第12話 俺は断じてロリコンではない!
リールさんの手伝いが終わり、非常に怖い忠告を受けて屋敷に戻ると今度はアルゼさんに呼び出された。以前に書類の仕事を手伝った部屋へ連れていかれ椅子に座らされた。
「この前に話していた店で売れそうな料理だがいくつか案をだしてくれ」
「はい、構いませんよ。以前作った揚げ物みたいな屋台で出せるような料理がいいですか?それとも店内でゆっくりと食べれるような料理ですか?」
「屋台で食べれるような料理のほうだ。おまえがこの屋敷に来る前からこの地域の名物となるようなものを作って屋台で出すという話が出ていた。今のところはこの辺りの名産であるライガー鳥の串焼きということになっているが、思いの他お前が作ったカラアゲとやらがうまくて目新しさがあった。
とりあえずもう一度材料をライガー鳥にしてカラアゲを作ってくれ。それとあわせて屋台で売れそうなものがあれば試しに作ってみてくれ」
「なるほど、わかりました」
ふ~む屋台で売れる料理か。元の世界の屋台でよく見かけるのはなんだろう。とりあえず現実的にできそうなのは唐揚、フライドポテト、焼きそば、肉まんにお好み焼きかあたりか。あとはたこ焼きとかもいけそうだけど専用の鉄板が必要になりそうだ。
いや、よく考えたらお好み焼きとたこ焼きにかけるソースがない。しまったなあ、ソースの作り方はさすがに知らない。たしか野菜と香辛料を煮詰めてミキサーにかけるんだったかなあ。だめだ、さすがにこれはいろいろと試さないと無理そうだからボツだな。
甘いものだとクレープ、たい焼き、綿菓子、カキ氷か。砂糖が高価なものだとどれも厳しいか。何か代わりに使えるものがないか確認してみよう。
しばらくの間アルゼさんと話し合った結果、まずは唐揚、フライドポテト、焼きそばを試しに作ってみることとなった。
唐揚はライガー鳥を使い漬け込むタレを何種類か試し、マヨネーズ、砂糖を控えめにした甘酢、レモンの果汁などの付けるものも試しに作ってみた。フライドポテトも同様に何種類かの芋を揚げていろいろなものを付けて試してみる。焼きそばはソースがないのでシンプルな塩焼きそばだ。これが麺から作らなくてはいけないので結構な時間がかかった。
「ふむ、十分に売り物になるレベルだな。カラアゲはこちらのタレが一番うまいか?」
「そうですね、ちょっと濃い目のほうが唐揚には合いますね。それにしても一昨日作ったレッドバードの唐揚よりもこのライガー鳥のほうが断然美味しいですね。あっ、つけるものは人それぞれなのでトッピングとして安く別売りにするといいかもしれませんね。俺が旅してきた国ではそうやって売られていました」
「なるほどな。自分の好みによって味を変えられるわけか。売り出すとすればその方式でいきたいところだ。こちらのフライドポテトとやらも悪くはない。焼いたものとも茹でたものとも違う味がするな」
「外側はパリッとして中はホクホクになりますね。個人的にはやっぱりジャガイモがいいですかね。他の芋も美味しいんですけどこれが一番です」
「ほう、私はサツマイモのほうがいいと思ったのだがな。まあ確かにこちらの芋も悪くはない。このやきそばとやらもなかなかだ。麺というものはスープに入れるものが普通であるが焼いてもうまいものなのだな」
「ええ、本当はソースというものを絡めて焼くものが一般的なのですがこの国では手にはいらなそうでしたのでシンプルな塩味にしました。あと麺は今回は包丁で切ったのですが、実際に売り出す場合には製麺機という麺を加工するための装置が必要となります。あとは大きな鉄板も必要になりますね」
「ふむ、やきそばとやらはいろいろと必要なものが多そうだ。やはり初めはライガー鳥を使うことができるカラアゲがよいか……」
「ああ~ずるい、二人だけで美味しいもの食べてる!」
突然、厨房のドアが開き、エレナお嬢様が入ってきた。今日も可愛らしいドレスを着ている。俺がみんなの手伝いをしているあいだは領主としての仕事をしたり、礼儀作法などの習い事をしているらしい。
「エレナ様、今日の習い事はもう終わられたのですか?」
「ええじい、今日やることは終わったわ。それよりも二人だけでずるいわ!外にも美味しそうな匂いがいっぱいするのよ」
「今は例の店で売れそうなものを奴隷に作らしていたところです。予定しておりましたライガー鳥の串焼きよりもカラアゲのほうが目新しさもあって良いかと思いまして」
「そうね、私もどこでも売っている串焼きよりこっちのほうがいいと思うわ。ねえユウキ、こっちのとあっちのはなに?」
「こちらはフライドポテトといいまして、芋を切ったものを揚げて塩を少しまぶしたものです。こちらは焼きそばといいまして、小麦粉から作った麺を肉と野菜と一緒に焼いたものです」
「どっちも美味しそうね。ねえユウキ、ちょっとだけちょうだい」
「ええっと……」
勝手に食べさせてしまってもいいのかな。困りながら助けを求めてアルゼさんの顔を伺う。
「エレナ様、もうすぐ夕食になりますので今はお控えください」
「じいのけちっ!ちょっとくらいいいじゃない!」
「……はあ、しょうがありません。一つだけですよ」
「やったあ!じゃあユウキ、そこのおっきいからあげをとって」
「はい、これですね」
「うんそれそれ、はいあ~ん」
「はいどうぞ」
「もぐもぐ、う~ん美味しい!!」
……やばいなあ、エレナお嬢様が可愛すぎる。小動物のように唐揚をほおばり、幸せそうな顔をしているところを見ると何かに目覚めてしまいそうだ。
いや、俺は断じてロリコンではない。これは妹を可愛がるような気持ちでやましい気持ちなど欠片もない。
「えへへ~、美味しいわよ、ユウキ」
「はい、ありがとうございます」
……俺は断じてロリコンではない!
本日作った試作品はその後スタッフが……じゃない屋敷のみんなで美味しくいただきました。フライドポテトも焼きそばもなかなかの高評価をいただけた。
結局アルゼさんは屋台で唐揚とフライドポテトの両方を出すことに決めた。屋台を出すのはもう少し先になるらしい。俺も手伝うように言われた。異世界の街で屋台を出す、まだ先の話だが楽しみだ。
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