月夜3
次は清十郎とアリスのコンビが相手だ。
「爆龍波」
蓮は炎を放つが、清十郎は構わず間を詰める。〈月牙〉と〈風牙〉清十郎の愛刀が、左右から叩きつけられた。刀で受けず身体を沈み込ませ蓮はかわし、清十郎の足元を払う。清十郎が跳んで上から切りつけてくるのを、前に一回転して外す。振り返り様の一刀は、清十郎の左の小太刀に受け止められ、右の小太刀の一閃を喰らう。咄嗟に鞘で受けた。
「遣るようになったな。爆龍波」
いきなり至近距離からの炎に吹き飛ばされる。
一方千堂はアリスと対峙していた。激しい剣劇の蓮と清十郎に比べ、こちらは構えたまま身動きしない。蓮が爆龍波喰らった瞬間、アリスがメイスを振り上げ突進する。千堂は雷撃をフェイントに、アリスに叩き込み踏み込む。アリスは雷撃を喰らってもノーダメージだ。メイスが千堂の顔面目掛けて振り落とされた。すれすれでかわしカウンターで左フックを、アリスの顔面にヒットさせる。アリスはニヤリと笑うとメイスを千堂の胴に喰らわす。無尽蔵の回復するアリスに軍配が上がった。
「 未だまだね」
楽しそうにアリスが言う。蓮と千堂は起き上がると身構えた。新手が控えている。
林と哲人のコンビは、哲人がフォアードで林が司令塔だ。
「次元斬。高重力」
いきなり空間が切り裂かれて、体が何倍も重くなる。辛うじて二人はかわす。蓮は炎、千堂は雷撃を飛ばすが、相手の二人はその先に居ない。また空間が切り裂かれる。千堂はかわし、蓮は刀で受けた。二人背後から別々に斬撃が襲う。前に身を投げ出しかわす。体は止まらずに蓮と千堂がぶつかった。高重力から低重力に切り替えられている。林がナイフをかざして跳んできた。蓮と千堂はお互いに身体を蹴って、左右に跳ぶ。そこを二人の後から別々に、斬撃が一閃する。二人とも背中に傷を負う。
「アリス手当て頼む」
林が冷静に頼む。
「手加減しているから、そんなに深い傷じゃないはず」
哲人が言い添える。アリスは蓮と千堂を並べてうつ伏せにして、両手を傷にあてがう。あっという間に傷が、綺麗に治っていく。
「はい 完了ね」
「ありがとうございます」
「サンキューや」
二人はアリスに礼を述べてから身を起こす。トレーニングウェアは使い物にならなくなったが、ナイツから支給されるので惜しくはない。腕を回して感覚に違和感が無いことを確認すると、立ち上がって埃を払う。
「また詰んじゃいました」
「そうだな」
林は疲れた様に言う。バイオリズムが鬱らしい。それでも言うべき事は言おうと説明する。
「未来は確定して無い。無数の選択肢で、無数に別れている。確率の高い選択しただけだ」
「それでも読まれとるのに変わらへん」
千堂が悔しそうに述べる。蓮も頷く。
「棋士を相手にしたら、誰しも読まれる。気にすんな」
哲人が二人の背中を叩く。
「哲人さん傷治ったばっか」
「 勘弁してぇな」
蓮と千堂の抗議の声は 5人の先輩の笑い声に掻き消された。残る1人は沈んでいた。




