脱出!?
「暑い、暑い、暑すぎる!!」
真夏かここは!?
俺が、住んでいる国は今冬なハズ!
こんなに暑いわけがない。
見渡す限り、雲は一つとして無い。見えるのは、きれいな海。海。海。
くどいが、本当に海しかない。
さっき考えた、ここから脱出大作戦を決行するにも、根性のない俺は、暑さに耐えきれなく、ベンチに寝そべっていた。
コンビニもない、自販機もない。
「まったく、何なんだよここ。」
このころの俺は、異世界など信じていなかった。
とりあえず、ここから脱出大作戦を決行するにあたって、知っておかないといけないこと。
ここはどこだ!!!?
今の俺は、ただこれが知りたかった。
待て、俺がここにいる理由を考えてみよう。
指輪を見つける→雷に打たれる→気絶する→目覚める→女の人のシルエットが見えた→びっくりして叫んだ→………ここどこ!!?
だめだ、これじゃ収拾ががつかない。
とりあえず、人を探そう。
俺は起き上がって、 当てもなくふらふらすることにした。
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「しかし、何もないなあ。」
しつこく言わせてもらうが、見えるのは海。
ちょっと待てよ、さっきから、妙に足取りが重い。
靴の中には、大量に砂が入っている。
もしかしてここ、砂浜!?
バカ!見えるのは海に決まっているじゃないか!
俺は、海とは反対方向を見てみる。
気付かなかったが、うっすらと町みたいなものが見える。
帰れる。
この言葉が俺の脳裏をよぎった。
だが、その言葉は見るも無残に打ち砕かれた。
町に着くと見知らぬものがたくさんあった。
なかでも一番多く目にしたものが、結婚式場らしき建物。
「それにしても女の子が好きそうな建物が多いなあ。」
つい独り言を漏らしてしまう。
その時、建物から人影が姿を現した。
美しい足、長くブラウン色をした髪、ほっそりとした指、俺の周りにはいない、神が見えた。
「あっ。待って。」
再び建物に入ろうとした、その子を呼びとめた。
その子は止まって、微動だにしなくなった。
やべ、もしかして、なんか悪いことでもしたかな。
すると、女の子は、俺の方に歩み寄ってきて、俺の手をとった。
「どちら様ですか?」
かっかわいい…。
大きな瞳、いいにおいのする息、温かい手。
俺、今人生で最高の気分かも。
「聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」
「ええ。わたくしでよければ、なんででも。」
わたくしだってよ!!
ううう。こんなの初めてだよう。
やばい、正気を失いかけている。
俺は、今しなければならないことをするんだ。
頑張れ、織田信長。もとい、池田勇二!!
「ここ、どこ?」
不思議そうな顔をする、女の子。
「ほえ?」
「えっ、俺、なんか変なこと言った?」
「あっ!いえ、全然言ってないです。」
また、女の子が口を開く
「ちょっと待っててください、姉さんに聞いてきます。」
「は、はい。」
姉さんに聞くって、この子は、自分の住んでいる場所も分からないのか。
なんか、少し残念な気もするが、この子の親切心をバカにしてはいけないな。
しばらくして、女の子は戻ってきた。
後に続いて、その子の姉らしき人も出てきた。
かわいいー!!
今まで、見たことのないかわいさだ。
長く、細い足、小顔、少し大人な感じが出てて、エロい。
女の子のお姉さんは、俺のところに走り寄ってきて、鉄柵から、身を乗り出すように、輝いた目で俺を見た。
あまりにものかわいさで、鉄柵があることすら、忘れていた。
「私に何か御用ですか?」
満面の笑みで俺を見てくる。
バカ、俺のバカ、どうして、どうして胸の方に目がいってしまうんだ。
冷静になれ池田勇二!
今、俺が聞かなければいけないことはなんだあ。
そ、そうだ、俺はここがどこなのかを聞かなければいけないんだ。
「あ、あのお。」
待ち切れなかったのか、女の子のお姉さんが、言った。
少し困った顔がまたかわいい!!!!
まずい、池田勇二ともあろうものが、冷静さを欠いてしまっている。
「えっと、えっと…。」
くそー!うまく言葉にできない自分がもどかしい。
ええい!!
いけ!
言うんだ!
言っちまえ!
「貴方のことが……。」
「私のことが?」
違うだろうがぁ!
「すいません、前言撤回させていただきます。俺が、聞きたいのは…」
「聞きたいのは?」
いちいち聞き返してくれるところがまたかわいい。
「ここは、どこなんですか!!?」
よくやった、池田勇二!
「ここは、ハーレム王国。異世界です。」
え?
今、何て言った!!!?