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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
13/25

逃亡3

 琢磨が安息の眠りを貪っている頃、蓮達はその所在を突き止めようとしていた。疾風の鼻で駅迄はすぐに判明したが、そこからの足取りはわからない。遼はタブレットを持ち出し、警視庁のシステムにアクセスする。対テロの顔認証システムだ。各種公共交通及び公共施設の監視カメラとリンクしている。検索をかけた。その間に本部に連絡を入れる。

「警視庁の片山甚吉巡査部長と土井美佳巡査長に、添島琢磨の件リークしました。管理官だけには報告するそうです。警視庁及び警察庁への根回しお願いします」

調査部部長が織り込み済みといった風に答える。

「了解した。ルシファーの裁断次第だが、最終的な身柄確保もうちで抑えるぞ。狼男、良い戦力に為りそうだからな」

「と、いう事は生け捕りですか?満月迄にけり着けないとキツイですね。念の為バックアップ班編成しといてください」

そう言ってスマホを切る。まだ検索にヒットはない。遼は自分の愛車FIATパンダに乗り込み蓮と千堂に声を掛ける。

「検索に時間かかるからドックカフェ行きましょう」

「そやな、茶でもしばきながら待とか」

「朝飯食べてなかったからありがたいですね」

「バウ」

「なんや、疾風も腹減ったんか」

蓮も千堂も疾風も緊張感の欠片のないのほほんとした会話を返す。

 本部の近くの行きつけのドックカフェに場所を移しても、未だ検索に当りはなかった。三人はカフェオレのモーニングセット、チーズのホットサンドイッチとベーコンエッグ、サラダを食べて、疾風は柔らかいタイプのドックフードとミルクを食べて待った。ドックカフェで1時間粘ってると電子音が鳴り琢磨の姿を捉えた映像が映る。環状線渋谷駅。そう表示されていた。千堂が待ちわびたといった様に言った。

「渋谷か。都内におるとはな」

「4時間前だよ。タクシー使われていたら、アウトだ」

「とりあえず渋谷行きましょ」

パンダに乗り込み渋谷に向かう。コインパーキングに停めて駅から琢磨の足取りを追う。ハチ公前を通りすぎ道玄坂を歩く。其処で思い出した様に蓮は呟く。

「添島は駅に寄る前に24時間営業のホームセンターに行ってますよね。何らかのブービートラップ仕掛けてるんじゃ無いですか?最近はネットで知識持ってる事が多いから」

「そういやそやな。爆弾も最悪考えといたほうがええな」

「気を引き締めて行きましょう」

「ワン」

コンビニで疾風が止まる。此処で買い物した様だ。

「よーし、疾風。ここからまたスタートだ」

少しの間嗅いでまた歩き出す。琢磨の潜伏先も近いはずだと思われる。疾風が裏道に入った。住宅や店舗の間を抜けつぶれたボーリング場に出た。

「ここか!」

「慎重に。足下注意です」

「わかってるて」

足下に気を配りながら中に入った。ワイヤーが張られている。跨ぐ。疾風を抱き上げワイヤーを避けた。と、思ったら、もう1本ワイヤーが有った。アラームが鳴る。人の気配がして、別の出入り口でアラームが鳴る。中に入る。もぬけの殻だった。逃げられた。只真新しい弁当の食べた容器が一つとコーラのペットボトルが、残されていた。

「まずいな夜が来ちまう」

蓮は焦った。


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