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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
23/25

治療3

 刑事二人がナイツ本部を訪れる前、午前中の比較的早い時間ルシファーは秘書の美島恋華と直属の異能者、山口平馬を伴い法務省を訪れていた。会議室に通されると、事務次官、警察庁長官、警視総監、三人の東京地方裁判所判事が待ってた。 

「わざわざ御足労願いましてありがとうございます」

ルシファーが慇懃に言う。

「あらましは管理官から報告受けております。ルシファー、狼男とは信じ難いですな」

警視総監が口を開く。

「百聞は一見に如かず。ご覧下さい」

恋華がタブレットを差し出し、昨夜の戦闘の際の狼男の映像を見せた。参加者はナイツ側を除き息を呑んだ。

「薬害という事ですが本当に人間がこんな化け物になったんですか?」

判事の一人が訊ねた

「はい。変身に伴い人としての理性を損なうようです」

ルシファーは冷静に告げる。畳み掛ける様に言葉を重ねた。

「人が化け物になる。公に出来ないでしょうね。マスヒステリーが起こりパニックになる。極秘裏に処理すべきです」

「確かにそうですね」

事務次官が即答する。長官と総監も遅れて頷いた。判事は釈然としないようだった。ルシファーは昂然と主張する

「身柄確保はナイツでなかったら不可能でした。また拘束、管理、治療もナイツでなかったら出来ないでしょう。任せて頂きたい」

「四人もの人間を殺めて、更にもう一人殺そうとしたんですよ」

さっきとは別の判事が反論する

「昨夜からの検査の結果、殺人衝動は心神喪失に当たると判明しています」

ルシファーは再反論する。協議の結果警察は捜査を終了し、判事は極秘判決で無罪を決めた。公にはされない超法規的措置である。特殊事案を数えきれない程処理しているナイツとの力関係が大きかったのだ。


 夜がきた。綺麗な満月だった。月の出とともに琢磨は白銀の毛におおわれ狼男に変身した。モニターを凝視していた二人の刑事は息を呑んだ。研究員達は何やらデータが送られているコンソールと格闘している。主任が言う

「筋力は5割増し、拘束具の耐久の90%ヤバそうだ。脳内は興奮物質が異常に分泌されてる。前頭葉と脳幹、視床下部の活動が活発だな。予想の範囲内だな脳内は。筋力は想定外、反応速度も上がってる」

何時の間にか蓮と千堂、林以下昨日のメンバーが勢揃いしていた。

「昨日仕留めといてラッキーやったんやな。今日は苦戦処やなかったで」

「そうだね。怪我人出てたよ。下手したら死人も」

蓮はうんざりした様に相づちを打つ。

「うぉーん」

猿ぐつわを噛み砕き琢磨は遠吠えを吼えた。

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