【その4 修羅篇・後篇】
12 伊瀬エンタープライズ
伊瀬エンタープライズ、表向きは貿易会社だが、麻薬の輸入や女性の輸出を大きな収入源とする暴力団組織だ。
特に女性の輸出を始めてから急激に収益が上がった。
盛り場に行けば何が不満なのか家を飛び出して来た「家出少女」がゴマンといる。
そういう少女の家庭は崩壊しているせいか親は警察に「捜索願」を届け出していないことが多い。
だから外国行きのコンテナー船の一室に閉じ込めたまま出航してしまえばどうにでもなった。
伊瀬エンタープライズ社長、伊瀬仁太郎は考えていた。
忌侮煮愚の組長と族長は彼の息子だった。
今回の1件で2人の息子を失ったことになるが、この仁太郎には特別な感情は湧かない。
チャカまで持たしてやったのに1人に殺られるとはその程度のヤツだったのだ。
それよりも2人の息子を殺った1人の少年のほうに興味をもった。
暴走族とコトを起こすような輩は表から裏社会に行きたいヤツだろう。
しかも20人以上を1人でしかも素手で倒すことなど想像を超えることだ。
そのような人材を自分の下に得ることができれば鬼に金棒、いや魔王にハルマゲドンを手に入れるようなものではないか。
他の組織に採られる前にウチと盃を交わしたい。もちろん破格の厚遇で迎えるつもりだ。
「なんとかしなければな・・・」
仁太郎は腹心の矢原啓介を呼んだ。
復学したのは良かったが空手道部を退部した成田将也は放課後のヒマを持て余していた。
みんなは「気にせず道場に来い」と言ってくれたが、インターハイまで1ヶ月を切った今、余計な気遣いをさせたくなかった。
さりとてこれまで空手一筋の青春を送ってきたから「遊ぶ」ということを知らない。
『ゲーセンでも行ってみたら』
実李に言われたが1人で行っても楽しめるとは思えない。
取りあえずマンガを買ってハンバーガー屋で時間を潰すことにした。
「あれ? ハンバーガーってこんな味だったっけ?」
肉汁やケチャップやマスタードなどいつもの濃い味のつもりで口にいれたが何だか味気ない。
コーラを飲んでも随分水で薄めたような感じがする。
もう一杯、氷なしで注文したが、同じだった。
「まぁ、いっか・・・」あまり気にせずマンガを読んでいたら
「ねぇ、アナタ、ひとり?」将也の隣に見知らぬ女性が座ってきた。
将也の目には化粧がケバい。
「ねぇヒマだったらオネーさんとアソバない?」
「はぁ?」
『このオンナ、誰?』
「知らない・・・」
「ねぇ~」とその女性は近寄ってくる。
将也の腕に豊満な胸があたる。これはワザとやっているな・・・
「あのー、結構です。お金もありませんし・・・」
「お小遣いなんてオネーさんがあげるわよ」
胡散臭いとしか思えない。
将也は残りのハンバーガーを口に押し込みコーラで流し込むと
「失礼します」と席を立った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
女性が付いてくる。
「ねぇボクゥ、どこか行きたいところない? どこでも連れてってあげるワヨ」
将也の後を女性が追う。
将也は繁華街の角にある交番の中に入る。
「どうしたんだい?」警官が将也に尋ねる。
将也は黙って女性を指差す。
「覚えときなさいよ!」
女性はようやく離れてくれた。
またある日、将也がジョギングをしていると、
「御願いです。助けて下さい。」
と道路脇にうずくまっている女性が声をかけてきた。
「どうしたんですか?」
「気分が悪いのです。どこか『休憩』できるところまで連れてってください。」
雰囲気は違うがどこかで聞いたような声?
