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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
10/25

殺人鬼5

 コードネーム〈トカゲ〉こと市川遼は警察とは異なる方向性を考えていた。唯一の成功例の添島琢磨こそが怪しいのではないのか?そうにらんで琢磨を、アポロ製薬の研究員幹良介の殺害事件の直後から、監視している。疾風は琢磨に過敏な反応を見せた。普段非常に静かな疾風が、琢磨を認識した途端唸り声を上げて警戒モードになったのだ。遼は琢磨が犯人だと確信した。

 琢磨は午前中寝て、午後外出し夜中は何かに耐えている。盗聴の結果判明したのは以上の事だった。月夜ほどその苦しみ方は酷かった。遼はある推測に基づき警護部にエージェントの派遣を要請した。蓮と千堂のコンビが選ばれる。二人は久々の仕事にそれぞれの反応を見せた。蓮は緊張し、千堂は楽しそうだ。

「人間の首筋喰い千切るなんて、異能者ですかね?」

「どうでもええ。いてこますだけや」

それに対して遼は思わせ振りに告げる。

「異能者なら対処は未だ楽なんだけどね」

「どういう意味ですか?」

「奥歯に物挟まった様なものの言い方してからに、何が言いたいねん」

二人が訊き返すと。

「予測に過ぎないんですが・・・」

遼は予測を話し始めた。


 琢磨はその夜、濃紺のパーカーを目深に被って、俯きがちに歩いている。二宮絢香のマンションの方角だ。マンションの近くの人気の無い所で襲うつもりなのだろう。餓えに苛まれるのを耐えているせいか小刻みに震えている。すれ違う人々は大して気にならない様だ。マンションの目の前に着く。絢香は未だ帰って無い。タクシーが止まる。絢香が降りてくる。人気が無いのを確認して琢磨は声を掛ける。

「アポロ製薬の営業の二宮絢香さんですね?」

「そうだけど、貴方は?」

「こういう者だよ」

パーカーのフードを取る。狼男の顔が表れる。悲鳴を上げて固まった絢香を、男が横から突き飛ばす様に抱き抱えて、狼男の顎から守った。千堂だ。千堂の後からすかさず蓮が刀で斬りつける。しかしパーカーを斬り裂いたものの、銀色の剛毛が鎧の如く弾いた。

「爆龍波」

炎を蓮は放つ。しかし、狼男は息を吸い込み一気に吐く。炎は散り散りになった。絢香を遼に預けた千堂が、戦列に加わる。雷撃を放ち、雷をまとった拳を繰り出す。雷はそれなりに効いている様だが、拳はことごとくブロックされる。千堂のコンビネーションが肝臓打ちリバーを放つ。狼男は腕でブロックして反しの顔面への拳を警戒した。足元への攻撃に無警戒と見て、蓮は刀に炎をまとわせて足元を払った。今度はジーパンのみならず剛毛ごと狼男の脚も斬り裂いた。狼男は片足で大きく後に跳ぶとそのまま逃げ出した。蓮と千堂は追わない。後で疾風の鼻で追うつもりなのだ。

「二宮さん大丈夫ですか?」

遼が絢香に声を掛ける。

「何なのあれ!化け物だわ。それにあなた達も一体何者?」

「それについては部屋でゆっくり」

そう言って絢香を立たすと部屋に向かった。  

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