していた。それはまるで「どうするんだこの空気」といわんばかりの、鋭い目付きであった。

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