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俺と私の世界線  作者: 斉藤 自由
見知らぬ町
4/7

4

俺は死ぬんだ…

助からないのがわかる

後悔するぐらいなら…もっと必死にやれば良かった。



「………」


俺は、長い眠りからやっと覚めた様に視界がぼんやりする。

何も考えられない、ただただ視界がクリアになってくるのを待つ、そして…


「お俺は生きて」


恐怖から解放され安心した。

その反動で俺は涙が止まらなかった。

生きている事に感謝し、胸が痛くなる程涙を流した。


「はぁ…」


あんなに泣いたのは初めてかもな…

暫くして俺は涙が収まり呼吸が安定してきた所で少し恥ずかしくなってしまった。

誰も居なくて良かった…



そういえば…ここは何処だ?

病院であるのは確かだが…

いつまで寝てたんだ?

俺は疑問が絶えなかったが後からわかる事なので今はベッドで休もう。

恥ずかしながら泣き疲れてしまった。


しかし、突然スライド式のドアが開き俺はその人物と目が合う。


………女の子?


少女は俺と目があって驚いているのか少し固まっていた。

俺は、他の患者かなとも思ったが…


「目を覚ましたんだ!」


と少女は俺にこれでもかと抱きついてくる。


「え?いや、え!?」


「良かっだ、良かっだよぉぉぉ!」


ちょ、なんで抱きついてくる!?

誰かと勘違いしてないか?


「ちょちょっと落ち着いて下さい!」


いかん、ドキドキして少し声が上擦ってしまった。

とにかくこの人が何で来たのか聞かないと


「誰かと勘違いしてませんか?それとも親戚の方ですか?」


と俺は少女の向けて聞いてみたが少女はキョトンとし、少しするとその顔のまま涙を流し始めた。

いや、え?何で!?

俺は、焦りながらも泣き止んで貰うため少女を慰める。


「ど どうしたんですか?」


「だって だっで!莉人が私の事を…敬語で…!」


え?まさか知り合い?

俺、全然覚えて無いんだけど、でもこの子は俺の事を知ってそうだし…


「本当に…本当に…覚えてないの?」


と少女は瞳を潤わせながら聞いてくる。

正直言うと本当に覚えていない、この少女の事を一欠片も覚えていないと正直に言う。


「すみません、あなたの事を覚えてないんです…」


ーーーーーー

ーーーー

ーー


「落ち着いて聞いて下さい、あなたは記憶障害に陥っています。」


あ、はい、落ち着いてますけど…

記憶障害?記憶喪失って事か。

いや、何処から?


「いや、僕が?」


「残念ながら…」


どういう事だ、質問を答えただけで記憶喪失と断定されたぞ…


「あの、本当に記憶喪失なんですか?」


「はい、その為記憶が保管されている脳に異常がないか検査したのですが異常はありませんでした。」


「この場合、精神的に問題がありそのショックで記憶が無くなりその記憶の埋め合わせとしてあるはずのない記憶を想像してしまったのでしょう…」


いや、精神的ってまさかあの時川で溺れた時か?


「あの、俺って川で溺れたんですよね?」


「はい、しかし発見された時には陸に上がっていました。」


「え?」


「あなたは川で溺れてしまったが奇跡的に呼吸は確保できていたが意識不明でした。」


「はぁ…」


おかしい…あのとき確かに深く深く沈む感覚があったのに、どうやったら助かったんだ。

しかも、今までの記憶が想像とか言ってやがるし…

だが、この人が嘘を言ってるとは思えない、俺にとって真実なこの記憶も本当に想像という可能性もあるのだ。

認めなくない、俺は確かに記憶通り行動しそれを体験したはずだ…


「わかりました…ありがとうございます。」


「大事をとって、数日入院しときましょう。」


俺は、ドアを開けると目の前にあの少女が心配そうに座ってもじもじしていた。

そして、俺を見ると何か言いたいのか何回か話し掛けようとしたりしなかったりと繰り返していた。


「すみません、僕記憶喪失みたいでして…」


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