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[〜 ようこそ、カオスあふれる異世界へ 〜]  作者: 十番目の元素
第一章 迷宮編
4/9

黒を支配する者

ブックマークしてくれた方、ありがとうございます!

 


 ぼんやりと意識が戻る。


 うーんと、俺はさっきまで何をしていたんだっけ……?


 ……確か、異世界転移に巻き込まれた後洞窟に飛ばされて、そしてゾンビの大群に襲われ、その後死に……


 あれ?喰われて死んだんじゃ無かったのか……?


 だが俺はこの通り意識がある。


 もしかして死後の世界にやって来たとか?

 そうか……やっぱり死んだのか俺。


 意外と思考がはっきりしていて、まるで死後とは思えない。

 視界は真っ暗だ。俺はゆっくりと眼を開く。


 そこには終わりの見えないほど広大な野原が広がり、目の前には三途の川、その奥にはこちらに手を振る祖父の姿が……………………なんて事は無かった。


 俺はまだ奥に階段のある部屋にいた。

 状況からしてここで気絶していたらしい。俺は噛みちぎられたはずの身体を見回すが異常などは見当たらず、それどころか以前の身体よりも少し……いや結構筋肉質になり、身体の内部から余りある力が溢れてくる感じがする。

 どういう事なんだ?


 自分の身体を更にチェックしようと身を(よじ)った。そこで初めて部屋の異様な光景に気付く。


 それ(・・)を言葉で表すとするなら──


「大樹の根のように広がる黒い触手」 と表現するのが最も相応しいだろう。そのどす黒くて物凄く不気味な触手が俺の足元から……否、正確には膝の関節辺りにまるで俺の身体から(・・・・・・)生えてきたかのように(・・・・・・・・・・)くっ付き、四方八方に伸びて部屋中を支配するかのように侵食していたのだ。


「なんだこれ…………」


 俺は訳も分からずにぽかーんとしてこの光景をただ眺め続けた。




 ───────────




 あの部屋で目覚めた後、俺は我を取り戻してから階段の奥へと進んだ。

 因みにあの触手のような物は気になったので俺の持つスキル【鑑定】を掛けたら、


黒い触手ダーク・テンタークル

 スキル【黒き支配者】により発生した魔素物質。魔粒子と呼ばれる循環体で構成され、周囲に存在する同色粒子を引き寄せて所有者オーナーへと還元する。


 と表示された。……ちょっと良く分からない。


 もう少しわかり易く出来ないかと色々試していると、説明文に載っている言葉にも鑑定を掛ける事ができたので、より詳しく見る。


 ……要約すると、元々この世界には「魔粒子」と呼ばれる原子のような小さな粒子が空気中に存在していて、また、生物の体内にも存在し、身体中をぐるぐると循環しているらしい。

 その魔粒子は光のように七色に分かれていて、順に 赤、青、緑、黄、紫、白、黒 となっている。

 それぞれに決まった特徴は無いが、一つだけ、「体内を巡っている粒子達がお互いの量的な関係を全て等しくなるように保つ」という法則があるらしい。例えば、赤の魔粒子が体内に十あったとする。すると体内に

他の色の魔粒子も十存在する事になる、という訳だ。簡単に言えば、『魔粒子にはそれぞれ一定のバランスがあるんだ』って事なんだと思う。

 この体内のバランスが崩れると生物の身体に様々な影響を引き起こしたりするそうだ。その影響はバランスを崩した魔粒子の司る色によって違っていたりする。


 そしてその七色の魔粒子の一つ、黒を司る魔粒子を自在に操り、支配するという能力こそが俺のゲットしたスキル【黒き支配者ディザスター】であり、このスキルにより発生したのが「黒い触手ダーク・テンタークル」という訳なのだ。


 理解して頂けたかな?

 要するに俺は、知らないうちに黒色の魔粒子を自在に操る事の出来る

 “黒の支配者”

 となったのである。

 俺TUEEEE!!!……調子乗りました、すみません。


 ゴホンゴホンッ!気を取り直そう。


 他にも、鑑定の最中に気付いた事があった。

 説明文だ。

 前に光水晶を鑑定した時は名称しか表れなかったのに、今回は説明文が表示されていたのだ。

 それはつまり……鑑定スキルのレベルが上がった事を意味するのではないか、と。

 俺はすぐさま自分に鑑定スキルを掛けた。



 ───────────────────────


  如月稔きさらぎ みのる


 Lv.42 男 人間

 S Pスキルポイント:残り 210pt

  装備:なし

  スキル:【鑑定 Lv.3】【unknown】【悪食 Lv.4】【腐乱耐性 Lv.5】【腐乱属性:付与エンチャント) Lv.5】【痛覚弱化 Lv.4】


 特殊能力ユニークスキル:【黒き支配者(ディザスター)

  ……『魔粒子誘導』『黒魔粒子操作』『黒い触手ダーク・テンタークル作成』


 称号:『死肉を喰らいし者』『蘇りし者』


 ───────────────────────



 色々と項目が増えてる……。


 まず、色々と増えているこのスキルたち。どうやって獲得したの?本当に意味が分からない。俺が気絶している間に何が有ったんだ……。

 何となくだが【腐乱属性】【腐乱耐性】というスキルからあのゾンビたちを連想イメージさせてくれる。【悪食】って言うのもゾンビに当てはまるかも知れない。


 まさかとは思うが、あのゾンビ等がいつの間にか居なくなっているのは、俺が気絶している間に喰い返して、奴等のスキルを奪った・・・・・・・・・・、とかじゃないよね……?