少し向こうには「ホテル・ツレコミ」の看板。
「それはいけませんね。今、救急車を呼びます。」
スマホを操作しだすと女性は一目散に駆けて行った。
『なんなのよ、アレ?』
「さぁー?」
「バカ野郎! ガキひとり落とせねぇで、よく極道の色が務まるな!」
「だってぇ~」
アケミは口を尖らす。
矢原啓介は考えた。
色仕掛けがダメなら強引にだ。
矢原は早速成田将也の交友関係を調べた。
「これだ!」成田には幼馴染の女性がいる。「佐倉実籾」だ。
「ちょっとお嬢さん」
サラリーマン風の男が学校帰りの佐倉に声をかけた。
だがよく見ると、ロイドのメガネ、オメガの腕時計、ピエールカルダンの上下のスーツ、とてもフツウのサラリーマンには見えない。
「何ですか?」
佐倉は用心深く相手を見る。
「いえ、総南高校はどこの駅で降りればよいのでしょう?」
「ああ、それなら・・・ムグ」
突如佐倉の鼻と口が布か何かで塞がれた。
抵抗する間もなく気を失った。
「・・・・・」
佐倉実籾は目を開くと知らない部屋の中にいた。
応接間にあるようなテーブル。その向こうには単身掛け用のソファーがふたつ。
自分には毛布のようなものが掛けられている。
「!」
起き上がると
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
穏やかな声がした。
声がした方を見ると道を聞いてきた高級仕立てのサラリーマン風の男がいた。
「突然倒れられたので勝手に近くの私の事務所にお連れしてしまいました」
実籾は立ち上がると「それはありがとうございました。では失礼します。」
外に出ようとすると突然モノ凄い力でソファーに座らされた。
左右を見るとガタイは良いが人相は最悪の男が2人控えている。
「お嬢さんにはもう少しだけここにおられた方が良いでしょう。無理は禁物ですよ。」
男はあくまでも柔かに話しているが実籾には胡散臭さしか感じない。
そして将也のスマホにメールが来た。
佐倉からだ。
メールを開くと
「このお嬢さんは預かった。今晩9時までにバー・ファーストまで来るように」
バーの場所を示す地図と今日の夕刊を持った佐倉の写真が添付されていた。
「未成年なのでバーには入れません」
律儀に将也は返信した。
しばらくすると
「入口で待ってるから、必ず来いよ」
と再返信が来た。
将也が言われた時間にそのバーに行くと入口の前に男が立っていた。
佐倉に道を聞いた男、矢原啓介だ。
案内されて店の中に入ると、奥のソファーに如何にも偉そうな雰囲気出しまくりの中年男性がいた。
伊瀬仁太郎だ。
「佐倉は何処ですか?」伊瀬はそれには応えず「まぁ座りなさい」と言った。
デップリと太った身体から発せられる声には有無を言わさない迫力があった。
座ると「どうだ、オレと組まないか?」と言われた。
「・・・はぁ??」
「オレと組めばアノお嬢さんと面白可笑しく暮らせるようにしてやるぜ!」
佐倉と面白可笑しく・・・・? 将也には想像が出来ない。
「それか、アノお嬢さんと一緒に外国に行ってもらうかだが!」
外国? 何故、佐倉と旅行しなければならないのか?
将也は目の前のエラそうなオッサンが何を言っているのか理解に苦しんだ。
バターン!!
