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後編

ルドルフ : サンタ!?しっかりしてよ、寝ちゃだめだってば!


ルドルフ、プレゼントの中にあった高そうなコートをサンタに着せてやり、他のプレゼントの包装紙などもちぎって隙間につめたりしてやる。


ルドルフ : サンタ、頑張って、お願い … …

サンタ  : 悪いな、ルドルフ。俺、無理そうだ …… ていうか、オマエ一人でもう行け。山降りろ。おまえ一人なら人間に見つかっても、まあ大きな騒ぎにはならねぇだろ ……


そう言うと、サンタはまた目を閉じてしまう。ルドルフ、ふ、とサンタから離れる。一瞬立ち去るかに見えたがそうではなく、さっき放り出した角を二本とも帽子からぽきり、と折りとってすり合わせ原始的な方法で頑張って火をつけようとする。舞台の嘘的なタイミングで火がつく。それを包装用紙やそのあたりの枝も使ってどうにか焚き火っぽくする。サンタの傍に焚き火。そして、そっとソリからモリを出しサンタの側に置いた後、おもむろに準備体操を始める。ふと、何秒かサンタの顔を見守る。そして、これまで普通の人間と同じような動きだったのに急にちゃんとトナカイっぽい佇まい。そして、サンタに頭突き。


サンタ  : !?痛ってえぇぇ!てめ、何すんだルドルフ!


ルドルフ、答えない。前足で地面を掻く動作などしている。


サンタ  : ルドルフ …… ?


ルドルフ、もう一度サンタに突撃。サンタ、なんとかそれをかわす。


サンタ  : わ、だから何するんだって危ないだろ!ちょ、やめ、やーめーろって! ルドルフ!おい、何とか言えよ!


ルドルフ、それを無視して暴れる。ぎりぎりで攻撃に当たらないサンタ。一旦離れて向かい合う二人。ルドルフはふーっ、ふーっ、とトナカイらしい息の荒げ方。


サンタ : どうしたんだよ!何の冗談なんだよ!なあおいルドルフ、


言い終わるか言い終わらないかのうちにルドルフ再度突撃。今度は当たって、サンタ雪の中に派手に倒れる。


サンタ : いって ……うわ。


頬の当たりに手をやると、その手に血がつく。それを見て少し動揺するサンタ。倒れた位置のすぐ側にあるモリ。サンタ、それを掴みゆらりと立ち上がる。


サンタ : そうかよ …… やっぱりおまえ、俺のトナカイやるの嫌だったんだな、確かに普通のサンタクロースだったらありえないぐらいの苦労かけたもんなぁ??だからこの機会に今までの恨みを晴らしてから自由の身になろうってか?この馬鹿トナカイ、人間様にたて突いてんじゃねーぞ誰がオマエなんかにやられるかよ!! …… おら、来いよ。サンタクロースにたて突くようなトナカイ、きっちり処分してやらぁ。


サンタ、モリを構えてる。ルドルフと睨み合う。数秒 …… 十数秒。睨み合う。


サンタ : …… なーんてな。


サンタ、ぽい、とモリを投げ捨ててさくさく焚き火の側へ戻り、座る。ルドルフ呆然。


サンタ : おまえどうせアレだろ?俺にぶっ殺されて、俺がおまえを食えばいいとか思ったんだろ?喋らないでトナカイらしく暴れりゃ俺がそんなに迷わずにおまえを殺せて、俺はおまえの肉をそこの焚火で焼いて食って元気になって生き残れるとか思っちゃったんだろー?

ルドルフ : ……。

サンタ  : ぷっ。どこの感動ドラマだよだっせーーー!


ルドルフもうどうしていいかわかんない感じになっている。


サンタ  : 何、図体に似合わねーケナゲなこと考えちゃってんの?俺がその手に乗ると思った?バーカ。ほらこっち来いって。救援待とうぜ?焚き火あたって。つーか最初から火おこせって話だよな。


ルドルフ、もう恥ずかしいやら悔しいやらで動けない。サンタ、そんなルドルフを見て笑う。


サンタ  : ところでさぁ、今、思いついたんだけど・


ルドルフ、顔だけはサンタを見る。


サンタ  : ここらへんって基本イスラム教だろ?サンタクロースが云々みたいな、クリスマスの習慣なくね?

ルドルフ : あ。


微妙な間の後、さっき角を折りとって放置した帽子の中から突如鳴り始める電子音。二人ともビクッとして顔を見合わせちょっと固まるが、ルドルフが帽子に近づいて手を突っ込む。中から携帯電話が出てくる。普通に電話に出る。サンタ、その様子を唖然として見守る。


ルドルフ : あ、はーいルドルフです、お疲れ様ですー。 …… え?やっぱりそうですよねぇおっかしいと思ったんですよ、勘弁して下さいよー。ええ? …… はい、とりあえずですね、撃墜されちゃってるんですよソリが、はい。それで今まで動けなかったわけでー。連絡?動揺してたんで忘れてたんですよ、ありえないでしょクリスマスにサンタクロース撃墜って、え?何?よくある話なんですか?はあ、この時期恋人のいない男女とかにねぇ。成程。でもこっち機銃掃射ですからね。ほら、ソラトベールのこともあるし、ほんと怖かったんですよ、いやいや 「 なるほどですねー 」 じゃなくて。え?もともとの現場?今からですか?いいですけどここまでの時給出してくれます?あ、くれるんですかならいいです、行きます。でもソリが …… あ、はーいわかりましたよろしくお願いしまーす。


ルドルフ、電話を切る。


サンタ  : 何今の。

ルドルフ : 何って電話だよ、派遣会社の担当からの。やっぱり派遣する現場間違えてたらしーよ 。30分後に新しいソリ持って迎えに来るってさー。

サンタ  : 近場にあるのかよ事務所が!

ルドルフ : まあまあ。営業担当も平謝りしてたからさ。張り切って本来の現場行ってやろうよ。

サンタ  : つーか最初から携帯使ってください!

ルドルフ : もーおまえとはやってられんわ!

サンタ  : それどう考えても俺のセリフ !

ルドルフ・サンタ : ありがとうございましたー。



多分、最初で最後のコメディです。実際書いてみると、自分でネタを作ってコントを書ける芸人さんは本当にすごいなと思います。ちなみに好きなお笑い芸人はラーメンズです。

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