鴉町と地獄町
朝も夕方も無い『夜』しか存在しない町、それが僕らが住む《鴉町》。
都外に位置している失われ掛けた町とも言われている、この町には都内の者とは少し違う能力を持つ者が決して全員ではないのだが、持っている。
それは、《鴉町》と異世界の《地獄町》と呼ばれる妖などが存在し住んでる町を行き来できるチカラ。契約を結べば契約妖をこちらの世界に呼ぶ事も可能となる不思議なチカラ。
そして、鴉町と地獄町は昔からの縁があるからなのかお互い種族は少ないもののハイブリッドの種族がこの町にはチラホラと居る。
逆を言えばハイブリッドではない純人間タイプの種族が珍しいものだ。
そんな僕もちゃんとした純人間ではないハイブリッドタイプの者だ。
ハイブリッドと言えども落ちこぼれは存在しているわけで、地獄町では仲良くやっていても鴉町では浮いたいじめられ気質である僕。
地獄町では自分の力をコントロールできる、地獄町で開催された知る人ぞ知るチカラ自慢大会でも一度は優勝した事があるし。
だが、鴉町ではチカラが思い通りに出ない。
チカラがスッと消える感じになるのだ。
鴉町じゃなく地獄町に住みたいそんな事を思うこともあったっけ……。
でも、移住しなかったのは鴉町ではなく都内の人間が地獄町への移住を認めておらず、鴉町に住む者が少ないからか、毎月末に点検しに来るのだ。
あの如何にもお坊ちゃんタイプのただの人間が…………。
あの面を見ると、地獄町の者達特有の戦闘心がグツグツと煮えあがってくるのだ。
だが、それは出来ない。先程も言ったように僕は地獄町出ない限りチカラが使えないのだから。
今日も鴉町は絶好の気持ちいい程に真っ暗な黒いお空です。
どうやって朝と夜を見分けるのか?それは簡単。朝は鴉町には月が出ていないが、夜になると出てくる。そんな簡単な方法だ。
そんななんでもない日に僕はいつも通りに自分で鴉町と地獄町を結ぶ門扉を開けて地獄町に入る。
地獄町に入ると普段は上手に人間の姿をしてる者でも本来の姿に変わる。僕の場合は地獄でも上位な妖の九尾と目利きが良く上空戦ではハイパー凄い八咫烏のハイブリッドである。
父も母も今はどちらの世界にも存在しないが、その代わりに地獄町の世界で生まれた姉や妹、兄、弟と地獄町で買い物をしたりゲームしたり、カラダを鍛えたりなどしている。
僕はいいとこ取りとよく兄妹達に言われる。
しかし、僕的には彼らの方がいいとこ取りだ。鴉町で生まれた僕は自由を失った。
それに比べて彼ら兄妹たちは地獄町で生まれた為に自由がある。チカラもある。
誇らしい兄妹たちではあるが、羨ましい限りだ。
僕もボクも何時か………、
兄妹たちのように『地獄町』に住みたい……。
なんて事を思ったボクが悪かったのだろうか??
数日後の夜の話だ。
鴉町に都内の政府の者達、幹部も含めた者達が押し寄せた。
そして、地獄町の扉を無理やり開かせて、地獄町の町を戦争地帯として、地獄町は無残な姿となった。
そして、僕が地獄町に向かった頃には死体ばかりで埋まっていた。
地獄町に溢れる妖気も現代の世界に漏れてこれを期に悪党などの者と政府とのすれ違う戦が始まり、鴉町の者達は即戦力として、駆り出されまるで奴隷の様になった。
僕はといえば…………、即戦力とも考えられておらず、みんなとは異なり、政府直属の私立の高校(学園)に入れらてた。
僕のことは誰もしりもしない。
ただ、罪悪感しか抱かない悲しみで浸された毎日を送った。
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