奥のドアが突然開いて中から鼻血を垂らした如何にもヤクザみたいな男が駆け込んで来た。
右目の周りに青アザが出来ている。
伊勢の前で膝を付いて四つん這いになり涙を流しながら、
「オヤジ、もっと手を廻して下さい! 2人だけではとても・・・」
その瞬間、トォリャー!!との気合と共に中から別のヤクザ男がブッ飛んで来た。
全身ボコボコにされた・・・という感じだ。
次に佐倉実籾がヒョイっと顔を出す。
将也と目が遇う。
「何でアンタがここにいるのよ? ! まさかこの人たち、アンタのお友だち?」
「んな訳ねぇだろ!」
「じゃあ何でここにいるのよ?」
「オマエ写真撮られただろ?」
「あぁ、アノ訳分からないヤツ?」
「オマエ、誘拐されたんだぞ!」
「そうだったの!」
佐倉は今度は怒りの表情で四つん這いの男の尻を蹴る。
その勢いで頭を壁にぶつけた男は「ムギュ~」と白目を向いた。
「ヤンチャもいい加減にしないとイタイ目に遭わせるぞ!」
矢原が2人に凄んだその時、突然ドアが開かれ数人の警察官がなだれ込んで来た。
「伊瀬仁太郎及び矢原啓介、未成年誘拐と傷害の現行犯により・・・逮捕・・・する」
警官の前には2人の男がノビており、無傷の少年少女が立っていた。
何はトモあれ、伊瀬と矢原たちは手錠を架けられて警察に連行されて行った。
成田将也はあの事件の後、県警から絶えずマークされて(見張られて)いたのだ。
「成田君、君は警察に通報するのがそんなに面倒なのかね?」
渡警部だった。
家まで同行され両親の前でこってりと絞られる将也だった。
13 相良丈太郎
伊瀬仁太郎は保釈金2千万円を払って釈放された。
矢原啓介はもういい。しばらくブタ飯でも喰って自分の不甲斐なさを噛み締めるがいい。
最近の伊瀬は踏んだり蹴ったりされた気がしている。
傘下の暴走族は壊滅、息子は死亡、だが息子はまた誰かに産ませれば良いとしても、自分が手錠を架けられた!
これは屈辱だ!!!
しかも1人の少年にしてやられた!!!!(と伊瀬は思っている。)
復讐してやらなければ気が済まない。
殺すことは簡単だ。
狙撃手でも雇って遠隔から狙えばいくらヤツでもどうにもならないだろう。
しかしそれでは全然足りない。
もっと苦しんで、自分に許しを請うようにして、それを無視してやって、出来ればこの自分が止めを刺したい。
空手遣いには武術遣いを当てるべきだ。うんうん、我ながら素晴らしい考えだ。
しかも軍隊の特殊部隊のような殺人に特化した人材を当てればよい。
よし、そうしよう。
こうして雇われたのが相良丈太郎。
元自衛官、専守防衛の訓練では満足出来ず除隊後、フランス傭兵部隊に所属していた。
長身で服の上からでも身体は念入りに鍛えられているのが判る。
櫛を通していないボサボサな髪、ただ耳や目を塞ぐような長さではない。
そして無精髭。オシャレで生やしているのではなく単に無精で生えたような髭。
目は気怠げだが周囲に気を配っているようだ。
彼は軍人というよりは人と命のやり取りをしたいというような人種だ。
依頼にあたって伊瀬は相良に銃火器の使用を禁じた。
相良は快諾した。
高校生相手に銃火器など不要だと自分も考えていた。
と同時にギャラが破格だからこの仕事を受けたが、このオッサン大人気ねぇなぁとも思った。
翌日から数日間、相良は成田将也を観察した。
朝、学校へ登校し、昼は友達と駄弁って、夕方はブラブラしながら帰宅する。
どこにでもいるような高校生だ。
こんな高校生が凶器を持った族20人を素手で倒したとは考えられない。
しかし・・・調べた範囲では成田は8人の命を奪っている。
しかも素手で・・・
自分はもっと多くの人間の命を奪ってきたが、それは銃火器の使用が含まれての話だ。
それに何故、あんなに普通でいられる?
人の命を奪うということは、それなりに心理的負担がかかるものだ。
アフリカのどこかの国のように誘拐された子供が大人の命令で銃火器を玩具のように使って人を殺してきた訳ではない。
何故なのだろう?