「……あはははっ」


 突拍子もない妄想過ぎて思わず笑ってしまった。

 だが、称号の所に『死肉を喰らいし者』というのがある。今の仮説も案外、信憑性しんぴょうせいがあるかも知れない。だとしたら笑えないな。


 もう一つ、『蘇りし者』ってどう云う事?

 俺が蘇ったって事?いつ?

 ゾンビに襲われていた時か?

 だとしたら、俺はやはりあの時喰われて死んでしまっていたのか。


 それで何らかの理由で蘇ってしまったと。

 さっきの仮説と照らし合わせてみたら、案外辻褄が合うかも知れない。つまり、俺が死に際であの俺TUEEEEスキルを獲得してゾンビ共を逆に喰らい、ゾンビ共の持っていたスキルを俺が奪って、何らかの理由で蘇ったと、そう云う事だ。


 実際どうなのだろうか……?謎が深まるばかりだな。


 大分、話が逸れてしまった。


 こんな感じで俺は今の状況の考察を考えつつ、俺は階段の奥へと向かったのだ。辿り着いた上の階は、今までとは様子が若干異なるな。

 まず、壁の色が赤黒かったのから、普通の洞窟のように茶色っぽくなった。あと天井も、心なしか高くなった気がする。

 雰囲気も、さっきまでの階は暗くてじめじめした感じだったのが、いまは普通の洞窟って感じだ。


 俺は前に進んだ。少し歩くと右側に小部屋があった。中に入ると部屋の中は外と同じぐらいの明るさで、壁によって円を描くように囲まれている。中央に、中ぐらいの箱と大きな箱の二種類が置いていた。ゲームに出てくる宝箱のようだな。

 それに近づき、恐る恐る中を確認する。──中ぐらいの箱には、一つのブレスレットが入っていた。鑑定結果は、「鑑定系、探知系、操作系スキル、及びアイテムの精度がアップ」するブレスレットらしい。大きな箱には、一本の鉄製の剣が収められていた。

 中々運がよろしい気がする。

 俺はゲットしたブレスレットを左腕に嵌めて、鉄剣を右腕で持ち上げた。

 剣なんて初めて持ったな。意外と見た目よりも重いものなんだなーと感心しつつ、通路の奥へ進もうと部屋の出入り口へ向かおうとした、その時だった。


「……ゲロッ……」

「……キュー!」


 何かと何かの鳴き声が聞こえた。

 俺は部屋の入口の傍に隠れて通路を覗く。


 来た道には何もいないな。という事はこれから向かう道か?

 俺は顔を逆に向けて見渡す。


 すると通路の真ん中辺りに二匹の魔物がいた。

 一匹は蛙のような魔物で、もう一匹はウサギの見た目をした魔物だった。ウサギの魔物はよく見ると頭から角を生やしており、さっきのはウサギの魔物がその蛙の魔物を仕留めた時の呻き声と鳴き声なのだろう。

 ウサギの魔物は蛙の魔物を一心不乱に食べ続けている。

 俺は右手に握る鉄剣を見やる。

 対するウサギの魔物はこちらに背を向けていた。行けるんじゃないのか?これ。

 俺はそっと剣を構える。剣術なんて習った事も無いから構えは適当だ。「ふうーっ……」と、息を吐く。

 相手が魔物とはいえ、初めて生き物を殺すので身体中に緊張感が走る。

 大丈夫だ。俺ならやれるさ、きっとできる。


 意を決した。


 ウサギの魔物にじりじりと背後から近づいて行く。

 十分な距離まで近づいて、俺は構えていた剣を上から下へと振り下ろした。


「ギュッ!! 」

 ウサギは真っ二つに割れ、死んだ。


「ッ……」


 死んだ。……俺が殺した。

 一瞬、その意識のみが俺の頭の中を巡った。

 呼吸が一瞬止まる。一旦深呼吸をして自分を落ち着かせた。……大丈夫。俺は平気だ。


 あまり見ると気持ちが悪いので、ウサギの魔物を放置して、生き返ったりしないかな?と思いながらも少しずつ先へと進んだ。


 俺はその後何体もの魔物と戦いをする事となったのだった。



これから更新は出来れば二日、無いしは三日に一度は出来ればと思っています!

精一杯頑張ります!

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