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ZEROs' HOUR ~Ø(ゼロ)の世界~  作者: 鬼生達哉
3/4

2nd Hour : 5人の者(前編)

この作品は、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家、領域、日時その他、固有名称で特定される全てのものとは、名称が同一であっても一切関係はありません。

2nd Hour:5人の者



「最悪な・・・場所?」

優哉は疑問に満ちた表情で言った。

すると、パドラーは説明をしだした・・。


「そうです・・。今、私とあなたが居るこの空間、「タイムボックス」は「ゼロアワー」を行き来できる施設です」

パドラーはまだ笑顔で話している。


「だから絶対に、ブラックオウル・・・敵は入ってこれない」

パドラーは「ブラックオウル」と口ずさんだ時、すこし笑みが消えかけた。


ブラックオウル・・・直訳で、「黒いフクロウ

何を意味しているのか・・。敵?。

優哉は英語がかなり得意だったためか、ふとそう思った。

そして、「敵」という言葉にも疑問を抱いた。


「敵?ゼロアワー?・・って、どういう意味だ?」

優哉は恐る恐る聞いた。


「・・そうですね~。いわゆる・・・」

パドラーは顔を下に向け、少し間を開け・・・


「敵=殺し役、ゼロアワー=別世界、と言ったところでしょうか・・」

と、ハット帽のツバをクイッと上げ、目をギロリと出し、低いトーンでそう言った。

しかし、優哉はそんなことは信じられなかった。いや、信じたくなかった・・。


「・・・おちょくんのも、いい加減にしろよ?」

優哉は怒りをあらわにし、続けた・・。


「殺しだ?ふっ・・・そんなこと日本は認めてねぇし、そんなことしたら、即、警察サツ行きだろうが!!しかもな、別世界なんてモンは存在しねぇ!!」

優哉は眉間にしわを寄せ、そう叫んだ。

しかし、そんな優哉には目もくれずにパドラーは言い放った。


「別世界は実在したんです・・。あ、言い忘れていましたね・・確かにここは日本ですが、ゼロアワーはゼロアワーです。

ゼロアワーはゼロアワーなりのルールがありますから、殺しは犯罪でもなく、加害でもない、平等です」

パドラーは微笑みを見せた。


「テメェ・・・」

優哉は奥歯を思い切り噛んでいた。

そして、左拳を握り締めようした。

が、


「グアアアアアア!!!」

昨日殴ったアザが全く治っておらず、痛みが走った。

それも、今までの喧嘩では味わったことの無い苦痛だった。


「フフフフ・・・それもそのはずだ・・・」

パドラーは何かを知っているような口調で言った。


「どういう・・・意味、だ?」

優哉は左手を押さえ、痛みに耐えながら言った。


「アナタは、先ほど言ったブラックオウル、略して「BO」の一人を殴ったんですよ」

パドラーは真剣な目で、続けた。


「BOの特徴は、人間が触れると、その人間の触れた部分が「サミケイル」という物質により、破壊されるというものです・・・。しかし、アナタは破壊をされていない・・・サミケイルを防ぐ能力を備えているんです。だが、そんなアナタでも少しは効いてしまっているようですね」