相良はこちらの方に興味を持った。
オーナー(伊瀬)から出来るだけ苦しめて殺すように言われているが、そんな面倒なことはせず"サクッ"と殺してしまえば良いだろう。
相良はハンバーガーを食べている将也の後ろに近づきすれ違い様にその後ろ首に針を刺そうとした。
普通ならばこれで即死だ。
近づいて針を持つ手を動かしたそのとき、将也は振り返って相良を見た。
口はまだモグモグさせている。
完全に機を逸した。
相良はそのまま将也の後ろを通り過ぎるしかなかった。
次に歩道でのすれ違い様に急所に電気ショックを与えるやり方。
スタンガンと異なり心臓を一瞬にして停めてしまう特別な「武器」を使用する。
将也とのすれ違い様、相良の腕を将也が抑えた。
そして相楽に「何をするんだ」と低い声で問うた。
相良は顔を見られてしまった訳だ。
「メールを送るよ」
相良はニコヤカに言うとその場を去った。
その夜、将也のスマホに送信者不明のメールが届いた。
14 修羅 ソノ2
将也がハンバーガーを食べていたとき『あの人、将也クンをジッと見ているよ』と実李が将也の頭のなかに呟く。
振り返ると無精髭を生やした男がいた。
ほんの一瞬動きが固まったように見えたが、そのまま通り過ぎて行った。
歩道を歩いているとき、『またあの男だよ』と実李が呟く。
将也は注意してその男を見ていたらジャンバーのポケットから何か取り出そうとした。
その腕を抑え「何をするんだ」と低い声で問うたら、
ニコヤカな顔で「メールを送るよ」と言われた。
夕刻それらしいメールが届いた。
アイツとメルアドを交換した覚えはないが佐倉が誘拐された時に彼女のスマホから自分のアドレスを盗んだのだろう。
メールで指定された場所は市内にある森林自然公園だった。ちょっとした林のような公園で広さは野球場くらいだ。
「おーい、来たぞぉ!」
将也は大声で到着を告げたが何の返事もない。
相良丈太郎はひと際大きな樹木の上にいた。彼は驚いていた。まさか本当に来るとは?
こちらは人質を取っている訳ではない。無視すれば済む戦いだ。
「チマチマやられるとコチラも落ち着かないんだ。決着を付けようぜ!」
将也の声に相良の口の両端が吊り上がった。
「何だ、ヤツもオレと同じ人種だ。戦いを、いや戦いのスリルに生き甲斐を感じる人種だ」
相良は将也が自分の射程範囲に入るのをジッと待った。・・・入った!
相良はニードル(棒状の手裏剣)を将也に放つ。将也は頭を軽くスゥエーして躱すと相良のいる樹木からサッと飛び退いた。
「アンタの戦い方はそういう戦いか?」
相良は樹木から飛び降りて将也の前に姿を現す。
「いや、今のはアイサツ代わりだ」
「ならよかった。渡警部から何故通報しないのかってまた叱られるところだった」
「警察に通報したっていいんだぜ。こちらは1分もあれば終わる」
「じゃあ、開始!」
その声と共に相良の目の前から将也の姿がスッと消えた!!!と思ったら脇腹に衝撃を受ける。
将也の横蹴りを喰らったらしい。
将也はいつの間にか相良の左斜め後ろにいた。
「まさか、ヤツは3メートルぐらい離れていたんだぞ」
素早く軍隊格闘術の構えを取るが、またも将也の姿は消えた。
すると背骨がグシッ!と音を立てた。
「ガハ!?」相楽の息が止まる。
次に足元の地面が突然消えた。将也の足払いを受けたのだ。
殆んど真横一文字の状態で地面に落ちたが辛うじて受け身は取れた。素早く身を転がす。
グサッ!
