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魔物との遭遇

先程のゴタゴタで時間を取られたが、無事にスーパーで卵を、コンビニで弁当を買うことができた。



あとはアパートに帰ってレンジでチンしてしまえば俺の晩飯の準備は完了。


実に簡単な晩飯だ。





それにしても卵は偉大だよな。様々なバリエーションの料理に対応、そして何よりうまい。


卵かけご飯が俺の中ではダントツで一番だ。異論は認めよう。


そうそう卵で思ったことがあるんだが、卵を世界で最初に食べた人の心境ってどうなんだろうか?


卵を食べ物と知らない状態だったら絶対に食べる気しないぞ、あれ。



と超どうでもいいことを考えながら、卵を最初に食べた人に畏敬の念を覚えつつアパートに向かって歩みを進める。




しかし、不気味だ。先程から人の気配がしない、というより人っ子一人いない。


現在七時過ぎ、いつもならランニングしている人や学生たちが少なからずいるはずだが、今日は誰一人として出会ってない。


辺りは静まり返っていて、自分の足音だけがやけに響く。

それに加え、俺が歩いている道は街灯で照らされているものの薄暗く、不気味さを更に際立たせている。



「うわー、こういう雰囲気は嫌いなんだよな……」


俺は幽霊系が苦手だ。異世界に行ったときに幽霊系の魔物と出会したときはマジで最悪だった。


嫌いな原因は、物理攻撃が全く効かないことだ。俺、倒せないし余計に無理……


幽霊なんか死んでしまえ!

まあ、すでに死んでるけども……


俺は異世界でより嫌いになった幽霊を批判する。





「さっさと帰るか。こういう時は早く帰るに限る」


何より俺の勘が何か面倒な事になるから早く帰宅すべし、と告げている。

なので歩みを速めようとしたとき、




『ワォーーン!!』




まるで犬のような遠吠えが聞こえたと同時に近くの公園から複数の魔力を感じた。


日本に帰ってきて以来は一度も縁がなかったものだ。


(魔力?何が起こっているんだ、一体?)



とりあえず正体を確かめるために俺は公園へ急ぐ。








滑り台とブランコ以外の遊具が子供たちが怪我という不幸なことが起きるとの理由で撤去された物寂しい公園が見えてきた。

でも、撤去しても逆に遊具で遊びたい子供たちが不幸になるんだよな。


と余計な事を考えていると公園に到着した。




そこでは驚きの光景が広がっていた。


まず狼がいた。地球に存在する狼より一回りほど大きく(地球の狼を実際に見たわけではないが)、灰色の毛並みで、魔力を持つ生物。


そう異世界で魔物と呼ばれているやつだ。




そして俺はこの狼を良く知っている。ダイアウルフだ。あっちで魔王討伐の旅をしていた時、勇者が修行と称して当時の、まだまだ弱かった俺をダイアウルフの群れに放り込まれた時は冗談抜きで死を覚悟した。


結局、そんな俺は鬼畜勇者に助けられたものの、その後に言った言葉がそれまた酷かった。

なにが「あなたにはまだ早かったようね。鍛練不足だわ」だ。紳士たる俺でもさすがに蹴り飛ばそうかと思ったわ。


まあそんな事したら返り討ちにされたあげく、死を覚悟するハメになるだろう。


てかやっぱり死にかけるのかよ……






それはさておき、まだ俺が驚いた原因がある。


それは一人の美少女がそのダイアウルフとたたかっているのだ。


その少女は魔術のように尖った氷柱をダイアウルフの足元に出現させたり、氷の棘を放ったりで立ち回っているが、いかんせんダイアウルフの数が六体と多い。





ダイアウルフはコンビネーションが上手く、複数となると熟練の戦士でも手を焼くという。



それに加えて、少女のほうはダイアウルフのコンビネーションにより体力を徐々に奪われている。

だからなのか、先程に比べて動きが少し鈍くなっており、攻撃の手が少なくなっている。



苦戦の一番の理由は、ダイアウルフに氷属性の攻撃は効果が薄い。


昔、勇者が得意の氷属性の中級魔術<アイスニードル>という氷の棘を放つ魔術で倒せなかったのだが、勇者はすぐさま上級魔術<アイスブレイク>(敵を氷柱に閉じ込め、それらをもろとも粉砕する)で葬る場面を思い出した。


狼よ、南無三。


あの時の勇者は顔には出さなかったが絶対に不機嫌だった。睨まれたときはマジで怖かったぜ。不機嫌な時に茶化すのは止めようと思ったね。



ああ俺、勇者に良い思い出ないや……





さて、俺はここでピンチに陥った美少女を助けて何かしらのフラグを建てたいと思うんだが良いだろうか?

やっぱり建てるとしたら恋愛フラグだよな!!



と、その時、少女が一匹のダイアウルフに体当たりされ体勢が崩れた。そこに他のダイアウルフが襲い掛かる!!


俺はさすがにこれ以上の傍観は少女の命がヤバい!!と感じ、すぐさま地を蹴って少女の前に立ち飛び掛かるダイアウルフを迎え撃つ。



「ヒーローは遅れて登場がお約束!!くらえやーーーッ!!」



俺の黄金の右足によるハイキックをダイアウルフの頭にお見舞いする。サッカー日本代表も夢じゃないぜ!!



ドンッ!!



という鈍い音と共にダイアウルフが吹き飛んでいく。


(頭部にジャストミートしたが、一撃では倒せないか……でも久しぶりに動いたわりにはまだマシかな?)



他のダイアウルフは急に現れた俺に向かって威嚇しているがそのうち一匹が痺れを切らしたのか飛び掛かってくる。

それを皮切りに他のダイアウルフも動く。


一匹は前から飛び掛かり、もう二匹は俺が避けたのを見計らって飛び掛かってくるのだろう。他は俺から距離をとっているのでフォローに回るのか?

正直、良いコンビネーションだ。


「だが、まだまだ甘い!!あっちで[狼の飼い主(ウルフマスター)]との異名を持つ俺には通用せん!!」


ちなみにこのダサい二つ名を決めたのも、あの冷血鬼畜女(ゆうしゃ)だ。今度会ったらマジで殴ろう。


男女平等、これ大事。皆ー、ここテストで出るからなー。





前から攻撃してくるダイアウルフの頭に右フック、そして、左右から攻撃は最小の動きで避けつつ一匹のダイアウルフの尻尾を掴み、全力で地面に叩きつける。

そして、追撃に頭を踏み潰す。あと五匹。


俺の戦い方は綺麗じゃない。何故なら強化の魔術以外が苦手だからだ。


まあ、俺としては倒せたら問題ないんだが。



仲間を倒されたのが癪にさわったのか全てのダイアウルフが攻撃してくる。だが、



「甘い、甘いぞ!!そんなんじゃ百年経っても俺をたおせんぞ!!」



殴り、蹴る、時に投げるで一匹、一匹と倒していく。そして数分後、ついにはダイアウルフは一匹たりとも動かなくなった。







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