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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
16/25

決戦

 琢磨は内心驚いていた。これまで襲うばかりで攻撃されたことは僅かだったから、これ程狼男の姿の自分がタフだとは思ってなかった。首を回して反撃に出る気になっている。

「好き放題やってくれたじゃないか」

そう言って千堂に向かって右腕を一振りした。千堂のシャツの胸が裂ける。十分余裕を持ってかわしたつもりがギリギリだ。もちろん防弾防刃スーツは着ている。しかし、狼男の爪は其れすら引き裂く勢いだった。

「危ないなあ。敵わんで」

口はそう言いながら千堂は不敵に笑うと、唇舐めてフットワーク使うためにリズミカルなステップ刻み始めた。かさにかかって狼男は千堂に向かって攻撃してくる。千堂は鮮やかにかわすが、背中が疎らに生えてる木にぶつかり追い詰められた。また右腕の一振りが襲う。それを蓮の愛刀十六夜が受け止めた。狼男は振りかざした手を強か傷つける。

「参る」

そう言って蓮は炎を纏わせた刀で切り立てた。狼男の身体のあちこちが浅く切り裂かれる。しかし、その傷はすぐに塞がる。並外れた回復力の成せる技だ。それでも、深く傷つけた右手は未だ傷ついたままである。千堂が狼男から見て右側に回り込んで、リバーブローを叩き込む。狼男の動きが止まる。遼はふたたびショックガンを鳩尾に放つ。今度は5発。また血を吐く。形勢不利とみて琢磨は引く事にした。

 狼男は大きく後に跳んでジグザグに走り出す。狙撃や遠距離攻撃を避ける為だ。たちまち引き離す。しかし、直ぐ包囲網に引っ掛かる。この方面のリーダーは緑川文博〈オーシャン〉だった。

「ランスレイン」

水の槍が無数に降り注ぐ今回は威力より数で、広範囲で確実に捉える為に小振りである。琢磨の身体中に被弾した。動きが鈍った狼男にウォーターソードを構えた緑川が近づく

「降参しませんか?」

「やだね」

いきなり首筋目掛けて噛みついてきた。その口をウォーターソードが串刺しにして縫い付ける。声に成らないうめき声を上げる。しかし、ランスレインと蓮に遣られた傷は塞がりつつある。狼男はとことんタフだ。琢磨は上に高く跳躍してウォーターソードを抜こうとした。ところが剣は何処までも伸びてくる。抜けない。そう気づくと剣を掴み口を引き裂く。自由は取り戻したが、犠牲は甚大である。跳び上がったら墜ちるのは自明の理だ。琢磨は傷つき不自由な口で、息を吸うと大量の血と共に一気に吐き出した。体が後に飛ぶ。着地したとたん左右から警棒が叩き込まれた。常人なら内臓破裂は避けられなかっただろう。ナイツの機動隊の攻撃だ。二撃目を繰りだそうとはせず、すぐに引く。緑川がふたたび正面に立つ。又もやのランスレイン。それからウォーターソードで切り立てる。伸縮自在の剣だけに蓮とは異なり深く切り裂かれた。しかし、速度は遅くても確実に回復している。無尽蔵の回復力でエンドレスの呈を成しつつあるかに見えるが、確実に狼男のスタミナを削っているのは間違いない。


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