「・・・何だかよくわかんねぇや・・」

優哉は頭をかいた。


「まぁ、慣れれば分かってきますよ・・」


「慣れれば?そんな危険な世界に俺を引きずり込むってのかよ!!」


「はい」


「そんな、何でだ?」


「理由は一つ・・・もう後戻りできないからですよ」

パドラーはニヤッと笑った。

優哉は呆然としてしまった。


「どうしてだ!?」

優哉の顔からは汗が浮かび上がっていた。


「抜けても良いですよ?しかし、自身に身につかない限り・・・いや、自分で決めない限りこの世界からは抜け出すことは許されません」

パドラーの表情からは、もう笑みが無くなっていた・・。

そして、優哉はその話を聞いてまた呆然としてしまった。

それと同時に、ふと霧咲の言葉を思い出した・・・。


『優ちゃんが決めることだもん!』


決める・・・。

優哉はそのフレーズを声で復唱していた。


「そうです。決めるんです」

パドラーは再び笑みを浮かべた。


「決めるって・・何を?」

優哉は、さっきまでとは違い、パドラーの話を信じようとしていた。

しかし、パドラーは話題を変えようとした・・・。


「・・・まぁ、それはゼロアワーに行ってからのお楽しみでしょうね。では、これを・・・」


「ふざけんな!早く教えろッ!!!」

が、優哉に掻き消されてしまった。


「Shut up!!!Hear my talk.(黙れ!私の話を聞け)」

パドラーはさっきまでのやさしい表情から、怒りの表情へと一変した・・。

そして、何故か優哉は身体が硬直してしまった。


「あ・・・」

声も出ないほどだった・・・。


「・・あっと、失礼失礼・・・。私を怒らせてはイケませんよ?」

優哉はそう言われると、硬まっていた身体が元に戻った。


(今のは・・・なんだ・・?)

優哉は戸惑っていた。


「知りたいですか?」

パドラーは優哉の心情を読み取ったのか、そう答えた。


「何?」


「この世界に参加すれば、自身特有の技や術が身につけられる」

パドラーは分かりやすいようにそう言った。


「待て・・じゃぁ、お前は人の心を読めるのか?」

優哉は怪訝そうな表情でそう聞いた。


「フフッ・・・That's right!(その通り!)」

ニヤけながら言った。

優哉はパドラーの少しづつ入れてくる英語に、少しウザったくなっていた。


「そんなことが・・・?」


「まだ信用してないみたいですね~。では、これを見れば納得してくれるかな?」

パドラーはまだ不快に思っている優哉に対し、そう告げた。


「カモ~ン!」

陽気にそう合図すると、優哉の目の前にテレビが現れた。

優哉はその光景にド肝を抜かれた。


「これに驚くのはまだ早いですよ、クククッ」

パドラーは手を口に当て、笑いながらそう言った。


そして、テレビの電源を点けた。


ザザザザザッザ・・・


「この映像は、事実しか起こらない・・。まぁ、よ~く見ておくが良い・・」

パドラーは表情を変え、そう言い残し何処かに消えてしまった。

そして、辺りは闇に包まれた。

明るい光は、テレビの電源だけとなった・・。

すると、映像が始まった・・。



~テレビの映像~


「ハァァアア!!!食らえぇええ!」


キャシャン!!ス、ス、ス、ス・・・!


一人の男はナイフのようなモノを数十本投げた。

男は優哉よりも若い、高校生くらいの男子っぽい。


そして、それは相手の男に刺さった。


ドスドスドスドス・・!!


鈍い音が響いた。


ったか!?」

男は額に汗が浮かび上がっていた。

そして、決まったと思った・・・。


カランカラン・・・


「!?」


しかし、全て地面に落ちた。


「フン!!こんな玩具ガラクタ・・・俺、『キゼル』様には通用せんわ!」

キゼルと名乗る怪物のような顔をした男は笑っていた。


「くそぉ・・このデスビーク(鳥のくちばしの形をした武器)まで利かないとは・・・」

男は諦めかけていた。


「その武器、お前には合ってねぇよ。お前の兄の形見として使ってんのか?」


「・・錐陽きりひとを殺したのは、テメェだからな!!」

男はキゼルをにらんだ。

錐陽とは男の兄らしい。


「そうだ。だが、錐陽は俺たちを裏切った・・。悲しかったぜ・・。『良いあく精神こころ』を持っていたのに・・・。あともう少しで、あの『かたな』にも負けないような悪心あくしんを持てたのに・・」

キゼルは、『かたな』と呟いた。


「か、『刀』?」


「あぁ、『刀』だ。だが『もの』とも呼べる。その名も・・・いや言うのは厳禁か・・」

キゼルはさっきまでの楽しんでる表情から一変し、少し怯えてるようにも見えた表情を見せた。


「どんなモンなんだ?」

男は恐る恐る聞いた。


「フッ・・軽く聞けるモンじゃねぇよ。一言で言えば、『最凶』だ」


男はそうこうしていると、少し動きを見せた・・。


「へぇ~、最凶ねぇ~・・・ならこれは!!」


ガチャッ!!


男はキゼルの手にしていた銃のような武器を手にし、キゼルに向けた。


「ほぉ~、盗みの技の持ち主ねぇ~。中々やるな」

キゼルは少し関心したような顔をした。


「そりゃそうだ!俺のロッドウェイ(盗みに利用する武器)は天下一品だからな!」

男は笑みを浮かべていた。「勝った」と思った。


「まぁ死ぬのはお前だけどな」

しかし、キゼルはそう返した。


「なに!?・・なら食らってみやがれ!!」

男はそう言い、銃のトリガーを引いた。


ドンドンドン!!!


