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Stage5 アイデレラ・スノーの正体はまさかの?

 その日も、ここなは学校に向かった。この前いじめられていたときは、トーンに助けられた。心強い味方がいるとはいえ、ここなにとって学校は、逃げ場のない場所だと感じている。


 そしてここなは、恐る恐る教室の扉を開けた。クラスメイトたちはここなの方を向くが、何も言わなかった。


 ここなは自分の席に向かう。傷だらけだったはずの机と椅子は、綺麗な状態になっている。


「おはよう、ここな」


 ここなに話しかけたのは、トーンだ。


「君の机と椅子、傷がいっぱいついてたから、魔法で綺麗にしておいたよ」


「ありがとう、トーン……」


 ここなを取り巻く環境が、少しずつ良い方向になろうとしている。


 しかしここなの心の傷は、癒えていなかった。


 ★


 初めていじめにあうことなく、学校を出られたここな。帰る途中、精神科に寄った。


「クラスメイトの一人が止めてくれたので、私はいじめられなくなったんですが、心はずっと苦しいです……」


 ここなは、医者に対してこう話し始めた。


「今でも気づけば、自分を責めているんです……」


「ここなさん、今は無理するときではありません。そんなときは、学校を休んでみるんですよ」


「えっ……」


「いじめられなくなったからといって、無理に行こうとすると、かえって体調を崩してしまいますよ」


「私、学校にいるといじめのことがずっと頭にあって、授業に集中できてない……」


「そうだと思ってました。1つ申し上げますと、ここなさんに非はありません。今日まで生きてこられたことと、ここで自分の気持ちを打ち明けられたこと。それだけでも、ここなさんに価値はありますよ」


「私、何も悪くないんだ……」


 ここなが悪いと言われ続けたのもあって、医者から言われた言葉は、ここなの傷ついた心に深く作用していく。


 その後ここなは、抗うつ薬を処方してもらった。


 ★


 ここなは薬局を出ると、家に向かって歩き始める。最近家に帰ると、すぐ部屋に閉じこもるようにしている。母親に怒鳴られるのが怖いからだ。


「帰ったらすぐお布団にもぐろう……」


 ここなには、母親からの虐待をどうしたら止められるのか分からないという課題が残っている。


 歩こうとすると、トーンに呼び止められる。


「やあ、ここな。心の状態はどう?」


「お医者さんに話したら、楽になった」


「ふふっ、よかった」


 ここなは、トーンがいると、心に自分を受け止めてくれる盾がついた感覚を覚える。


 歩こうとしたそのとき、ここなとトーンの目の前に、誰かが着地する。


「またあの人だ……!」


「来たね、ダーコン」


「今日も大人しく、悲しみの世界を味わせてやろう……」


 ダーコンは魔法で、怪物サッドンを呼び出す。


「☆¥+÷>%¥¥$+♪〜!」


 サッドンから不協和音が響き、ここなは座り込んでしまう。トーンには効いておらず、ここなを軽く揺する。


「大丈夫か、ここな!?」


「くっ……負けない……」


 出そうになる涙をこらえながら、ここなはカバンからブライトマイクを取り出す。それを胸に当て、呪文を唱える。


「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」


 するとマイクは光り輝き、ここなを包み込んでいった。


 ここなの体は、青い光に包まれた状態となった。


「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」


 こう唱えると、ここなにブーツが装着される。


「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」


 ステップを踏んでいるここなに、衣装やアクセサリーが装着されていく。


「つややかなヘアー!」


 そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。


 変化が完了し、ターンをする。


「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」


 ここなが、アイデレラへの変身を遂げた。そして、ステージに姿を現す。


 オーシャンは、隣にいるアイデレラ・スノーを見る。自分とは違うオーラが出ているのを感じた。


 曲が流れ始め、オーシャンとスノーは踊り出す。


「Cheer up! みんなの力で〜」


「Cheer up! 元気を出そう〜」


 スノーとオーシャンが、交互に歌う。


「悲しい一日だった日は〜自分をいたわって〜」


「今日できたことは〜きっと見つかるよ〜」


 ときどき二人は、サイリウムを振る観客に向かって笑顔を見せている。


「Cheer up! 自分をほめて〜」


「Cheer up! 元気を出そう〜」


「 「誰にでも〜いいところがあるから〜」 」


 と二人は歌声を重ねる。


「 「みんな元気で〜Cheer up!」 」


 とびきりの笑顔で、曲を締めくくった。盛大な拍手で、サイリウムが激しく揺れる。


 そして、オーシャンとスノーの頭上に、ミュージックプリズムが現れる。二人はそれに手をかざす。


「スノー・ダイヤモンドショット!」


 まずスノーが、ダイヤモンドの粒をサッドンに放つ。そしてオーシャンも攻撃する。


「オーシャン・トロピカルウェイブ!」


 オーシャンが起こしたきらめく波で、サッドンは浄化された。


「くっ……そろそろ、新しい作戦が必要みたいだ……!」


 とダーコンは姿を消した。


「オーシャン」


「?」


 オーシャンに、スノーが自ら話しかけた。


「オーシャンの歌声、可愛くて癒されるの」


「えっ……?」


 まさか自分の歌声が癒されると言われるなんて。オーシャンは思いもしなかった。


 それにスノーから話しかけられるのも初めてだ。何か意図があるのか、とオーシャンは考えた。


 そのうちに、周囲はまぶしい光に包まれていく。


 ★


 元の場所に戻り、ここなは変身が解けた状態となった。その隣には、銀色の髪を持つ少女が立っていた。


 ここなにとって、憧れの存在であるあの人だ。


「し、白銀(しろがね)ゆきねさん!?」

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