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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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決戦3

 一体この集団は何者なんだろう?琢磨は複雑に衝動やら諦観やらがない交ぜの頭で考える。警察ではない。しかし、これ程の組織力を誇る。其れなりに社会的影響力を持っているのだろう。彼等の内リーダー格ないし、昨夜自分の邪魔したあの三人組と一匹は、その気に成れば狼男で在ろうとも殺せる。超能力の様な力を使う。特務機関だろうか?自分と言い相手と言いマンガみたいだ。身体の数ヶ所切り裂かれた状態で笑いが込み上げて来た。笑いの発作が治まると、次々に繰りだされる斬撃をかわしながらどうするべきかに考えを移した。

 狼男は蓮の一刀に追い詰められたかに見えていた。蓮は攻め立て狼男はかわすのに精一杯、それが逆転した。傷つき動かないかに思われていた左腕が不意に下から襲った。十六夜を蓮は狼男の左手に合わせて防ぐ、しかし体ごと吹き飛ばされる。狼男を除く全員が虚を突かれた。その隙に三度逃走を計る。

「ちぃ、逃がしたか」

「あっちはアリスやな」

「取り敢えず追いましょう」

包囲網が破られた訳ではないので慌てない。

 琢磨も自分が包囲網に捉えられているのはわかっている。突破したいが前線に立つリーダーの後に機動隊が分厚く控えていて、跳び越える事が叶わないのだ。闇雲に走り追手をかわしたが、立ち止まる。木に背中を付けて荒い息を整えた。前方から複数の足音がする。

「お兄さん。私とも遊ばない」

金髪碧眼のグラマラスな外国人が、綺麗な発音の日本語で声を掛ける。アリス・パーカー〈ペアー〉である。ゴツい突起の付いた大ぶりのメイスを左手に持ち柄を右手にペチペチ打ち付けていた。琢磨はため息を吐き臨戦体勢をとる。右腕の大振りをフェイントに狼男は左の後ろ回し蹴りをアリスの右脇に叩なき込む。アリスは意に介さすメイスを狼男の右肩に振り下ろした。アリスの右脇と狼男の右肩は共にメキッと嫌な音がしている。骨が折れた音だ。しかし、両者の回復力は半端ない。痛めた怪我は5分もすれば治る。この場合アリスの怪我の方が軽かった。二撃目は当然アリスにイニシアチブがある。琢磨の胴体にメイスが食い込んだ。狼男の口から血が溢れる。

「お返しは貰えないの?」

揶揄するアリス。狼男は左腕を叩き着ける。アリスの受け止めた右腕がえぐられる。構わずアリスは狼男の顔面を殴打した。視力を奪われる狼男。又もや胴体に一撃を受ける。此処でアリスは一息入れた。代わって機動隊員が代わる代わる特殊警棒で関節に一撃をくわえる。機動隊は深追いせず一撃離脱が基本の戦術だ。狼男の視力が回復しつつあると見てアリスは機動隊を下がらせた。右腕の抉られた傷も塞がりつつある。未だ完全な視力回復してなかった狼男の右肩に一撃叩き込む。体力を削り取って拘束することが戦略的課題である。傷を負わせ無尽蔵に回復する狼男のスタミナを絞り取るのだが、気の遠くなる作業だった。だがそれも功を奏しつつある。


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