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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
14/25

逃亡4

 月は未だ出てなかった。

「まだ時間あるで。狼男に変身するまでに片つけんで」

「おお」

そう千堂に蓮は答えて駆け出す。遼は疾風に向かって追えと命じてリードを放した。疾風は矢のように走り、出口から出ていった。遼はタブレットで疾風の位置を確認できる様にして最後尾に付く。10分走ったところで遼が二人に声を掛ける。

「不味い。タクシーに乗られたみたいだ。疾風が全速力出してる。一端車取りに戻りましょう」

「ちぃ。なまじっか変身してへんから、普通の逃亡されてまう」

「しかし、それも長くは続かない。もうすぐ月の出。何時まで持つかわからないけど、狼男の姿でタクシーに乗ってはいられない」

蓮がそう締めくくる。車取りに戻るのに30分かかる。15kmは稼がれる。23区から出てもおかしくない。しかし、それでも未だ人出も多い。琢磨が餓えから無差別に人を襲うかもしれない。なりよりタクシードライバーの身の安全が気にかかる。三人はキリキリと胃の痛む緊張感につつまれる。

「多摩地区の方に向かってる。山に入られたら捕捉できたとしても厄介になる」

「人がおらんのは好都合やないか」

「一長一短だね。川にはいられたら、疾風は追えない。早くパンダに乗らないと」

焦りで落ち着いた思考が出来ない状況下で、考え付く可能性を挙げていく。パンダに乗り込み、いざ追うぞという段になると、疾風が止まった。

 多摩川の河原だった。

「疾風の生体反応はあります。川を渡ったと思われます。しまった」

「振り出しか」

「くそったれ」

「とりあえずロストした地点まで行きましょう。手懸かりが有るかもしれません」

「 そやな」

三人は気持ちを切り替えた。パンダで40分走り疾風の元へと行った。疾風は川の出前で左右にうろうろと匂いを嗅いでいた。

「よーし。良くやった疾風。お前のせいじゃない」

「 とりあえず対岸を見てみましよう」

「ま、相手は人間の思考力持ちよるからな。下流か上流に二三キロ歩いてまくちゅうのも考えられるけど、時間からいって川から上がってるやろうな」

遼は疾風にリードつけて顎の下を撫ででやりながら考えた。下流は都心方向。対岸に渡るには深みも有り荷物が濡れる。

「上流を捜索しましょう。私なら上流に浅瀬歩いてまきます」

遼はそう提案した。

「そやな、そうしょう。タクシードライバーが襲われた事件ないか本部に問い合わせるわ」

「じゃあ車に戻りましょう」

「月が出ましたね。明日は満月、今日中に片つけたいですね。満月には狼男は、パワーも狂暴性もマックスですからね」

「ならバックアップ出してもらいましよう。形振り構ってられない。人手は多いに越したこと無い」

「プライド傷つくけどしゃーないか。背に腹は変えられへん」

「バックアップって何人位なんですか?」

蓮の疑問に千堂が答える。

「ルシファーの判断次第や。ナイツの総力も場合によってはありうるで」

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