三発音が鳴り響いた。

しかし、その音と共にキゼルは地面から20メートル程身体を浮かした。


「ハハハハ!!!俺の武器は、お前のその能力ちからじゃ、扱えねぇようだな!」


「クッ!」

男はまた諦めかけた。


「・・んじゃぁ、次は俺の番か?・・ちょいと、ペラペラ喋っちまったしな・・・」

キゼルは空中で止まったままそう言った。


そして、テレビの画面が途絶え始めた・・。


ザ、ザ、ザザザ、ザ、ザザー・・・


ビン!

すると、テレビの電源は勝手に消えた・・。


~テレビの映像終了~


「・・・・」

優哉はテレビの画面に釘付けになっていた。


「・・これで、この内容せかいが分かったかな?」

パドラーは少しトーンを低くして言った。

しかし、優哉は何も答えない。その上、俯いてしまった・・。


「まぁ、落胆するのも仕方ないでしょう。最初からノリノリの人間は・・・直ぐ死ぬ・・。これまでの経験でそれが解りました。何せ、これまでで2568人の人間が死んでますから、ね」

パドラーは人間をおちょくるような言葉遣いをし、ニヤニヤとしていた。

すると、優哉が口を開いた。


「・・せろ」

優哉の声は暗く、パドラーはちゃんと聞き取れなかった。


「え?」

パドラーは少し真剣な表情になった。


「だから、行かせろっつってんだよ!!!!」

優哉の表情は真剣そのもので、魂からの叫びに聴こえた。

優哉は『喧嘩上等』の精神で生きてきた男だが、人情はあるらしい。

そして、この言葉にパドラーは笑みを浮かべた。待ってました、と言わんばかりの笑みだった・・。


「フフッ・・では、そのかたなと共に生き抜いてきてください。あなたが選ばれたのも、単なる偶然ではなく、何かの縁だったのかもしれないですね・・。では、また会いましょう」

パドラーは、何かを企んでいるかのような表情をしていた。

そして、被っていたハット帽を右手で上げ、紳士的なお辞儀をし、左手で指パッチンをした。

それと同時に、周りの白い景色が徐々に消えてきた。

すると、パドラーが一言言い残そうとした・・。


「・・あ、良い忘れてました。・・何らかの『希望』は持って・・・」

しかし、この言葉を最後まで聞く前に、違う景色に変わってしまった。


ザ、ザザ、・・・


「ここ・・・って」

優哉は唖然としてしまった。

・・そう、ここは優哉の住んでいる町と同じだったのだ。

すると、さっきテレビに映っていた二人が見えた。


「クソ!・・ハァ、もう・・・無理か・・」

男の体は傷だらけだった。


「フハハハハ!!!愚か・・人間は、愚かだ!!!しかも、俺に挑むのも尚更なおさら愚かだ」

キゼルは空中から地面に降り、最期のトドメをさそうとしていた。

手にしている1.5m程のハンマーには、数千もの針が装着されていた。


「もっと楽しみたかったが・・時間も時間だ。これで・・・」

キゼルが思い切り腕を挙げ、身体の全神経を腕に込めたと同時に優哉が動いた。


「うぉぉぉぉぉ!!!」

優哉は叫びながら走り、1.7mもある『刀』を両腕で持ち、キゼルの背中に思い切り振り下ろした。

しかし、さやは付いたまま。


ザンッ!!!!

