6.5話 もう一つの視点
教室で高峰君と別れた私は、村上君と一緒に食堂にきていた。まぁ、恥ずかしかったから誤魔化そうとしたけど、本当に一緒に食べる人がいなかったから、彼の心遣いは素直に感謝している。
「なににしようかな〜?」
「私、今日はうどんを食べようかしら」
「お、一文字さんはうどんか~。じゃあ俺は唐揚げ定食にしよ!」
お互いに昼ご飯のメニューが決まり、空いた席を見つけ座って食べ始めると、村上君は私の方をじっと見ている。
「なにか、顔についているかしら?」
「いや、1つだけ一文字さんに聞いてみたいことがあって」
「なにかしら?」
「一文字さんって、光樹のこと好きなの?」
「ぶっ」
予想外の質問で、私は飲んでいたお茶を思いっきり吐き出して噎せた。
「げほっげほっ」
「うわぁぁ!?大丈夫?一文字さん」
私は机をティッシュで拭きつつ、彼を睨んだ。
「それで、なんでそう思ったのかしら?」
「なんだか、光樹を見る目と俺を見る目が違ったような気がしたから」
「そんなわけないでしょ」
「いや、この前事件に巻き込まれた時とは感じが違うから、なんて言うのかな今の一文字さんは光樹に対して''あなたを信用しています''みたいな感じがする。さては、光樹とこの前なにかあったね?」
「別になにもなかったし、それは村上君の勘違いよ」
「う~ん、そっか。ごめんね、変なこと聞いちゃって」
「いいわよ、別に気にしてないから。さっさと食べないと昼休みが終わってしまうわ」
次の授業はなんだったかしらなどと思いつつ、私はうどんを食べ進める。村上君も唐揚げ定食をたべながら私が退屈しないように、色々な話をしてきてくれた。そのかいもあって、楽しく食事することが出来た。昼ご飯を食べ終え教室に戻った私たちは黒板に書かれたいた言葉に目がいった。
そこには、
『次の時間は自習』
と、書かれていた。すると、帰ってきた私たちにきずいた高峰君が、
「委員長から聞いたんだが、猫ちゃんが急用で帰ったらしい」
「マジで!?よっしゃ!ラノベを読み耽れるぜ!」
「敏也またラノベかよ」
「ラノベ?」
「あぁ、正式名称ライトノベル。簡単に言えばイラスト付きの小説だ。こいつはゲーム同等に2次元大好き人間だからな」
「へぇーそうなんだ。村上君は読書もするのね」
「よかったら、一文字さんも読んでみる?」
「勝手に一文字をお前の趣味に巻きこむな」
目を輝かせながら本を薦めてくる村上君の頭を高峰君はチョップした。
「痛っ、なんだよ光樹も読みたいのか?」
「んなわけあるか。それに生憎だが、俺はゲームの攻略本以外読まねえよ」
キーンコーンカーンコーン
私たちの話を遮るように授業開始のチャイムが鳴った。クラスメイトたちが自分の席につき始める。私たちもそれにならって自分の席につき、各々好きなことを始めた。
しばらくして、勉強していた私は手を止め、隣で机に突っ伏して寝ている高峰君を見た。
(私が高峰君のことを好き、か・・・)
確かに高峰君を初めて見た時、何かを感じた。その時感じたのが恋だというの?私にはわからない。男の子を好きになること、友達としての好きではなく、異性としての好き。そんなの、竜弥にいじめられて人と関わるのが怖くなった私にわかる訳が無い。けど、そんな私を彼は助けてくれた。正直に言うと、竜弥との結婚が無くなったら、私はすぐに彼を切り捨てるつもりだった。しかし、彼は、高峰光樹は利用されてもいいと言ってくれた、お前の彼氏役を演じてやると言ってくれた。''嬉しかった''ただその一言しか出てこなかった。その時の彼の優しい微笑みを私は一生忘れないだろう。
「おい、一文字?大丈夫か?」
そうこの声、この声が私を救ってくれた。ん?この声って・・・
「た、高峰君起きてたの!?」
「起きてたら悪いのか?」
「い、いや別に悪くはないけど・・・」
「それより大丈夫か?一文字?お前、ずっとこっちで見てぼーっとしてたけど?」
「え、えぇ。大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
「どういたしまして」
そう言って高峰君はまた、寝る姿勢にはいった。安心した私はホッと息をついた。残った時間を使って考えたけど、あの時感じた気持ちがなんなのかはやはりわからなかった──
読んで頂きありがとうございます!どうも、ひのき棒です。今回は菜月視点から書いてみました。ようやく午後の授業の様子が書けました!自習だったけど・・・。まぁ、そんな事より、感想・ポイント、ブックマークをくれたらとても嬉しいです!