作戦変更!?
「い、い・せ・か・い??」
驚きを隠せなかった。
「はい。そうです。」
マズイ、非常にまずいぞ。
俺が聞いた話では、異世界は、死んだ人間が行くことが多いという。
死んだ人間が、転生して、別の世界に行くと俺のオタク友達が言っていた。
でも、確か、あいつは言っていた気がする。
「基本的に、異世界に住んでいる人間は、自分がいるところが異世界だとは知らない。要するに、もしかしたら俺ッチたちが住んでいるこの世界も異世界かも知れないんだよ!!そう考えるとなんかすごくない!!?行きたくなったでしょ、異世界、行きたくなったでしょ!!」
思いだしたら、うぜー!
ちょっ、まて!
ということは、もしかして、俺、死んだ?
なわけないよな。
異世界なんか、あるわけないよな。ハハハ。
………うえーん。まだ、やりたいこといっぱいあるよ、こんなとこで死にたくないよ!
取り乱すな、池田勇二。
もう一度聞くんだ。
そして、ここがどこだか確かめるんだ。
俺は、深呼吸をした。
「もう一度聞きます。ここは、ほんとに異世界なのですか?」
「はい。」
駄目だあ!!
俺もう駄目だ!
いつの間にか、周りにはたくさんの女の子が集まっていた。
ピンク色の髪の毛、とっても短いスカート。
青色のショートヘア、今にもPが見えてしまいそうな短いズボンをはいている。
そして、決まって、皆かわいい。
なぜか、皆胸元がはだけたシャツを着ている。
今、俺は悲しみと、幸せが入り混じって、死にそうです。あ、もう死んでるか。
「あ!!」
急に、女の子のお姉さんが鉄柵を乗り越えてきた。
お姉さんはまっすぐに、俺の方に向かってくる。
ドスン!
お姉さんの胸の間に、俺の顔がうずくまる。
やわらかい、なんてやわらかいんだ!
もう、いっそのことずっと、この世界で生きたい。
「す、すいません…。」
顔が、うずくまっていてうまくしゃべれない。
俺は、うなずいた。
「ぁあん。」
やべっ、下手に動くと、お姉さんが感じてしまう。
俺は、そっと、お姉さんから、離れた。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい全然大丈夫です。」
「それより、いきなりどうしたのですか?」
「実は、これが、貴方の頭に、乗っていたから、気になって、でも、途中でつまずいちゃって、こけちゃって…ほんとにごめんなさい!!」
かわいすぎる。
特に、顔を真っ赤にして、虫を持っているところが、もうたまらん。
すると、ほかの女の子たちが、一斉に俺のところに走り寄ってきた。
体験したことのないこんなシチュエーション。
半端ねえ。
女の子たちは、俺に、抱きついてきたり、わざと?胸を当ててきたり、まて、そこ触るな!そこだけはいかん!!
それは、とてつもなくとてつもなく、幸せなひと時でした。
そして、今現在。
俺の周りに女の子は誰一人としていない。
ほんの3分前のことだった。
急に、一番目立つ、結婚式場のような建物から、ベルが鳴りだした。
その瞬間、女の子たち全員は、走って、その建物の中に入ってしまった。
「うう、さみしい。」
俺は、つい言ってしまった。
すると、物陰から、女の人が、出てきた。
さっきの、青い髪のショートヘアの人だ。
目は、釣り目で、ドSオーラ出しまくりの女の人だ。
「あんた、どこから来たの?」
「えっ、おれ?」
「他に誰が居んのよ。」
「すいません。」
「ばかっ!何謝ってんの?バカ?」
今、バカって2回言ったよね?
「うっ。」
「質問に答えなさいよ。どこから来たのよ!」
「えっと、えっと、地球です。」
何て言ったらいいのかわからなかった。
結局地球って言ったけど。
「そう、うちも地球から、ここにきてしまったの。」
へえ、そうなんだ。
「じゃあ、ここってほんとに異世界?」
「そうよ。最初は信じられなかったわ。でも、ここは、なんかおかしいの。」
「なんかって?」
「あんたほんとにバカね。」
「ひどい…今まで生きてきて、ここまで、バカ扱いされたのは初めてだよ。」
「まあ、いいわ。まさか、ほんとに気付かないの?」
「何に?」
「あんたがここにきて、太陽の位置が動いた?」
そういえば、全然動いてないな。雲ひとつない快晴だ。
「うちは、ここに、時計を持ってきたの。」
「時計?」
「うん。うちはここにもう3年間居るんだけど、時計は、うちがここにきてから、まだ、3分間しかたっていないの。」
「どうして?」
「知らないわよ、バカ!」
「す、すいません!」
「まあ、いいわ。でも、一つだけ、気付いたことが、あるの。」
「何?」
「ここからは、出ることができるの。」
「え?どうやって?」
「それは、あんたが身につけているその指輪が原因かもしれないの。」
「なんで、それがわかるの?」
さっきから、疑問しかない
「式場のベルが鳴った時、ここに住んでいる人はみんな、式場へ向かうの。うちは、なんで、式場に向かうのか、疑問を持って、出席してみたの。」
「うんうん。」
「それで、うちは、あるものを見たの。」
「それが指輪だった。」
「そうよ、なかなかやるわね。みなおしたわ。」
「ありがとうございます。」
「ここからは、うちの推測だけど、ここの住民はどうにかして式場にある指輪を手にしたいらしい。あんたが、海に流されて気を失っている時、皆、あんたの指輪をずっと見てたわ。」
「なんか怖いな。」
「ははは。ここの住民は、式場にある指輪を手にすると、幸せになれるって言ってるんだけど、うちは、指輪を手に入れると、元の世界に戻れるんじゃないかと思うの。」
「でも、どうやって、指輪を手に入れるの?それに、俺は指輪を持っているよ。」
「指輪を手に入れる方法、それは結婚よ。」
「結婚!?」
「そう。あんたは、多分、式場にある指輪を、ここにいる誰かにはめてあげると、元の世界に戻れると思うわ。」
「それは、推測?」
「ええ。でも、100パーセントに近い推測よ。」
見ると、式場から、女の子が出てきた。
「戻ってきたみたいね。じゃあ、またあとで。」
「あ、まって。」
「何よ。」
「えっと、俺の名前は、池田勇二。」
「うちは、桜音鈴。また、後でね。」
そう言って、鈴は、去って行った。