表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
革ジャン着たゴリラ  作者: なおき
1/1

1 こいつはゴリピュア

1人暮らしの部屋に、ゴリラが住みついた。


なぜか、革ジャンを着たゴリラが。


今は、俺の目の前でバニラのカップアイスを食べながら、タブレットで某有名タイムリープアニメを視聴している。


俺は、そいつを見ながら、今こうしてパソコンでその様子を記録している。


「話には聞いてたけど、〈某有名タイムリープアニメ〉っておもしろいな。これって、元々ゲームなんだっけ?」


アイスの底を舐めながら、ゴリラが聞いてきた。


「らしいな。たしか〈某有名ゲームハードP〉だったと思う。」


「ふぅん、やってみてぇなぁ。フルボイスなのかなぁ…。」


「実況動画でも観たらいいんじゃない?」


「おいら、実況動画観ただけで、ゲーム語るようなゴリラにはなりたくないから。」


「…そうか。」


どうやらゴリラにも、譲れないプライドがあるらしい。


「ゲーム実況者っていいよなぁ、ゲームしてるだけで金稼げるなんてさ。あいつらこの国に生まれてなかったら、今頃何の仕事してんだろうな?」


「いや、ゲームするだけじゃないだろ。トーク力とかも必要だろうし。」


「言うほど、トーク力って必要か?今なんて、可愛いアバター身につけて、アニメ声で『リスナーさん大好き♡』とか言ってるだけでスパチャ飛んでくる実況者とかいるじゃん。お前、そいつの前でお話上手ですねって言えるか?」


「…Vtuber嫌いなん?」


「…。」


ゴリラが観ていたタブレットの電源を消し、俺の目をまっすぐ見てきた。


「…Vtuberが嫌いな訳じゃない。むしろ、ライブとかしてたらどの箱の配信でも手あたり次第観るよ。ただ、明らかにVtuberを見下しているVtuberがいるんだよ。アニメ声なのに、配信外では『わたしは他の人とはちがう』みたいな感じで、一線引いてる感じが伝わってくるんだよ。『まぁ、これが軌道に乗らなかったら、エロボイスでも売ろうかな』みたいな計画が筒抜けなんだよ。おいらは、そういうVtuberが嫌いなの。分かる?」


「じゃあ、観なかったらいいだろ。」


「いや、観るよ。」


「は?」


「嫌いだけど、観るよ。」


「なんで?」


「だって、きっとVtuber見下してるんだろうなって伝わってきても、そんなタイプの人間が恥ずかしげもなくリスナーに媚びてくるのって観てて気持ちいいじゃん。この前、そんな奴に10000スパチャしたら、『”ダンディゴリラ”さんありがと~!超嬉しい!』って喜んでてさ。キャバクラってこんな感覚なんだろうな。まぁ、個人勢だったから場末のスナックくらいかな。ガハハッ。」


「いや、おい待てよ。」


「うん?」


「お前、今いくらスパチャしたって言った。」


「…やべっ。」


「10000円、スパチャしたって言ったよな。どこから出した?」


「…。」


「どこから出した?」


「…、お前のアカウントから。」


俺は、ゴリラの顔面目掛けて思いっきりこぶしをふるった。


ゴリラは、奥のクローゼットまで飛んで行った。


人間なら、たいへん危険な打撃だが、ゴリラだし平気だろう。


「一か月以内に返せよ。」


「わがった…。」


ゴリラは、鼻を抑えながら返答した。


その後、食卓に置いていたバナナをもって、台所へと向かって行った。


「…一応言っておくけど、うちのレンジはタイムマシンじゃないからな。」


しょんぼりした顔をしたゴリラがバナナをくわえて戻ってきた。


意外とゴリラはピュアな奴だ。


【 調査報告 】

うちのゴリラは、純粋なクズである。

男の娘プリキュア大歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