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「凜人今日はどう?」
「いや、今日もおじいちゃんがね」
「そっか…まぁ、いつでも声掛けろよ」
「うん、ありがとな」
と俺はいつもの様に愛想良く友達の誘いを断る、そして、友達は残念そうな表情をした。
他の友達と一緒に帰って行くのを確認し帰る支度をする。
「いつもの所行くか…」
俺は、バッグを背負いながら教室を出た。
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「おじちゃん、今日も来たよ」
「おう、凜人か」
活気良く挨拶してくれた人は小さい頃からお世話になっている駄菓子屋のおじちゃんだ。
短髪に揃えられた白髪は中々似合っている。
「今日は何?」
「あぁ、今日はこれだ!」
とお菓子棚の隣に並んでいる見るからに手作り感満載なパチンコがあった。
だが、手作りではあるが適当に作っているのではなく、しっかりと意図が伝わる配置まさに計算付くだろう。
「景品は?」
「ふっふっふ、何と500円以内のお菓子無料だ!」
「なに!?随分と思い切ったな…」
流石に高校生ともなればそこまで大した値段ではないが、小学生ともなれば別。
500円なんて相当お手伝いした奴か金持ちな奴にしか持てない大金…
正に10000円の価値があった。
「まぁ、一人3回までだけどな」
「そこはケチなんだな」
うん、3回なんて一瞬だ。
しかし、それでも500円には目が眩み数々の猛者達が挑戦するのだろう…
駄菓子屋恐るべし
「まぁ、これもいいが、凜人上がって行くか?」
「お邪魔しまーす」
俺は、良くおじちゃんの家に上がる事がある。
別に特別な理由はない、ただお菓子等を摘まめるだけだ。
たが、俺はお菓子を摘まむ前に近くにある仏壇に手を合わせる。
「また、お邪魔してます…と」
俺は、2つの写真を見る。
1つはまだ少し若い女性の写真おじちゃんの奥さんだ。
そして、もう1つは、娘さんの写真だった。
なんでも、車での移動の際に交通事故に遭い二人とも亡くなったそうだ。
娘さんは今生きてたら俺と同じくらいの歳らしい。
まぁ、時が解決したのか乗り越えられたのかはわからないが、今はおじちゃんはそんな素振りは見せていない。
俺が気にするべきではないのだが…
「いつもありがとうな、凜人」
「いいよ、好きでやってる事だし」
とおじちゃんはいつもの様にお菓子を持って来てくれる。
お菓子につられて毎回入るなんて子供みたいたが…
仕方がない、お菓子は美味しいからな。
そして、俺達は少しの間話し良い時間になったので帰らせて貰う事にした。
「じゃあ、明日も来るわ」
「おう、待ってるぜ」
と寄り道せずに真っ直ぐと帰る事にした。
「ただいま」
俺は、返事が来ることがない事はわかってるが一応言っておいた。
まぁ、わかってるけどね…
そして、俺は腹が減ったので冷蔵庫を開け勝手に作って食べる事にした。
俺は幼い頃から両親が居ない。
母親は俺が生まれて直ぐ亡くなり、父親もその後を追うように事故で亡くなった。
当然記憶がないので写真でしか親の顔を見ていなかった。
そして、俺の親代わりは母方の祖父の佐藤 友彦だった。
祖母…つまり奥さんは既に亡くなっていた為一人で育ててくれた。
そう、つまり、今更なんて事はない。
爺さんが愛情を持って育ててくれたお蔭でやさぐれずにここまで育てて貰ったし、お金の心配も無かったのもあるらしい。
だが、今は67歳もうゆっくりして良い年頃だが…
未だに爺さんは現役社会人である。
仕事の内容は教えて貰った事はないが、割と偉い人らしい。
なので、夜の9時には帰ってくるのだが…
付き合いか何かで良く外食をしてくるらしいので悪いが食べてて欲しいという事が多かった。
俺は夕食を済まし特にする事もなく部屋で寛いでいた時だった。
プルルルル
と携帯の着信音が鳴り珍しく思いつつも番号をみていると遊びに誘って貰った友達。
山元 伸二だった。
遊ぶ予定とか入ったら連絡するの交換していたのであった。
俺は特に思う事もなく電話にでた
「もしもし、珍しいな」
『もしもし、いやさ、来週の日曜日空いてるか?』
なるほど、また遊びの誘いか…
「いや、忙しいな」
とキッパリ断ったが友達は直ぐには引き下がらなかった。
『いや、そう言わずには頼むよ!』
「なんでそこまで」
『いや、実は…』
何か様子がおかしい…
もしかして、何か厄介事か?
『合コンに来て欲しいんだけど…』
「……はぁ?」




