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神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


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第百三話 男系男子

 阿比留三日月は、両親の訃報を聞き、大友修造に唆される。

 大友と阿比留が出会って、二年が経過した修文二九年。

 阿比留は夜、暗い部屋の中で一人、大友が家へやって来るのを待っていた。時刻は二一時を回っていた。この頃は、両親は仕事で家に居ないことが増え、特に夜は一人で過ごすことが多くなっていた。

 少しだけ明かりを付けた部屋にて、電子レンジで温めた夕飯を食べた後、誰の目も気にせずお菓子を頬張る。それは八歳の少年にとって、最大の贅沢であった。

少しすると、大友が現れた。大友は悲しそう顔をしている様に見えたが、いつもそうである様な気もした。

大友はしばらく無言を貫いた後、「ご両親が亡くなった」とだけ告げ、また黙り込んだ。

「また大切な人が召されてしまったのだよ……三日月君」

「どうして、どうしてですか……!」

「事故だ。いいや、事故に見せ掛けた殺人だよ。阿比留家は特別な血筋だ……だから、存在そのものが邪魔になると考える人もいるんだ」

「誰なんですかそいつは……!」

「胎盤系と名乗るカルト教団だ。この対馬つしま壱岐いきを中心に、日本中の女性に広がっている集団でな……対馬市議会にまで影響力を持つようになっているんだ。簡単にいえば……この対馬の有力者を消し去ろうとしているのだよ」

胎盤系は、女性の胎盤から悪い気を祓えば、幸運を引き寄せられるという、非科学且つ奇怪な教義を信じる女性向け宗教団体であった。

阿比留家は、古代の対馬で繁栄した一族であった。一族は鎌倉時代にそう氏によってその地位を追われたが、その後も対馬にて阿比留氏の末裔は生き残り続け、今日の対馬に於いて最多の性となっていた。

「三日月君、やられたらやり返せ、やられたままでは両親が報われない……! 私に力を貸してくれ……!」

「どうやってやり返すんですか……?」

「儀式を執り行うのだよ。君には特別な力がある。直接手を下さずとも、人を不幸に陥れるだけの強い力が」

阿比留は二つ返事で承諾した。そして車に乗り、いつもの様に、儀式を執り行うべくお社の許まで向かった。

道中大友は、阿比留が持つ特別な力について、詳細を語った。阿比留は雑多な阿比留性の島民ではなく、正当な阿比留氏の末裔であった。

栄枯盛衰の果てに忘れられた豪族としての尊厳を、取り戻すべき時がきたのだと、大友は語った。また大友は、通常ならば家の没落と共に祭祀に関わらなくなることで八百万との繋がりを失い、名実共に一般人になると語った。だがそれは、阿比留氏の正当な末裔であることが理由で、阿比留三日月には適応されない。それが、彼に宿る特別な力の正体であり、毎夜毎晩儀式を続けてきた理由であった。

「正当な阿比留家には、千年前の帝の血が流れている。皇族ではなく、帝自身の血だ。しかもその血は君まで、男系男子として継承され続けている」

「それは特別なことなんですか……?」

「あぁ、つまりそれは帝の位を持たないだけで、帝を名乗ることが出来る由緒正しき血統ということだ。そして君には、帝を名乗る為に必要な三種の神器がある」

 阿比留は話が飲み込めずにいた。見兼ねた大友は「その帝は安徳帝という。以前、源平合戦の壇ノ浦の戦いについて話しただろう?」と、理解し安くする為の助け舟を出した。

 安徳帝は、当時朝廷を支配していた平清盛を長とする平家と、平家を討伐を目的とした武士集団である源氏による戦乱の時代に在位した帝である。みやこを追われて太宰府を目指し西遷する平家が、中国地方の壇ノ浦で源氏と衝突し敗れた際、平家の武士と共に海中へ身投げをした。その後安徳帝は崩御したと考えられていたが、九州地方へ流れ着いた安徳帝は九州の北にある対馬に逃れ、当時既に宗家に地位を追われて山中に潜んでいた阿比留氏に匿われていた。

大友は神通力を用い、今もまだ正当な帝位を持つ者として密かに儀式を執り行う阿比留氏を見つけ出し、学園を去った後も彼らによって神通力を与えられていた。

「君に教えてやろう。八百万に祈りてその力で以って、人を呪う呪詛じゅその方法を」

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