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神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


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第十八話 感覚感応者

 女子二人組が長風呂に浸かっているあいだ、弥勒ら男子組は、遅れて合流した伊東祐介を交えて卓球に興じる。その最中で弥勒は、伊東ら九州の生徒らが、感覚感応という特殊能力を操るということを知る。

 女子二人が温泉に入っているあいだに、男子は温泉から上がり、そして卓球に興じていた。

 そこには、温泉に入る直前に遅れて合流した、伊東祐介いとうゆうすけの姿もあった。

 彼は稲葉潤と同じく十八歳の三年生で、流鏑馬やぶさめ部の主将であった。日向分校に於いては棒術の泰斗として知られる稲葉と、武術の双璧に数えられる強者つわものであった。

「皇君、私と勝負をしよう。卓球で」

「ボールは友達じゃなくて……音が聞こえないと軌道が読めなくて苦手なんです」

「気にするな。それは私も……同じだ!」

 二人の試合は、ラリーが三回と続かない泥仕合となった。しかし、玉の軌道が読めずに反射神経だけで戦っている弥勒と、音は聞こえていても、飛矢と異なり真っ直ぐと素早く思い通りの動きを行えない運動音痴の伊東いとうは、卓球の実力が拮抗していた。

 得点が付かず離れずを繰り返すその戦いは、意外にも白熱していた。

 瓶に入ったミルクコーヒーを飲みながら、稲葉と巳代、緒方おがたの三人は、どちらが勝つのか話し合っていた。

伊東いとうが勝つと思っていたが、案外惟神の陵王にも勝機がありそうだな。にしても、あいつは棒術だけじゃなく、ピンポン玉とも相性が悪かったのか」

「弥勒のポテンシャルは高いが、肘が曲がってねぇし、勝てはしないだろう。緒方さんはどう思います?」

「そうだなぁ。でも、伊東いとう君は第八感の感応者だ。そもそもピンポン玉の動きを理解することが困難な弥勒君より、ピンポン玉の動きや、どの様に打てば思い通りに動かせるかを完璧に理解している伊東いとう君の方が、勝機はある様に思うんだ。あと、敬語はもういいよ巳代君。君も同い年だし、そうじゃなくても、男同士のあいだにそんな謙遜は必要ないよ」

「そうか……。それにしても地方には感応者がいるとは聞いていたが……本当に居るんだな」

 巳代は、感覚感応者という言葉を知っていた。それは第六感から第九感までの特殊な感覚を使用できる、いわゆる超能力者のことであった。

伊東いとう君が持つ第八感は、絶対認識。例え暗闇であっても、空間内の物質の距離や質量を完全に認識できる感覚だ。いくらラケットを打つのが苦手であっても、ピンポン玉の軌道が完全に把握できる伊東君に軍配が上がるだろうと、僕は思う」

「そうでもなさそうだが」

 巳代が伊東いとうへ返答すると、接戦だった試合に動きが出てきた。

 弥勒は瞬き一つせず、ピンポン玉から一瞬たりとも目を離さず上手にラケットを動かしていた。しかし伊東いとうは汗ばみ、弥勒に遊ばれる様に左右に移動しながらラケットを打っていた。伊東いとうは肘が曲がらなくなり、力ずくでラケットを振って、台の遥か遠くまでピンポン玉を飛ばしてしまった。

「はぁうんっ!」という情けない声を出しながら、伊東いとうは倒れ込んだ。そして手を床に突きながら深呼吸をし、顔を歪めていた。一方の弥勒は、余裕の表情をしていた。

流鏑馬……鎌倉時代に武士のあいだで流行った騎射三物きしゃみつものの一つに数えられる武芸。疾走する馬に跨り、三つの的を射る。


第六感(超直感)……五感を超えた直感で、重さや大きさ、時間の流れなどが感覚的に寸分の狂いなく理解できる。虫の知らせの様に、未来を予知することも稀にある。


第七感(超集中)……いわゆるゾーン。瞬間的に脳が最上の集中状態に入り、身体が究極的リラックス状態に入ることで、完璧な一撃を行うことができる。


第八感(絶対認識)……暗闇であっても完全に空間を把握し、物体の距離や質感、重量などが触れずとも理解できる。


第九感(全能)……五感に加え第六感以上を全て使用することが出来る超人。仙人とも言われる。神通力を用いて開眼し、悟りを開いた状態とも関連があるとされる。

史上一人たりともその境地に達したことはないが、達した者は社会から逸脱するので、認知されていないだけで存在はしているとされている。

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