四話 お前が新人の秋か?
前回に引き続き読んでいただき、ありがとうございます!
また、素人なためあまり上手く書けていませんが、温かい目で見てくださると幸いです
中山くんの言葉に、少し心拍数が上がる。
しかし僕は平静を装い、そのまま聞き返した。
「いや、そんなことはないと思うけど…どうしたの?」
「雰囲気かな。いや…いつもより感情が豊かな気がするんだよ」
「そうかな…?意識してないから自分では分からないけど、変わった感じするの?」
「うん。なんか違う気がするんだ」
まさか、何かを勘ぐられたのか? それとも――
「もしかして秋、何か出会いでもあったのか?」
「いや、特には…」
そう言いかけて、あることを思い出す。 嘘は本当のことを混ぜるとバレにくい。誰から聞いた知識かは忘れたが、今回はそれを使うことにした。
「やっぱりあるかもしれない」
すると中山くんは、突然目を輝かせて身を乗り出す。
「本当か!?誰なんだ!?」
「ええっと…」
先ほどまでの真剣な空気が一気に崩れ、僕は戸惑う。
「実は昨日、新しい出会いがあって…」
「相手は女の子か?」
「まあうん。一応そうだけど、そういうのじゃないよ」
中山くんは、目に見えてがっかりした。
「じゃあ、どういう関係なんだよ」 「どういう関係……」
そういえば、考えたことがなかった。昨日出会ったばかりなのだから、無理もない。
「昨日出会ったばかりだから、分からない……」
「うーん……それなら一番近い関係は?」
「一番近い関係? 友達……いや、上司? 先輩に近いかもしれない……」
「ってことは、どれとも言い難いってことか」
「そうだね……まあ、今日も会うから聞いてみるよ」
そう言いながら、僕はリュックを背負う。
「もう行くのか?」
「ごめん。昨日あまり寝てなくて……帰ったら少し仮眠したいんだ」
「珍しいな。やっぱり、その出会った女の子が関係してるんだろうな」
「そうだね。それじゃあ、また明日。聞いたこと教えるよ」
「うん、よろしく」
こうして僕は帰路につき、テーゼ本部へと向かった。
正門をくぐり、基地内に入ると、たまたま下田さんと遭遇する。
「お、秋じゃねぇか。こんな早い時間に、どこ行ってたんだ?」
「あ、下田さん。どうして外に?」
「質問を質問で返すな。俺は訓練していただけだ」
「そうなんですね!実は今日、学校に行っていまして……」
「…なんだと?なぜ学校に行った?」
一瞬で下田さんの空気が変わり、敵意がこちらに向けられる。
次の瞬間、胸ぐらを掴まれていた。
「す、すいません!伊藤さんには許可をもらっているんですが、他の人にはまだ伝えてなくて……」
「そういうことだったのか。すまん、いきなり胸ぐらを掴んだりして」
「いえ!下田さんが悪いわけじゃありません。ちゃんと皆さんに伝えなかった、僕の落ち度です……」
「そこまで謝らなくてもいい。それに、お前、出会った頃より少し明るくなったな?」
その言葉に既視感を覚え、思わず目を見開く。
「そ、そうですか?でもみつきさんに出会ってから、ずっと心が忙しい気がするんです」
すると下田さんは、驚いたように目を見開いた。
「お前それまさか、恋なんじゃないのか?」
「恋、ですか?でも、そんな感じはしません。正直、恋というものがよく分からなくて…」
「そうか。まあ、とりあえず昨日の件以来、寝てないんだろ? 伊藤さんに帰還報告をしたら、少し休め」
「わかりました…!」
ノックをして会議室に入ると、伊藤さんがこちらに気づいて声をかけてきた。
「お、秋くんじゃん。おかえりー」
「ただいま戻りました」
「どうだった? 学校は」
「少し友達に変なことを聞かれましたが、それ以外は特に問題ありません」
僕の報告に、伊藤さんはわずかに眉をひそめる。
「変なことって?」
「どうやら、感情が前より豊かになったように見えたらしくて…それで『恋してるのか?』と聞かれました」
「うーん…確かにみつきちゃんも第一印象は感情が薄かったけど、だんだん豊かになってきてるって言ってた気がする」
「すみません。自分でもよく分からないんです。でも、確かに以前より感情が増えている気はします」
「ふむふむ。まあ、その程度なら、そう簡単に正体がバレることはないと思うよ」
その言葉を聞いて、胸をなで下ろす。
「よかった…それじゃあ、僕はこれで失礼します」
部屋を後にしようとした、そのとき。
「あ、ちょっと待ってー。今日はやることがあるから、それを伝えなきゃ」
伊藤さんに呼び止められ、僕は振り返った。
「今日、やること……ですか?」
「そう。今日から君は、戦闘班に所属する魔人としての訓練を始めるからね」
「ああ、そういうことだったんですね……! わかりました。時間はいつからですか?」
「午後十時に戦闘場に来て」
「承知しました。あ、そういえばここって宿泊できる場所はありますか?」
伊藤さんは、思い出したように手を叩く。
「あー、そっか。まだ秋くん寝てないんだよね?」
「はい…」
「それならここから数分歩いたところに団地があるからそこの一室を貸してあげるよ」
「え……いいんですか?」
「全然いいよ。もともと君の住居は、こっちで用意するつもりだったしねー」
「ありがとうございます…!それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「相変わらず礼儀正しいねー。部屋は二棟目の二〇三号室。表札が『空き部屋』になってるはずだから」
「承知しました…!」
こうして僕は、教えてもらった団地へ向かうことになった。
しかし、その道中、視線を感じた。
振り向くと、金髪の男が少し離れた位置に立っていた。
こちらを見ている…いや、睨んでいる。
「…どうかしましたか?」
声をかけた瞬間、男との距離が一気に詰まる。
歩いた、というより踏み込んだ、に近い。
「お前が新人の秋か?」
突然、男は訊いてくるのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
また、「ここがおかしい」や「他の作品に似ている」などの意見があれば言っていただけると改善できるかもしれません!
もし、アドバイスなどあれば言っていただけると次のモチベーションに繋がります!
よろしくお願いします!
次回は2月15日更新予定です!