自分がコンマ1秒前に居たところに将也の正拳が突き刺さった。
相良は飛び起きると将也のTシャツの奥襟を取って背負い投げを掛けようとしたが、将也の身体はビクともせずTシャツだけがベリベリと破けた。
「! 何だ? その身体は・・・!」
相良は息を飲んだ。
将也の上半身は、鍛え抜かれた筋肉、ではなく、肌色の鋼鉄で覆われていた。
ボディービルダーの中には大会前に脂肪の一切を除去する者もいる。そうすれば身体が鋼のように見えて迫力が増す。
しかし将也の上半身はそういうものではない。関節の骨と骨の間に筋肉のみが張り付いてしているように見える。
人間はある程度の脂肪を身体に蓄えないと生きていけない。
目の前の少年の身体は人間の身体には見えない。
サイボーグかアンドロイド、スチールかステンレスで出来た機械にすら見える。
これはバケモノだ!
「もう1分経ったぞ」
将也の声に、相良は思わずサバイバルナイフを腰から抜いてしまった。
「ナイフ」には将也の中の実李が過剰に反応してしまう。
ブォッー!!
ナイフを将也に向けた瞬間、暴風の向かい風を受けたように身体が後ろに押された。
何だ? 気当たりか? 異常な強さだ。 ヤツの目付きは異常だ。高校生の目ではない。
ザッ、ザッ、ザッ、
ヤツが自分に近付いて来る。
こっちはナイフを持っているんだぞ。見えないのか? そんなことはない。
ヤツの両目が光っている。オレを睨んでいる。
相良の思考が混乱する。
相良はナイフを闇雲に突き出したが、将也の左突き腕の回転でナイフを持つ相樂の腕は弾かれ、将也の拳は相良の右肩に減り込んできた。
ゴキィ!
右肩が外れたか? 素早くナイフを左手に持ち替え・・・ようとしたら・・・右頬に衝撃!
将也の左回し蹴りが当たったのだ。
右肩が外されているので右腕は上がらない。まともに喰らった。
辛うじて意識は飛ばされず済んだが、また将也の姿が見えない。と言うより周囲の全てがボヤけて灰色の雲の中に入ってしまったような気がする。
ゾク!、ゾク!、ゾク!、
自分の心臓音がこんな風に聞こえる。初めての経験だ。
脳天に衝撃!! 何が起こったのか。
両腕が左右に引っ張られる! 両膝の力が入らなくなる、いや重力が増したのか? バカな!
右横によろけた先にガツンと衝撃を受ける。ナンダこれは?
逆側によろけるとバチン! 何かに引っ叩かれた。
これは何だ? リアルなのか? 幻覚なのか?
もうオレの神経は正常ではなくなっている。オレは死ぬのか? 高校生相手に!!!
ボォッーッと将也の姿が正面に現れて来る。
そうかオレの眼球が裏返っていたのか・・・
相良は将也が自分に向けて正拳中断突きを放つのが見えた。
・・・・・・・
その時の公園入口付近に少女の影が二つ。
「また命が飛ばされでしまいましたわ」
「いくつ飛ばせば気が済むのかしら?」
「本人が何かへの執着をを捨てない限り続くでしょうね」
「その執着とは何に対してなのでしょう?」
2人はひとつの命が天に昇って行くのを見るとその場を離れた。
翌朝、犬を連れて散歩をしていた近所の主婦が迷彩服のズボンに黒いランニングシャツのようなものを着た男性が倒れているのを発見した。
警察が遺体を回収し司法解剖をした結果、右肩が脱臼しており、右頬に何かの凶器で打撃を受けた形跡があったが頸椎には損傷はなく、右頬の打撲は致死に至るものではなかった。
他にも何ヵ所か打撲や掠り傷が有ったが致命傷とは言えない。
結局、死因は判明できなかった。
翌朝、成田将也は普通に登校した。
友達とあいさつをかわし、自分の教室へと向かう。
いつもと同じだ。
その様子を見守る国府台姉妹。
「志津、もう放ってはおけませんね」
「姉さま、早くことを進めなければ」
「それにはあの方に協力を求めなければなりません」
「もちろんですわ」
姉妹の視線の先には佐倉実籾がいた。




