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日本へ帰還

俺、天川良也(あまかわりょうや)は今、かなり混乱している。


何故か?


それは先程まで魔王と生死をかけた闘いをしていたからで、心身共にボロボロ、かつ見知らぬ場所にいるのだ。これで冷静でいられるはずもない。



見渡す限り木、木、木で辺りは暗く、風でざわめく木々が不気味な雰囲気を作り出している。



「え、マジでどこだよここ?魔王倒したボーナスステージ?」


などと言いつつ、すぐさま強化術『五感強化』を施し、周囲に気を配って魔物の有無を確認する。



「とりあえず近くには魔物の気配はしないな」



魔物の気配がないので今はここが安全な場所と判断してすぐそこにあった岩に腰掛け、落ち着いて状況を整理していく。


さっきまでは魔王とバトルして、なんとか勝利。するとすぐに俺は光に包まれて妙な浮遊感を伴い、気づくと今のこの場所にいた。



「うん、分からん」


考える人のポーズをしながら考えているが情報が少なすぎて全く分からない、つまりお手上げだ。


誰かこの状況教えて。



「とりあえず歩くかー」



気分転換のため付近を歩くことにし、ついでに森も抜ける。案外すぐに出てこれた。



歩いている間に思い浮かんだ説がある。



それは魔王を倒したのがきっかけとなり俺の役目が終わったので日本に帰された、という説だ。どうだろうか?



俺はこれが正解に近いんじゃないかと考えている。てか、そうだと俺の良く当たる勘が教えてくれているし、なによりもさっきの浮遊感が俺が異世界に召喚された時の感覚にとても似ている。

とりあえず今はそうだとしておこう。




「さて、ここが日本だとしてもこれからどうするかなー。行く宛もないし……」



そう、俺には両親がいない。幼い頃、交通事故で亡くなり、祖父に育ててもらっていたが、その祖父も俺が異世界に行く1週間前に亡くなったのだ。






森を出て幾らか歩いているとやっぱりここは日本だと分かった。


自動車も走っているし、コンビニや自販機があり、これらを見ると日本に帰って来たんだなぁ、としみじみ思う。



「まあ、いきなり牢に入れられた異世界に比べたら勝手の知ってる日本だし何とかなるかなー」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








と呑気に考えていた二時間前の自分を殴りたい。



冷静に考えてみると、このまま日本で暮らしていくには大き過ぎる障害が存在した。


それは、お金だ。


俺が日本に帰って来た時はもちろん、手持ちには一銭たりとも日本のお金がなかった。



住む所の確保にもお金が必要、食糧を手に入れるにも服を買うにもお金が必要とお金の大切さを改めて痛感する。つまりお金大切。






さて、そんな俺に今、お金を手に入れるビッグチャンスが訪れている。


そう、俺は路地裏でDQNの五人組にカツアゲされている最中なのだ。これはあれだよな、人を殺すときには自分も殺される覚悟を持て、という言葉に乗っ取り、カツアゲするときにはカツアゲされる覚悟を持つべき、の精神を教えてやるべきだよな。



決してこいつらのお金が目的じゃないよ?邪神になら誓ってもいいぜ。





ーーーーーーー



10分後、DQNだったと思われし残骸が五つ路地裏に転がっている。



「三万か……臨時収入としてはいいかな」




とりあえずこのお金で必要なものを調達することにする。




まああれだ、DQNよ。運が悪かったと諦めてくれ。





さて、臨時収入が入ったわけだが、ここで新たな問題が出てくる。

それは就職、つまり学歴が中学校卒業しかない俺には地獄、ということを示す。



これについてはマジでどうすれば良いのか全く分からない。



「まあ、なんとかするしかないんだよな……」



そう考えると、異世界で生活してたほうが楽だったに違いない。




今日で何度目か分からないため息をつき、重い足取りで町を歩いていく。








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