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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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決戦2

 狼男は反撃に出た。ウォーターソードの突きを右肩にわざと受けたらそのままに、左腕を緑川の顔面に叩き付けた。緑川の顔がのっぺら坊になり、左手の爪が叩き付けられた途端崩れ落ちた。水分身だ。右肩の剣も水になり緑川と間合いが空いた。緑川を強敵と見て逃走に移る。機動隊の1名が発信器を撃ち込む。右肩に命中した。緑川隊は追わず逃げるに任せた。

「発信器埋め込みました。タブレットで確認して下さい」

緑川は全隊に報告する。

 逃走は5分で終了した。しかし、琢磨の傷は回復している。今度の相手は氷室冴子〈アイスドール〉だ。

「氷月花」

一定の範囲内を凍りつかせる特技である。狼男の白銀の毛が霜に覆われた。冴子の鋼線と炭素繊維で作られた鞭が唸る。凍りついた毛が砕け身体が裂ける。身体中から血を流しながら狼男が蹴りを放った。冴子は鞭をピンと張り受ける。狼男のパワーは凄まじく冴子は弾き飛ばされた。冴子を機動隊員が受け止め、別の隊員が警棒で殴りかかり、狼男の軸足の膝に叩き込む。機動隊員の顔面に狼男の右手が振りかざされる。冴子は鞭を狼男の右手に絡みつかせて機動隊員の顔面が弾けるのを阻止。ふたたび氷月花で狼男の動きを鈍らせ機動隊を下がらせる。

「やっと追いついたで」

蓮達三人と一匹が合流した。

「遅い。何やってたのよ」

セリフとは裏腹に苛立った風でもなく冴子は言った。

「すいません」

生まじめに蓮が応じる。千堂はフットワーク使いながら臨戦体勢だ。遼は二人の後方で琢磨にショックガンの銃口を向けている。疾風は蓮の横で低く唸り狼男を威嚇して今にも跳び掛からん勢いだ。

「未だやるんかいな」

千堂の問いに琢磨は吐き捨てる様に答える。

「ああそうだ」

それを合図に蓮と千堂が左右から襲いかかる。冴子は範囲を狭めた氷月花を放った。狼男の両足が凍りつく。蓮の一刀を両腕で受け止めてがら空きの横面に千堂の一撃が食い込む。その胴体には遼のショックガンが続けざまにヒットする。決まったかに思われたが、狼男は未だ墜ちない。

 狼男は両腕で両足の氷りを砕くと、高く跳躍する。爆龍波、雷撃、氷月花が飛ぶ。それらを体を捻ってかわし遼の背後に立つ。遼の首筋を喰い千切ろうと躍り掛かる。遼を守ろうと疾風が一息早く狼男の首筋に噛みつく。堪らず後退り疾風を払いのける。その隙に蓮が大上段に振りかぶり左肩をかち割った。此で左腕はしばらく使い物に成らない。この機をのがさずと蓮は切り立てる。度重なる傷を負い並外れた回復力で塞いできたが、体力を削られたか琢磨の動きは鈍りつつある。蓮は狼男の身体の数ヶ所切り裂いた。殺さぬ様に急所は避けてある事はもちろんである。片を着けるのに時間がかかっているのは生け捕りが目的だからだ。しかし、狼男はしぶとい。

「いい加減あきらめたらどうだい?」

うんざりしたように蓮は投降を促す。

「なら殺してくれ」

琢磨は全てを終わらせて貰いたい気持ちと生存本能の間で足掻いている。この得体の知れない集団に投降して明るい未来が待ってるとは言えないだろう。

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