指輪!?
50人を捜すと言っても、この広い敷地の中、探すのは、少し無理がある。
俺は、自転車にまたがったまま、考えた。
今まで、何度か、かくれんぼをしたことがあるが、鬼になったことは、一度もない。
今まで、鬼になってきた奴は、どうやって探し出したのだろう。
そんなこんなで、約10分ほど動かず考えた。
俺の周りを歩く人は、なぜか笑っている。
現在気温は36度。俺は、汗だくの状態で、道のど真ん中で、自転車にまたがっている。
そして、まったく動かない。
挙句の果て、女子高生が来て、写真をとりだした。
俺は、動こうにも動けず、同じ態勢で・・・待てよ?
俺が、もしこのまま、この状態でいれば、この女子高生たちのように、俺の、友達も来るんじゃないか?
「フフフ、勝った。さあ、こい、俺はずっとここに…おれるわけないだろうが!!!」
俺が、いきなり大声を出したせいか、周りの人は、一気に去って行った。
「とりあえず、アイス買いにでも行くか。」
そして、自転車に足をかけると、あるものが目に入った。
俺は、それを拾い、じっと、眺めた。
「指輪かあ、それにしてもきれいだな。」
にあうかな?とか、思い俺は本の出来心で、指輪をはめてみた。
だが、この行為が俺の人生を変えることになるとは、思ってもみなかった。
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いつの間にか、快晴だった空は、雷雲が出てき始めていた。
「おかしいなあ、今日の天気予報は確か、晴れだったはず。」
その瞬間
ドゴッ!!! バリバリィ! ズゴッ! ドガーン!!!!
雷が、俺に直撃した。
「やばビガーンい、死ぬ死ぬバリバリィ!!ぅへっ。」
とてつもない痛みが俺を襲う。
雷は、俺を狙っているかのように、落ちてくる。
自慢じゃないが、俺は、体が人よりも強いと自負してる。
だけど今回は、少しマズイ。
落ちてくる、雷が、脳天から指輪へと移る。
「もう無理。」
俺は、その場に倒れた。
周りには誰もいなく、俺は、深い深い眠りに落ちた。
何分たっただろうか、後頭部に、やわらかい何かを、感じる。
俺は、うっすらと目を開けた。
白く、長い指。大きな胸。花の香り漂う衣服。後頭部の柔らかいものは、何だろうか、俺は、状態を起こす。
細く、長い脚。
ベンチに腰掛ける女の人のシルエット。見渡す限り、海。海。海。
「ここどこー!!!!!?」
俺が叫ぶと、女の子は、走って、逃げて行ってしまった。
あ、待って。俺を置いてかないで。
と、言うが聞こえていなかったらしく、そのまま、走って行ってしまった。
ちょっと待てよ。
このシチュエーション、なんかおかしくないか?
女子とは、まったくもって無縁なこの俺が、さっき、明らかに、女子の膝の上に寝ていた。
さっきまで、かくれんぼをしていたはず。
俺は、周りをきょろきょろしてみる。
まったくもって、知らない、見たことのない場所。
もしかしてここ、天国!?
いや、違う。
これは夢だ。
俺はこんなとこで死にたくない。
まだやり残したことがたくさんある。
絶対に、ここから、抜けだしてやる。
俺は、握りこぶしを作った。薬指には、とれなくなってしまった、指輪がはまっていた。