表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と私の世界線  作者: 斉藤 自由
見知らぬ町
5/7

5

俺は数日入院していたがあの少女どうやら古賀こが あおいというらしい。

何と同じ名字だったのだ。

そして、他に気付いた事がある…


今は3月だった。

俺は最初、半年以上眠っていたのかと思っていたがどうやら違うらしい。

逆に戻っていた…一年間以上前に。


今の俺は中学卒業してもう少しで高校生らしい…

いや、確かに何かの間違いだと思い色々反論したが、次々と証拠を見せられ納得せざるおえなかった。


タイムスリップ?


いや、そんな事あるわけがない。

もし、そうだとしても俺の残っている記憶はどう説明する?


だけど……


「莉人、大丈夫?」


「はい、大分落ち着きました」


「あの、僕の好きな物ってなんでした?」


「ん?うどんだったよ?」


うん、あってる。

見覚えが全くない少女に俺の好きな物がわかるのか?


「うどんでも海老天うどんが好きだったよ!」


うん、好き。

海老天はいい、澄んだ汁に衣が剥がれその油が広がりまた新たな旨みができ、〆として姿が露になった大海老にかぶり付く…


これがまた最高なんだ。


いやいや、俺がしたいのはうどんの話しではなく…


「そ そうだったんですね」


「あ、そうだよね、でもうどんは好きだったよ」


何故、過去形なのか、それは俺の都合の問題だ。


明らかに夢ではない、そして、もしここが俺の知らない世界だったら…


そう考えればタイムスリップしたなど他の世界から来たなんて信じれる訳がない。

ならば、記憶喪失という事にすれば嘘ではないし、少しは生きやすくなる。


だが…俺は全く見覚えがないのに、葵さんが俺を知ってる理由がわからない。


全く同じの顔に、全く同じ好物そして、全く同じ名前…


そんな人物が都合良く世界にいるわけがいない。


元に戻らないならば、ここで生活しなければならない。

取り敢えず今は常識等の情報が欲しい。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


「こんにちは莉人君、調子はどうですか?」


「特に問題はないです」


「特に身体に問題はないですし…うん、これなら退院できますよ」


俺は、無事退院できる様だ。

だが、脳に異変が起きるかもしれないので時々通う事になったのだが。


それぐらいは我慢するか…


「退院おめでとう」


「ありがとうございます」


俺は、ドアを開け葵さんと目があう。


「退院できるそうですよ」


「そっか…良かった」


それよりも、病院を出たら次に何処に向かう?


そう、家だ。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


俺は、葵さんに持って来て貰った服に着替え電車で家に向かう。

普通は保護者に迎えに来て貰うだろうがこっちの家では共働きで無理して見舞いに来ようとしたり迎えにくると葵さんに聞かされた為、俺は無理しなくていいですよー、僕は電車で向かいますので、と押しきった。


まぁ、車よりも電車の方が早いし、この世界では町はどんな所だろうと最寄り駅から徒歩で向かいたかったのだ。


まぁ、後、運動不足…


俺は、電車の中、葵さんに家族の事を教えて貰った。

家族構成は、夫婦に3人姉妹だそうだ。


なんと、俺は養子だった。

葵さんは俺が来た頃の様子を教えてくれたが俺は凄く明るい子だったそうだ…


うーん、前の世界とは反対だな。


そして、最寄り駅に着き俺たちは家へと向かう。

普通の住宅街な雰囲気だった。

少し賑わっている商店街があり、小 中 高と学校が近くにありとても家族向きな町だった。


俺は、暫く道を歩いていると…


「え…」


「ん?あー、駄菓子屋さんねー」


俺は、その話しが全く入って来なかった。


何故なら、その駄菓子屋は…


前の世界と同じ駄菓子屋だったからだ。


俺は、葵さんを置いて急ぎめに店に入る。

そして、そこにいたのは…


「おー、いらっしゃい」


そこにいたのは、おじちゃんではなく。

おばあさんだった…


「え?ここ開いてるの!?」


「え?」


葵さんはお店が開いているのに驚いていた。

すると、おばあさんは最近になって、夫がいるこの町に引っ越に来たらしい。


じゃあ…違うのか


だよな、駅名は違うし。


俺は、おじちゃんの駄菓子屋、と一瞬期待していたのだろうと思いその駄菓子屋を後にした。


「いっぱいお菓子があったね!今度落ち着いたら一緒に行かない?」


と葵が誘ってくれたが、駄菓子屋のショックが抜けきれてなく空返事がやっとだった。


葵さんは気にしてくれているとわかっているが、なかなか切り替えが上手く行かない。

情けない…


そろそろ切り替えよう。


「そういえば、もう、両親は帰宅してるんですか?」


俺から話し掛けたからか葵さんは嬉しそうに話してくれる。


「ううん、この時期は仕事が忙しいけど、なるべく早く終わらせるー!って頑張ってるみたいだよ」


「あはは、それじゃあ、感謝しないとですね」


普通に返したつもりだが葵さんは不機嫌になる。

するとその不機嫌そうな顔で俺と目があうと…


「今直ぐにっていうのは難しいだろうけど、他人行儀過ぎなのは嬉しくない」


と幼さを魅せる葵さんに呆気にとられたが自然に笑いが込み上げてきた。


「ちょっと、なんで笑うのー?」


「いや、面白いなって」


「あ…」


葵さんは敬語が外れたのに気付いたらしい。

俺は、敬語をやめ同い年として接する事に決めた、相手がそれを望むなら。


「これでいい?葵」


「うん、これからも宜しくね」


「宜しく」


そして、俺たちは家に向かう。


俺は決めたんだ。


この世界では上手くやらないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