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星の欠片を求めて

 エイミーの家の扉を開けて中に入る。


「ただいまーアル」

「待たせたなアル」

「お帰りナサイ」


 アルが返事を返す。


「とりあえず、夕食にしましょうか」

「そうだな」


 二人でエイミーと一緒に夕食を食べる。

 そして、話題は今後についてだ。


「一先ず、聖剣エクスグラスを直す事は出来そうだな」

「その為には、星の欠片が必要なんだけどね」


 そう、その星の欠片だ。過去に行って取ってくれば良いんだろうけど。

 

「過去に行く事は確定しているんだけどなぁ……」

「そうね。これからについてまとめましょう。――」


 一つ、聖歴元年に星の欠片が空から落ちた。

 二つ、聖歴何年に星の欠片を取りに行くのか。

 三つ、どのくらいの量の星の欠片を取れば良いのか。


「一つ目は良いとして、二つ目と三つ目が問題だわ」

「ああ、そうだな。隕石が落ちて来て、大災害で死ぬとか嫌だぞ」


 未来の魔王が行っていた事だ。隕石で大災害が起きて文明が崩壊した。

 ならば、元年に行ったら死ぬ可能性が高いのだ。

 ここはある程度、余裕を持って過去に行った方が良いだろう。


「となると、どの時代に飛ぶかだけど。何年くらいが良いのかしらね?」


 エイミーも思案顔だ。何年に飛ぶか、かぁ……。

 考えれば、考える程良い案は浮かばない。どうするか。


「聖歴一年とかにでも飛んでみるか?」

「んー、そうね。それで良いかもね。ダメだったらまた考えれば良いし」


 じゃあ、聖歴一年に飛ぶことに決定だな。

 後は、星の欠片をどのくらい取れば良いかだな。


「三つ目の件はどうする?」

「恐らくだけど、グラス=アルバーンが聖剣エクスグラスを創るのに最低限の量が、必要なのだと思うわ」

「それは確定した未来・・・・・・だからか?」

「そういう事。これを取り過ぎてしまうと、聖剣エクスグラスは創れない。だから、取る量を考えて置かないといけないわけね」


 グラス=アルバーンは星の欠片を使って、聖剣エクスグラスを創った。これは変えられない未来だ。

 ならば、どうするか。グラス=アルバーンが聖剣エクスグラスを創れるくらいを残して、星の欠片を手に入れれば良いという事だ。そうすれば、未来は変わらない。

 問題はそれだけの量があるのか、という事だけどな。


「村長が失敗する可能性も考えると多めに取っておきたい所だよな」

「そうね。そこが一番重要ね。取り過ぎてもいけないし、取らな過ぎても問題」


 んー、でもなるようになるとしか言えないな。とりあえず、やってみるしかないのだ。


「やってみるしかないな。撮り過ぎたら、前みたいに透明になったりするはずだ。だから、それを目安にやってみるしかない」

「それもそっか。じゃあ、決まりね。明日から出発よ」


 

 夕食を食べてからベッドで寝た。


 それから次の日、タイムマシンの前に集まる。


「とりあえず、ピッケルとか保存食は多めに持って行くし」

「他は問題無いんじゃないか? 入れ過ぎると、星の欠片を持って帰るのも大変だぞ」


 アルのバックパックには荷物が結構入っている。これ以上入れたら目的の星の欠片を持って帰れないかもしれない。


「そっか。じゃあ、行きましょうか」


 エイミーがタイマーを聖歴一年にセットし、起動。

 タイムマシンが稼働して唸る。

 水溜まりのような空間が出てきた。


「さぁ、みんな行こうか!」

「ええ!」

「了承」


 俺達はタイムマシンの中に入っていった。


 青い空間を飛んでいる。今回は長い。

 三十分くらいは掛かっているのかな。


「長いな。いつもなら、そんなに時間かからないのに」

「聖歴九百五年から聖歴一年なんだから、長くても仕方ないわ」


 それもそうか。九百年も前の事なんだから長いのも納得だ。

 今までは二百年程度しか行ってなかったからな。


「あ! 見えてきたわよ!」


 エイミーの指差す方向に光が見えた。


「お、出口だな。なにもありませんように……」


 いきなり、出て死にましたとかなったらシャレにならないからな。


「大丈夫よ。そんな事ないって」


 今はエイミーのその肝っ玉が羨ましい。

 こちとら不安でビクビクしているのに。


「ほら、もう出るわよ」

「ああ、分かった」


 そして、光の先に出る。



 出た先は、鬱蒼とした秋の森の中。


「着いたな」

「ええ、なんか変わりないわね」


 いつも通りの光景にほっとした。

 だけど、隕石が落ちてきたのにここらが無事なのは、何故なんだろうか?

 不思議で仕方ない。

 でも、考えても仕方ないか。とりあえず、行こう。


「行こう。剣魔の里に」

「分かったわ!」

「了承」


 剣魔の里はここから馬車で二週間。

 この森の中を行くとしたら三週間かちょっとはかかりそうだ。




 進む事、一週間。

 思うように進めない。というのも魔物が出てはその対応に追われるからだ。


「結構時間かかっちゃってるな」

「んー、仕方ないわね。予想できていた事態でもあるし」


 まぁ、昔だからな。魔物とかが溢れているのも仕方ない事か。


「仕方ないか。着実に行くしかないか」

「そういう事ね」



 それから、一週間経った時だ。

 遂に、道らしきものを発見した。これを辿れば、剣魔の里にいけるかもしれない。

 嬉しくて小躍りしそうになった。

 エイミーも少しほっとしている。



 そして、四日後。通算で十八日後か。

 村落らしきものを発見した。これが剣魔の里かな?

 それにしても、九百年も前から村があるとか凄くないか。



 村落に到着した。小さいながらも村としてはそこそこ大きい規模だ。

 それに、なにか黒くて五メートルはありそうな球体が見えた。


「あれが、星の欠片か?」

「多分そうね。ここの一番偉い人に聴いて見ましょう」


 エイミーの一声で、俺達は村で一番デカい家に行く。

 そこの庭に、黒い石の塊がドンッと置かれていた。


 家の扉を叩く。


「すみません。尋ねたいことがあるんですが」


 ドアをノックして、数分で扉が開いた。

 そこから出てきたのは剣魔の里の村長にそっくりなガタイの良い五十くらいの男の人だ。


「何用だ! 貴様ら!」


 性格も村長に似ている気がする。最初会った時にこんな風に言われた記憶がある。


「いえ、黒いあの鉱石について聴きたいことがありまして」


 そう言うと、こちらを一瞥する男性。


「貴様ら、あれに用があるのか」

「はい。出来れば、少し頂ければ良いのですが」

「あれは、我らの至宝だ。簡単に渡す訳にはいかない」


 と、言う事は何かをしないと行けないのか?


「そこを何とか。何でもしますから!」

「ふむ。そうだな……」


 男性は考え込んで答える。


「では、敵対している部族と戦ってもらおうか」

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