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宵月の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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月夜

前作、夕闇の世紀の続編です。前作の世界観を引き継ぎ、主人公達が新な事件に挑みます。新しいキャラも登場するのでお楽しみに。

 月の綺麗な夜だった。一組のカップルが公園でいちゃついている。寒くなってきた季節なので、肉まんを半分こしていた。

「あっちゃん大きい方あげる」

「みーちゃんありがとう」

そんなやり取りをしていたら突然、月の光りが遮られる。二人は顔を上げた。若い女性が悲鳴を放つが、それも一瞬の事だ。後に死体が二つ残される。それが、一連の事件の始まりだった。


 緋村蓮ひむられんは都内の高校の二年生である。半月前にとある事情でアフリカに行った。帰ってからはバイト先と学校と家を往復してる。今日もバイト先に行こうとすると、クラスメイトの三島あずみが声を掛けてきた。

「これありがとうね」

これとは、蓮がアフリカ土産に買って来て渡した、クリスタルの腕輪だ。気に入ってもらえた様で、繰り返し礼を言う。

「礼はもう良いよ。何回目だっけ」

「 だって嬉しいんだもん。良い趣味してるね。バイトしてやりたい事が、旅行だったんだ。でも海外、しかもアフリカって」

あずみは理由が知りたいらしい。本当の理由は話せないので、

「人の行かない所に行きたかったんだ」

そう誤魔化す。あずみにはイジメにあった際、世話になった。腕輪はその感謝のつもりで渡したが、余計な興味を惹いたので、困惑している。あずみは納得したらしく無邪気に訊く。

「次は何処行くの?」

「未だ決めて無い。そろそろバイト行かなくちゃ。バイバイ」

ぼろが出ない内にと挨拶して、ギターケースと鞄を持って教室を出る。あずみは正直話し足りなかったらしく、名残惜しそうに挨拶した。

「 もっと話したかったな。また明日。バイバイ」

 蓮のバイト先迄は電車と地下鉄で40分かかる。都心の一等地に建つ巨大なビルだ。表向きは外資系の総合商社という事になっているが、実際は〈ナイツ〉という〈異能者〉の秘密結社の本部なのだ。蓮も〈炎聖〉のコードネームを持つメンバーである。蓮が加入させられたのは 3ヶ月ほど前だ。未だ組織内の事情には疎い。半月前に初仕事をこなしたばかり。アフリカもその時に行ったのだ。初仕事の後は、訓練の日々である。

 本部に着くと、2階の食堂のスターバックスで、キャラメルマキアートのホット、トールを頼んで相棒〈バデイ〉の〈雷帝〉こと千堂円せんどまどかを待つ。千堂は「まどか」という女の子みたいな名前を呼ばれる事を嫌う。またコテコテの関西弁を話す大阪人である。その千堂がやって来た。

「わいも飲もか」

ソイラテのトールのホットを頼む。二人して旨そうに飲みながら今日の予定を話し合う。

「また実戦訓練?」

「そや、先輩方相手してくれはる」

「キツいな」

「生ぬるかったら訓練にならんやろ」

最近の訓練は異能者である先輩エージェントとの実戦訓練がメインである。その先輩達が半端なく強い。手加減はしてくれていても、気の抜けない戦いの連続だ。

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