鞘が装備されてあるのに、刃で切った時のような鈍い音がした・・。


「グっ!?」

キゼルは手にしていたハンマーを落としてしまった。

しかし、まだ耐えていた・・。ものすごい筋肉だからか・・。


「なに!?」

優哉の額からは、汗が垂れていた。


「クク・・・俺の身体に傷つけたな、ゴルァ!!・・」

キゼルは振り向いた。

が、優哉の手にしていた『刀』を見て、表情が引きつった。


「な・・なぜ・・人間がそれを!?」

キゼルは顔から冷や汗が流れ出した。


「は?」

優哉は、なぜそんなに慌てるのか、と疑問を抱いた。


「チッ・・・報告しねぇと!マズイ!」

キゼルはそう言い、落としたハンマーを置いて空高く飛んでいった・・。

そして、優哉はずっと疑問を抱きつつも、男に駆け寄った。


「おい!大丈夫か!?」


「・・あ、ありがとな。知らねぇ人間を助けるなんて・・・スゲェ根性だ」

男はニコッとしながらそう言った。


「お、おぅ・・・それより、これってどういうことなんだ?」

優哉は少し照れ隠しをした。

そして、照れを見せないためか、すぐに話題を持ちかけた。


「・・お前、ビギナーか?」

男はフッと上半身を起き上げた。


「ビギナー・・あ、初心者か・・。え、それって・・?」

優哉はまだ何もわからない。


「・・・やっぱ、そうだな・・。ビギナーっつーのは、この世界に初めて来た人間のことを言うんだ。

俺はもう、半年が経つ・・」

男は悲しげに言った。


「なるほど・・。何のために?」

優哉はそう言うと、男の顔は強張った。


「お前、何も知らずに来たってのか?」


「あ、いや、少しだけなら聞かされたから、一応は分ってる方かな」


「誰に?」


「え?・・R・パドラーとか名乗る変人ヤロウから・・」

優哉はこれまで話されたことを全て話した。

そして、話が終わると、男が口を開いた。


「・・そんなことが、ありえるのか・・。アンタがその刀を持っているとは・・」

男もキゼルと同じく、恐れた顔をした。


「この刀・・・何なんだ?」

優哉は問いかけた。


「・・『悪魔』だ。今から数百年前、一人の男が死に、その魂から現れたとされる伝説の悪魔・・。

ソイツは何とかっていう名前を名乗って、戦争から人々を守った優しい悪魔。

だが、政府はその能力ちからに恐れを抱き、全世界vs悪魔一人の戦い・・・

『デビル・インパクト』を起こした。そして、その戦いで悪魔は死んだ。その悪魔を殺したとされるのが、その刀、『デーモン・スカル』だ。そして、悪魔はその刀にとり憑き、かたなと呼ばれてる」

優哉はこの話を聞くと、何だかワクワクしてきた。


「悪魔・・。そんなこと信じられねぇが、今この状況を見ると、信じるしかねぇみたいだな」

優哉は苦笑いをしながら言った。


「まぁな。俺も最初はそうだった。だが、いろんなものを目の当たりにして、確信を持った」

男は懐かしそうにそう言った。

そして、優哉は思い出したくは無かったが、あの時の夜のことを聞いてみた・・。


「・・そういや、俺の師・・いや、知り合いが死んでさ。しかも、俺の目の前でだぜ?

で、そしたら身体からこの刀が出てきたんだよな・・これって・・」

優哉が言い終わる前に、男が口を出した。


「ランス!それ、ランスのことか!?」

男はよく分らないことを言った。


「え?」


「あ、それはミドルネームだから・・本名は・・・」

男は何故か焦りながら考えていると、優哉が言ってみた。


「沙汰?」


「・・そう!そうだ!沙汰だ!・・どんな関係だったんだ?」

男は興味が沸いてきたのか、今度は優哉に問いかけた。


「師弟・・かな」

優哉は懐かしさと共に、悲しさもこみ上げてきた。


「そう、だったのか・・。なら、アンタ使えるかもしれない!俺は鞍塚くらづか れい、アンタは?」


「え・・・希咲きりさき優哉だけど・・」

優哉は希咲というワードを言うのをためらいながらも言った。

そんな優哉に対し、零は目から輝きを見せていた。


「決まりだ!俺と同行してくれ!よろしく!」

零は手を差し出した。


「お、おぅ・・・」


そして、優哉は少し困惑しながらも手を出し、握手を交わした。


すると、何やら人影が近づいてきた・・・。



5人の者:前編《終》

は~い。お疲れ様です^^

申し訳ありませんが今回も2段階構成で行きます><;

後編は来年になりますが、その時まで期待しててくださいね~w


それにしても、気になりませんか?w

あの刀w

僕は気になりますね←((お前が気になってどうする

零とかも、沙汰のこととかも・・まだまだ謎ばかりですが、どんどん判明していくんで、期待しててください^^


では、後編!お楽しみに~☆ヽ(▽⌒*)

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